2014年政府活動報告

 

代表のみなさん ここにわたくしは国務院を代表して、大会に政府活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

Ⅰ. 2013年度の活動の回顧

昨年は、今期政府が法律に則って責務を履行した最初の年であり、その任務は困難で重いものだった。世界経済の回復が難航し、国内経済の下押し圧力が強まり、自然災害が頻発し、さまざまな矛盾が絡み合う複雑な情勢を受け、全国各民族人民は習近平同志を総書記とする党中央の指導の下、落ち着いて試練に立ち向かい、難関の突破に力を尽くして、経済・社会発展の年間の主要所期目標をしっかりと達成し、改革開放と社会主義現代化建設に人々の注目を集める大きな成果をもたらした。

――経済は安定を保ちつつ上向きに推移した。国内総生産(GDP)は56兆9000億元に達し、前年度比7.7%増となった。消費者物価の上昇率は2.6%に抑えられた。都市部登録失業率は4.1%。都市部新規就業者数は1310万人となり、史上最高を記録した。輸出入総額は4兆ドルを突破し、再び新たな大台に乗った。 ――住民所得と経済効率は持続的に向上した。都市部住民の一人当たり可処分所得は実質で7%伸び、農村住民の一人当たり純収入は実質で9.3%伸び、農村貧困人口が1650万人減少し、都市部と農村の住民の所得格差が引き続き縮まった。一定規模以上の工業企業の利潤が12.2%伸びた。財政収入は10.1%伸びた。

――経済構造の調整は積極的な効果をあげた。食糧生産量は6億トンを超え、10年連続で増加した。サービス業の付加価値の対GDP比は46.1%に達し、初めて第二次産業を上回った。GDPに占める中・西部地区の割合が引き続き高まり、地域発展のバランスが増した。社会全体の電力使用量が7.5%、貨物輸送量が9.9%伸びるなど、実物量を反映する主要指標は経済成長と比例した伸びを見せた。

――社会の諸事業がどんどん発展した。教育・科学技術・文化・医療衛生などの分野で新たな進歩が遂げられた。「神舟10号」の宇宙飛行、「嫦娥3号」の月面着陸、有人深海調査艇「蛟竜」のさらなる記録達成は、中国人民が革新型国家の建設という目標を達成する能力と英知を十分に備えていることをはっきりと示した。昨年は、困難が予想以上に多かったものの、成果は予想以上によかった。経済・社会発展は、量的拡大だけでなく質的向上も見せ、今後に向けて基盤が打ち固められた。これは、われわれが練磨前進して絶えず新たな輝かしい成果をあげていくのを励ますことになろう。

われわれはこの一年、安定を保ちつつ発展を求めるという活動全体の基調を堅持し、安定成長・構造調整・改革促進に統一的に取り組み、安定を目指すマクロ政策、緩和・活性化を促すミクロ政策、最低ラインを守る社会政策を堅持し、マクロコントロールの考え方と方式を刷新し、当面はもとより長期的により有効な一連の措置を講じ、安定を保ちつつ成果をあげ、安定を保ちつつ質を向上させ、安定を保ちつつ進歩をもたらし、諸般の活動を幸先よくスタートさせた。

(一)改革開放の深化に力を入れ、市場の活力と内生的原動力を引き出した。国内外の環境が非常に複雑でマクロコントロールが極めて難しい舵取りを迫られる状況の下、われわれは根底に力を入れ、改革開放を発展の根本的な方策とし、市場の「見えざる手」を解き放つ一方で政府の「見える手」をうまく使って、経済の安定した成長を促した。

われわれは政府自体の改革から着手し、「政府の機能転換の加速」と「行政の簡素化と下部への権限委譲」を今期政府の最初の大仕事とした。国務院の機構改革を秩序立てて実施し、行政審査・認可などの事項の撤廃や下部への委譲を数回に分けて計416件行い、「政府認可投資項目目録」を改定し、工商登記制度の改革を進めた。各地方政府(省級)も政府の機能転換と機構改革を積極的に推し進め、行政審査・認可事項を大幅に削減した。「営業税から付加価値税への切り替え」の試行範囲を広げ、行政機関による管理や公的事業体のサービスに払う費用・料金を348項目撤廃・免除し、企業の負担を1500億元以上軽減した。これにより、市場への規制が緩和され、企業の活力が増して、全国の新規登録企業数が27.6%伸び、民間投資の割合が63%に上昇した。貸付金利に対する規制を全面的に撤廃し、全国で「中小企業株式譲渡システム」のテスト作業を進めた。不動産登記の一本化をスタートさせた。こうした行政の簡素化と下部への権限委譲などの改革は、市場の活力、発展の原動力、社会の創造力を大いに引き出した。

