ビシュケクで中国の玩具を売るアイエンさん

 

アイエンさん(23)は中央アジアのドンガン人だ。ドンガン人とは、19世紀に中国から中央アジアに移動した回族の人々のことで、今ではキルギス共和国で人口第4位の民族となっている。キルギス最大の流通拠点ドルドイバザールで、アイエンさんは父親の店を手伝って中国からのおもちゃを販売しており、良いときには1日2万から3万ソム(約4~6万円)を売り上げる。店舗は4つのコンテナを組み合わせた2階建てのもので、1階は店舗で、2階は倉庫となっている。

アイエンさんは、キルギスが旧ソ連から独立した後生まれた世代で、ムスリムの家庭に育ち、今は7歳の子どもを持つ母親だ。元検察官のご主人もアイエンさんと同じくドルドイバザールで働いており、自分の店を持つのが2人の夢だ。

キルギスの市場で中国のおもちゃを扱う店(新華社)

キルギスの首都ビシュケク郊外にあるドルドイバザールは、その成功自体がひとつの奇跡と言われている。荒野に数千個の空きコンテナを積み上げて造られ、短期間で中央アジア地域最大の日用雑貨集散地に発展してきたのだ。ドルドイバザールは推定約5万5000人の雇用を生み出しているとされ、客はここで世界各地からの商品を手に入れることができる。その供給源は主に中国だ。

シルクロード沿いにある各国の経済成長、とりわけこの30年来の中国経済の急成長により、キルギスでは商品流通が盛んになっている。この10年で中国とキルギスの貿易額は10倍に拡大し、中国はキルギスにとって第2の貿易パートナーとなっている。中央アジアに移動してから150年が経過したが、ドンガン人は依然として食事や生活習慣、言語に中国の伝統を残しており、中国語方言を話すドンガン人は、中央アジアと中国との貿易に懸け橋的役割を果たしている。

今、アイエンさん一家の生活に新たな変化が起こっている。彼らはキルギス最大の中古車市場で中古車販売を始めたのだ。低い関税率のため、キルギスでは中古車が比較的安価で手に入り、多くの家庭では自動車を2台保有している。こうした事情を背景に、アイエンさんの義兄がドイツで中古車を仕入れて送って来る。中古車を受け取った後、アイエンさんのご主人は車を洗い、きれいに磨き上げた後、市場で販売する。しかし、彼らには中古車販売についてのノウハウが不足しており、まだこれから多くを学ばなければならない。

こうした努力を積み重ねる中で、アイエンさん一家の夢が一つ実現した。新たにオープンしたメディナバザールに自分の店を持ったのだ。中国から仕入れたおもちゃを販売しているが、まだドルドイバザールと比べると客は少なく、商売もいささかヒマだ。アイエンさんは、夢に向かってまだまだ頑張り続けなければならない。

 

人民中国インターネット版

 

 

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