ドバイでスーパーを経営する潘尚旭さん | ||
アラブ首長国連邦のドバイ市東南約15㌔の砂漠の中に、「ドラゴンマート」というユニークな商業施設がある。名前は中国語の「龍城」から翻訳されたもので、建物の前に中国を象徴する龍のモニュメントが立っている。ここは、2004年12月に中国がアラブ世界との貿易を拡大するために、アラブ首長国連邦と提携して建設した中東地域最大の商品集散地で、施設内には中国人が店を出し、中国からの商品を扱っている。 今、潘尚旭さん(64)はドラゴンマートで2号店の開店準備中だ。9年前、彼女は経営が順調な2軒のホテルと商社を売却して故郷の安徽省を離れ、ドバイでのビジネスを始めた。最初はドバイについてほとんど何の知識もなかったという。「当時はドバイの位置さえ知らなかったのです。ただネットで調べて、ここがイスラム国家であり、豚肉も食べられないし、お酒も飲めないということを知っていただけです」と潘さんは話す。 開業直後のドラゴンマートではインフラが整っておらず、客は施設内で飲料水さえ買えなかった。潘さんは、そこにビジネスチャンスを見出し、ドラゴンマート初のスーパーマーケットをオープンさせた。潘さんは、中国人が故郷の食べ物に執着することをよく知っており、ここで働く中国人のために中国からインスタントラーメンやザーサイなどを仕入れて店に並べた。
ドラゴンマートは敷地面積が18万平方㍍で、数万品種の中国製品を取り扱っている。開業してから3年間程度は業績が振るわず、その間に半分以上の店舗が撤退した。当然、スーパーの売上も伸びなかった。それでも潘さんは撤退を考えたことはなかったという。「ドラゴンマートは中国とアラブ首長国連邦の間で最大の貿易プラットホームとして、経済戦略から出発して建設されたものですから、あきらめるつもりはありませんでした」 現在、ドラゴンマートには2000軒以上の店舗がひしめき、中東とアフリカから毎日1万人以上の客が訪れるようになっている。年間取引額は400億㌦に達し、9年前の40倍にもなっている。貨物取扱量は1日平均3万㌧余りだ。それらの商品は、ほとんどが中国から仕入れられたもので、主に中東とアフリカに運ばれる。 潘さんのスーパーは、ドラゴンマートでの典型的な成功例で、年間売上は1200万元を上回っている。当時7万元を支払って入居した店舗の価値は現在では200万元に跳ね上がっている。ドラゴンマートに続いて、ドバイには中国マートが数カ所建設されており、潘さんは新たなマートにもスーパーを出店している。オープンしたばかりの4軒目のスーパーは、面積が1000平方㍍を超える。彼女はほかにもレストランの開業を計画中で、安徽料理や四川料理、広東料理、杭州料理など多彩な味が楽しめるようにするつもりだという。 現在、ご主人は潘さんに会うため2、3カ月ごとにドバイを訪れており、娘さんは結婚しドバイに住んでいる。また毎年、中国の南方が寒くなる季節には、潘さんは両親をドバイに呼び寄せている。ドバイで彼女は新しい事業を立ち上げながら、一家団らんも楽しんでいるのだ。
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