ジーリー ボルボと劇的連携

 

張雪=文

今年4月1日、習近平国家主席は、ボルボのベルギー・ゲント工場を視察し、自らここで製造され、中国市場で販売される30万台目の車の除幕を行った。

もし、世界に名だたる欧州高級車メーカーのボルボを「深窓の令嬢」だとしたら、1997年に自動車製造に進出したばかりで、主に低ランクの車を製造していた浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)は名も知れない「貧しい青年」に過ぎなかった。なんと、この「貧しい青年」が2010年に、ボルボと結婚したのだ。

2010年3月28日、スウェーデン・ヨーテボリのボルボ本社で、中国ジーリー自動車グループはボルボ買収の協定に調印(新華社)

 2009年年初、中国ですでに津々浦々に知れわたっていたジーリーは、国際ブランドになるためには、自分ひとりで頑張っていても、長い時間がかかるばかりだが、海外の有名ブランドと連携すれば、近道だ、ということに気が付いた。そこで、ジーリーは赤字に悩んでいたボルボの買収を思い立った。これを聞いて、スウェーデンの政府関係者もボルボ社役員も口をそろえて、ボルボが釣り合いの取れないジーリーに「降嫁」することに反対した。

1年近くの交渉を経て、ジーリーはボルボ買収が実現した後も、ボルボのブランドを尊重し、ボルボの独立性を保つという点を明確にした。具体的には、本部は引き続きスウェーデンのヨーテボリに置いて変えない、また工場、研究開発センター、労働組合やディーラーネットワークもすべて残すことを明確にした。ジーリーの誠意が次第にボルボの心を動かした。スウェーデンの主流メディアもジーリーに注目し始め、この買収計画を前向きに報道するようになってきた。

2010年3月28日、ジーリーは18億㌦でボルボの全株式を買収し、ついにこの「深窓の令嬢」と「結婚」した。

買収後、ジーリーがグローバルな視野を徹底的に広げたことによって、大量の技術やマネジメント分野の優秀な人材がジーリーに流入し、ジーリー自動車の研究開発システム、マーケティングシステム、サービス水準などの面における改革も加速された。中国企業が欧州の有名企業を買収した経験について、ジーリーの李書福取締役会長は、「西側の成熟したビジネス文明を十分に尊重し、法律に基づき、公開性、透明性の高い企業ガバナンスが必要だ」と述べた。

ボルボに37年間勤務し、かつてジーリーに対し疑問を抱いていたボルボの取締役で労働組合責任者のマヌス・ソドモール氏も、見方を変えた。「ジーリーは買収した時の約束を守り、リストラをしなかっただけでなく、逆に社員を増やした。今、私たちは最も専門的な指導グループを擁し、会社は上から下までジーリーに対し、信頼感を持っている」と語った。

 

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