西安で映画を制作するフサイフィさん

 

1300年前、西安はすでにシルクロードを通じて世界各地からの賓客が集まる東洋の大都会だった。8世紀の西安(唐の長安)は中国の歴史上でも、自信と開放を象徴する存在だ。

西安に留学するトルコ人フサイフィ・ベンリさんは、西北大学新聞伝播(マスメディア)学院の3年生で、トルコ共和国のイズミル県にあるティレという小さな町から来た。イズミル県の県庁所在地イズミルは、古代シルクロードのアジア大陸における終点だ。

フサイフィさんは同学院唯一の留学生として広告を専攻しているが、最近彼は自身初の映画の撮影準備にとりかかっている。彼自身が最も関心を持つ題材であるシルクロードの伝説を映画化しようとしているのだ。俳優のオーディションもうまく進んでいるそうだが、応募して来るのはみなフサイフィさんの同級生だ。また、授業の余暇を利用して、彼は制作資金調達に駆け回っている。

シルクロードについての映画のオーディションを行うトルコ人の留学生・フサイフィさん(左から2人目)

フサイフィさんの考えでは、撮影する映画はカンフー映画のロマンチックな風格を持たなければならないという。このため彼は、カンフー映画を繰り返し見て、撮影テクニックを学んでいる。映画を撮る目的について、フサイフィさんは「トルコの人々は中国文化をよく知らないので、僕は映画を通して彼らに中国の文化を教えたいのです」と話している。

フサイフィさんの中国人の同級生にとって、トルコははるかに遠い国だ。しかし、彼らはフサイフィさんのことが好きで、彼に中国風の名前をつけて「阿福」(アーフー)と呼んでいる。「『福』は『幸福』の『福』であり、運がいいという意味です」と、彼は意味もきちんと理解している。

その阿福さんにとって、世界で最も難しいことと言えば中国の書道以外にない。しかし、これも中国の文化を知るための窓口だ。トルコはシルクロードで中国に一番遠いアジアの国であり、中国とまったく違う文化を持っている。これは、彼が地理的な距離だけでなく、文化の違いも乗り越えなければならないことを意味している。文化交流について、彼はこう理解している。「中国に来たばかりの頃、中国について何も知りませんでした。中国人の生活習慣や文化、歴史を次第に理解するようになって、中国とトルコはそれほど遠くないと強く感じるようになりました。つまり、文化交流とはコミュニケーションのことで、コミュニケーションしてこそ交流できるのです」。

阿福さんは灯火輝く西安の夜市が好きだ。そこにはおいしそうな食べ物が多数あり、行くたびに故郷にいるような気分になるという。夜市に行けば、海外暮らしの寂しさや勉強のつらさ、撮影準備に伴うさまざまな困難も忘れてしまう。

毎年夏休みになると、阿福さんは故郷に帰り、中国での体験や感想を家族に話して聞かせる。今、彼はトルコ語雑誌の制作にとりかかっている。故郷に中国の深遠な文化を紹介しようとしているのだ。将来は、西安で事業を立ち上げるのが夢で、文化メディア会社を設立し、中国とトルコの間で、雑誌を発行したり、映画やドラマを撮影したりするつもりだ。勤勉さと情熱さえあれば、すべての夢がかなうと彼は信じている。

 

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