世界経済を支える2つの「回廊」

 

李克強総理がアフリカ友好訪問を終えた。李総理はナイジェリア、ケニア訪問時に両国の高速道路建設を支援する重要な協定を締結した。アフリカ訪問中に中国側は「東アフリカ交通回廊」の建設という構想も打ち出した。これは中国「回廊外交」の新たなアップグレードだ。この壮大な構想が実現すれば、東アフリカの沿線各国が幅広く恩恵を受け、アフリカ経済の力強い発展が後押しされる。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

中国の「回廊外交」推進の重点は第1に「交通回廊」、第2に「経済回廊」であり、その経験は国内に由来する。改革開放以来、中国は交通を先行し、インフラを優先することで、人と物および情報の移動を促し、経済の迅速なテイクオフに成功した。中国の経験は「交通回廊」と「経済回廊」を同時に推し進めることに表れている。高速道路と高速鉄道の発展に伴い、すでに中国は「回廊」建設の知識と技術を国外に輸出する能力を備え、高速鉄道は中国のハイテクの新たな代表となっている。

これを基礎に、近年中国は周辺地域とのコネクティビティを強化し、中国国内の交通回廊をアジア太平洋にまで延ばすことを積極的に提唱している。これは各国が中国の交通回廊技術を共有し、アジア太平洋経済のスピードアップによる利益を共に享受するうえでプラスとなるはずだ。このため中国はすでに西線で2つ目のユーラシア大陸橋を世に送り出すとともに、ユーラシア高速鉄道回廊という壮大なビジョンも描き出した。中国交通運輸部(交通運輸省)は台湾海峡両岸を結ぶ海底トンネルという、人々を鼓舞する構想も打ち出した。

アジア太平洋交通回廊建設の目的は地域経済を牽引し、経済回廊を成就させることにある。中国は周辺の交通回廊を提唱し、発展させるとともに、経済回廊の理念を国外に広めている。近年中国が提唱した「中国・パキスタン経済回廊」および「中国・インド・ミャンマー・バングラデシュ経済回廊」は中国と南アジアおよび東南アジアに幸福をもたらすものであり、すでに関係各国から前向きな共鳴を得ている。習近平国家主席は昨年中央アジアと東南アジアを訪問した際、「シルクロード経済ベルト」と「21世紀の海のシルクロード」という「1ベルト、1ロード」を提唱した。これはアジア東西海陸回廊上の国と人々に幸福をもたらし、アジアの安定・平和を増進するうえで、非常に重大な意義を持つ。

中国は国内で発展させた2つの「回廊」の経験を、すでにアジア太平洋に広めている。李総理がアフリカ訪問で中国・アフリカ高速鉄道協力を推し進めたことで、中国の2つの「回廊」の実践はアフリカに広がり、広大なアフリカの大地に幸福をもたらす。交通道路・橋から都市行政施設まで、経済的発展から社会的安定まで、中国は知識と技術を外国に広め、発展と機会を世界にもたらす。

時代は変ったが、中国と発展途上国の共同発展という目標は変っていないことにアフリカと世界は気づくだろう。かつての反植民地時代、中国はタンザニアとザンビアのためにタンザニア―ザンビア鉄道を建設した。発展の時代の現在、中国は東アフリカのために高速鉄道を建設する。何か変ったことがあるとするなら、中国の資金が潤沢になり、技術が進歩し、協力の能力が高まったことだ。中国自身はすでに資金と技術を導入する段階から、吸収と革新を経験し、資金と技術を対外輸出する新たな時代に入っている。

中国は世界の平和と発展のためにさらに多くの公共財を提供する能力をすでに備えている。「回廊外交」「地下鉄外交」「高速鉄道外交」に続き、中国が「航空機外交」「宇宙外交」「新エネルギー外交」など知識と技術を基礎とする協力外交も世に出していくことは確実だ。中国は協力発展の外交をさらに多く推し進めるほど、国を跨ぐ友好の橋を架け、互恵・ウィンウィンで各国が満足する結果を出し、世界経済の安定的成長という明るい方向性を示し、人類の政治的相互信頼、経済的互恵、文明の相互参考に新たなチャンスをもたらすことが可能となる。

 

 「人民網日本語版」2014年5月14日

 

 

 
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