世界金融危機で弾みつく

 

沈暁寧=文

中国の対外投資の起点を1980年代の改革開放初期とすれば、過去30数年の歩みを、以下の四つの段階に分けることができる。各段階ごとに変化を遂げ、最終的に中国は欧州連合(EU)、米国、日本に次ぐ世界第4位の大対外投資経済体となっている。30数年来の世の転変を経て、中国企業はかつてないほど世界の経済に溶け込んでいるとともに、世界もかつてないほど中国の資本を重視するようになってきた。

スタート段階は政府主導

1980年代、中国の改革開放事業は緒についたばかりだった。当時、中国の資本と外貨準備が非常に不足していたため、対外投資の多くは、政府が経済貿易活動を開拓発展させるために、国有企業の海外支店や拠点を通じて行われていた。うち主体となる投資企業は中国銀行、中国国際信託投資公司、中国冶金建設総公司など、大手国有金融企業と対外プロジェクト公司だった。これらの企業の業務の総量は極めて少なかった。

90年代から、中国は計画経済から市場経済へ転換するカギとなる段階に入った。この時期、対外投資の主体は大手商工企業になり、その投資形態も海外での買付ルートと販売ネットワークを通じてだった。対外投資の量も質もある程度向上したが、投資企業と投資総額においては、いずれも国民経済の主流には入っていなかった。91年、国家計画委員会は「中国はいまだに大規模な対外投資を行う条件を備えていない」として、企業の対外投資は「国外の技術、資源、優位性を利用して、国内の不足を補うことに重点を置くべきだ」と、指摘した。

「海外へ」も重要戦略に

97年、江沢民国家主席(当時)は全国外資工作会議でこう語った。「われわれは海外企業の投資を誘致する一方で、国内の実力のある企業が海外へ投資し、工場を設立し、現地の市場と資源を生かすように、積極的に導くべきだ。『外資導入』と『海外発展』とは、対外開放方針の両面であり、互いに繋がり合い、促進し合い、どちらを欠いてもいけない」。2000年初、江主席はさらに「海外発展戦略」を「中国発展の全局と前途に関わる重要な戦略」にまで引き上げた。

国の対外投資に対する奨励と支持、さらに、01年の世界貿易機関(WTO)加盟は、中国企業が国際化する上でかつてないチャンスをもたらした。03年から、中国の対外投資額は毎年倍増の成長を続けた。07年には、265億1000万㌦に達し、03年比で10倍増近くになった。

中国資本の「輸血」が奏功

08年、世界経済は大規模な金融危機に遭遇し、欧米などの先進国の実体経済は資金チェーン断絶の危機に陥り、破産に直面した有名なグローバル企業さえ出た。多くのグローバル企業に危機から抜け出すため大量な資金が必要となった時、中国企業は中国の資本を持って彼らの前に現れた。

現実を前に、苦境に陥ったグローバル企業はかつての高慢さを捨て、中国企業から「輸血」を受けた。客観的に見て、中国の対外投資発展を加速する得がたいチャンスをもたらした。統計によれば、08年の中国の対外投資額は559億1000万㌦に達し、8500社以上の中国企業が世界の174カ国・地域の1万2000社の企業に直接投資した。

08年、中国が世界金融危機に勇敢に立ち向かったことで、世界経済の危機は大いに緩和され、多くの外国企業が起死回生を果たした。中国は国際社会全体から称賛を浴び、対外投資事業は新たな段階に上った。それ以後、中国の対外投資は「高速道路」に入ったと言えよう。

世界第4位の投資大国に

08年以後、中国の対外投資は成長し続け、次第に純資本輸出国へと発展してきた。M&A(企業の買収・合併)、投資、出資など、現代企業の発展方法も対外投資に使われ、しかも主な方法になった。対外投資の主体も国有企業から民間企業に転換し、さまざまな中小企業の対外投資の増加もさらに際立った。例えば、四川騰中重工機械有限公司が米自動車大手ゼネラル・モーターズから「ハマー」を買収し、ジーリーがボルボを買収するなど、いずれも国際社会の注目の的となった。

12年、中国の1万6000社の企業が179カ国・地域の企業に投資しただけでなく、投資先の業種も国民経済のすべての領域に及んだ。同年、中国は878億㌦の対外投資額をもって、世界の第3位の大対外投資国となった。

昨年、中国は対外投資にさらに力を注いだ。同年4月のボアオ(博鰲)・アジアフォーラムで、習近平国家主席は、今後5年間、中国の対外投資は5000億㌦に達する見込みだと語った。習主席はさらに国際社会に、中国と共に新たなシルクロードと海上シルクロードを建設し、中国と世界の協力・ウインウイン関係の構築により広いプラットホームを創ろうと、呼びかけた。

 

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