われわれは改革開放のより深いレベルへの開拓を推し進めた。中国(上海)自由貿易試験区を設立し、外資に対する「参入前内国民待遇とネガティブリスト管理」方式を模索した。「シルクロード経済ベルト」、「21世紀・海のシルクロード」の建設構想を打ち出した。中国・ASEAN自由貿易地域(ACFTA)の「アップグレード版」を構築した。スイス、アイスランドと自由貿易協定を締結した。対外貿易の伸びを安定させる政策を実施し、税関や検査・検疫などの監督管理とサービスを改善した。太陽光パネルに対する「反ダンピング・反補助金」措置など大きな貿易摩擦に首尾よく対処した。高速鉄道・原子力発電などの技術・インフラの輸出を促した結果、対外投資が大幅に増加し、海外旅行者数が延べ1億人近くとなった。こうした開放の持続的推進によって、発展の余地が新たに広がった。

(二)マクロコントロールの考え方と方式を刷新し、経済の動きを合理的な範囲内にしっかりと保った。激しく変動する経済情勢に対処すべく、われわれは冷静さを保ち、安定成長と雇用確保の下限、インフレ防止の上限をきっちりと守りぬき、経済が合理的な範囲内で推移している限りはパターン転換・構造調整に集中的に力を注いで手をゆるめず、マクロ政策の基本方針を一貫して守って、市場の自信を強め、景気の先行きに対する社会の予測を安定させた。

昨年上半期は、輸出が大きく変動し、経済が持続的に減速し、中央財政収入に長年まれにみる減少が一時見られ、銀行間取引金利が一時異常なほど上昇したため、国際的に中国経済の「ハードランディング」を懸念する声があがった。こうした状況を受け、われわれは積極的な財政政策と穏健な金融政策の実施を堅持して、短期的な刺激策を採らず、赤字を増やさず、通貨を過剰に発行せず、効果的な供給を増やし、潜在的な需要を解き放ち、市場の短期的変動に冷静に対処し、経済の動きが合理的な範囲内からすべり出さないようにして、市場に「鎮静剤」を飲ませた。こうした取り組みは経済が安定を保ちつつ上向きに推移するうえでの決定的要因となった。その結果、昨年の財政赤字は予算の範囲内に抑えられ、広義マネーサプライ(M2)は13.6%伸び、コントロールの要求どおりとなった。

総量政策の安定を保つと同時に、既存資金の活性化と増分資金の適正利用を積極的にはかった。財政支出を合理化し、特別移転支出を統合・圧縮した。中央の党・政府機関、公的事業体の一般的支出が5%削減され、各地方政府の一般的支出も削減され、その分の資金が民生の改善、経済の発展に充てられた。小企業・零細企業に対して租税優遇措置が実施され、600万社以上の企業がその恩恵を受けた。会計検査によって全国の政府債務の実態を突き止めた。金融への監督管理と流動性の管理を強化して、金融の安定した運行を維持した。

 (三)経済構造の調整を重視し、発展の質と効率を向上させた。発展の妨げとなっている構造上の問題に対して、われわれは的確に力を注ぎ、市場的手段や差別化政策を活用し、構造の最適化の過程で経済成長を安定させ、革新による発展促進の過程でパターン転換を促し、質・効率・レベルの向上に取り組んで、長期的発展への道を整えた。

 農業の基盤をうち固め、強化した。現代農業総合・複合改革の試行作業を推し進め、多様な形態の適正規模経営の発展をサポートした。小型ダム1万5000基の改修・補強工事を全面的に完了させ、農村の飲用水安全問題を新たに6300万人余り分解決した。生態系の保護と整備を強化した結果、全国の森林率が21.6%まで上昇した。

 産業構造の調整を加速した。サービス業の発展を奨励し、戦略的新興産業の発展をサポートした結果、第4世代移動通信(4G)の商用サービスが正式に開始された。一部業種の深刻な生産能力過剰の矛盾を積極的に解消した。省エネ・排出削減と汚染対策を推し進めた結果、GDP1単位当たりのエネルギー消費量が3.7%低下し、二酸化硫黄排出量と化学的酸素要求量(COD)がそれぞれ3.5%、2.9%減少した。

 インフラ整備を強化した。「南水北調」(南部から北部への送水)プロジェクトでは、東ルートの第一期工事が予定より早く完工して水が通り、中央ルートの第一期基礎工事が期日どおりに完了した。埋設管網など都市のインフラ整備を進めた。石油・ガス輸送管網と送配電網を広げた。非化石エネルギーによる発電量の割合が22.3%に達した。民用航空・水運・情報・郵政のネットワークの構築を強化した結果、鉄道と高速道路の営業距離がいずれも10万キロを超え、なかでも高速鉄道の営業距離が1万1000キロに達し、世界第1位となった。

 革新を推進力とする経済発展を推し進めた。GDPに占める社会全体の研究開発費の割合が2%を超えた。科学技術体制の改革を深化させ、知識・技術革新などのプロジェクトを実施した。スーパーコンピューティング、人工知能ロボット、スーパーハイブリッド稲(イネ)をはじめ多くの重要技術において大きなブレークスルーがあった。

 

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