上海自由貿易区 自由貿易口座制度がスタート

 

中国(上海)自由貿易試験区で自由貿易口座制度がスタートした。中国人民銀行(中央銀行)上海本部は22日、「中国(上海)自由貿易試験区口座別計算業務の実施細則」と「中国(上海)自由貿易試験区口座別計算業務リスク審査の管理細則」を発表した。両細則が実施されたことにより、自由貿易区のリスク管理口座システムをめぐる政策的枠組みが基本的に完成し、自由貿易区で先行・試行する資本プロジェクトにおける両替の実現といった金融分野の改革にツールとベクターが提供されることになった。

このほど発表された両細則は、自由貿易区の口座別計算業務とそのリスク審査の管理を全面的に規範化したもので、両者は補完し合って成り立っている。実施細則では、上海地域の金融機関内部に自由貿易区の口座別計算の管理制度をうち立てる場合の具体的な要求、自由貿易用口座の開設、口座にある資金の使用・管理などの内容を詳細に規定する。管理細則では、主に自由貿易区の口座別計算業務の管理に対する審査の合格基準、業務審査における合格の評価と引き取り検査、リスク管理、資金の異常な流動に対するモニタリング・警告、各種の暫定的管理制限措置などについて明確な規定をうち出している。

実施細則は自由貿易用口座とは統一的な規則に基づく人民元・外貨建て口座であり、自由貿易区内の主体および海外の機関が需要に基づいて開設するものであると明確に規定する。口座別の制度があることで、金融機関は自由貿易区内の企業、個人、銀行、海外機関に向けて単独の口座を開設することが可能になり、表記はFT(自由貿易)、種類は普通口座となる。中国銀行上海支店の潘岳漢行長(総裁)の比較によると、自由貿易用口座とは別のルートを開設するようなものだ。国際基準を参照して、独立した委託・監督管理システムを構築し、自由貿易区内の主体に経常項目、直接投資、投融資の刷新などの業務に向けた金融サービスを提供すると同時に、参入前は内国民待遇を与えることを原則として海外機関に関連の金融サービスを提供するものだという。

人民銀上海本部の張新副主任によると、自由貿易用口座が真っ先に取り扱うのは人民元業務であり、計画では6カ月後に外国為替業務がスタートする予定だ。自由貿易用口座と海外の口座および国内の自由貿易区外の非常駐機関の口座、また自由貿易用口座間の資金の流動は、マクロ審査の原則を踏まえて管理を実施する。自由貿易用口座と国内(自由貿易区内を含む)の他の銀行の決済用口座との間の資金の流動は、限定的に浸透させ厳格に管理するとの原則を踏まえ、国境を越えた業務を参考にして管理を実施する。非金融機関の自由貿易用口座と同じ機関にある一般の口座との間の資金の振り替えは、実施細則が規定する4つのルートに基づいて手続きを行うという。

中国農業銀行上海市支店国際業務部の朱楹総経理によると、自由貿易用口座は企業にとってみれば一つのチャンスだ。過去には、貿易などの経常項目においてしか人民元と外貨との自由両替は行えず、投資などの資本項目における自由両替は制限されていた。将来は、企業の自由貿易用口座内の経常項目と資本項目の資金はどちらも自由両替が可能になる。これにより企業資本の運用効率は大幅に向上し、資金コストは低下する。

中国共産党上海市委員会の屠光紹常務委員(常務副市長)の説明によると、こうした制度の実施には、シンボル的な意味があり、基礎が備わり、方向性がある。上海自由貿易区の金融改革が新たな段階に突入したことを意味するという。

自由貿易区の口座別計算システムが構築されると、 区内の主体は自由貿易用口座というベクターにより、投融資における両替といった新たな業務を積極的に展開できるようになる。関連各部門はこのベクター・ツールを利用し、「1項目を成熟させ、1項目を推進する」という全体的原則を踏まえて、別に実施規定を制定し、自由貿易区において個人の国境を越えた投資、資本市場の開放、国境を越えた融資の利便性向上といった改革テスト事業を積極的かつ緩やかに進め、自由貿易区のビジネス環境を一層改善することが可能になる。

 

「人民網日本語版」2014年5月23日

 

 
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850