張春侠=文
都市化は現代化において通らねばならぬ道であり、農業・農村・農民における問題を解決するための重要な手段で、地域の協調的発展の力強い支えとなり、内需拡大と産業アップグレードの重要な突破口となるものである。2014年3月16日、「国家新型都市化計画(2014~2020年)」(以下「計画」と表記)が正式に発表された。これは今後しばらくの中国の都市化の健全な発展を導くためのマクロ的、戦略的、基礎的な計画となるものである。
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中国の流動人口の規模は急速に拡大し、2020年の都市人口は8億人を超えると予測される。今後10年間に累計1億人以上の農村人口の移動が発生し、新世代の農民工の増加が都市化建設と発展にもたらすプレッシャーは少なくない |
2020年の目標は60%
「計画」によれば、都市化の快速な発展の過程には、重視すべきで、解決に全力を挙げなければならない矛盾や問題が存在している。多くの農業移転人口(農業をやめて都市に流入した人口)は都市社会に溶け込むのが困難で、彼らの都市民化は遅々として進まない。「土地の都市化」は人口の都市化のスピードより速いが、建設用地は粗放的で低効率のままである。都市の空間分布と規模・構造は非合理的で、資源環境の受け入れ能力と釣り合っておらず、都市化の健全な発展を阻害している。
このため、「計画」では以下のような都市化の5大発展目標が定められた。
一、都市化レベルと質を徐々にアップ
関係データによると、現在、中国の常住人口都市化率(地域の総人口に占める都市部常住人口の割合)は52・6%だが、戸籍人口で計算した場合の都市化率はわずか35・3%で、都市化率は先進国と比べると大きく劣る。「計画」では、2020年までに、常住人口都市化率を60%前後、戸籍人口都市化率を45%前後にまで引き上げ、戸籍人口都市化率と常住人口都市化率との差を2%ほど縮小させ、約1億人の農業移転人口とその他常住人口の都市定住を目指す。
二、都市化構造の最適化を加速
現在、北京、上海、広州、深圳の四つの一線都市と、それに次ぐ二線核心都市の人口規模はすでにかなり大きくなっており、都市開発の進展もほぼ飽和状態となり、「都市病」がますます顕著になってきている。「計画」では、都市化の健全で秩序だった進展のために、「2横3縦(32、33ページ参照)」を主体とした都市化戦略構造を打ち立て、都市群の経済、人口の集中能力を増強し、東部地区の都市群の一体化水準と国際競争力を顕著に高め、中西部地区の都市群を地域の協調的発展を推進する新たな重要な成長ポイントとするとしている。また、都市の規模や構造をさらに整え、中心都市の輻射・促進作用をより際立たせ、中小都市を増やして小都市のサービス機能を増強する。
三、都市発展モデルは科学的・合理的に
「計画」では、都市化においてエコロジー文明、エコ、ローカーボン、省エネ、集約化などを体現することを要求しており、密度が比較的高く、機能を共用して公共交通により誘導される集約的開発モデルが主導し、一人あたりの都市建設用地を100平方㍍以内に厳格に抑制し、人口密度を次第に高めてゆくことを明確に提言している。エコ生産、エコ消費を都市経済・生活の主流とし、省エネ・節水製品、リサイクル製品、エコ建築の割合を大幅にアップさせる。都市の地下パイプやケーブルの普及率を顕著に高める。
四、住みやすい都市へ
「計画」では、義務教育、就職あっせんサービス、基本年金、基本医療衛生、保障型住宅(低中所得者層のための廉価な住宅)などの都市の基本公共サービスの全常住者へのカバーを着実に進め、インフラと公共サービス施設をさらに整備し、消費環境をより便利にし、生態環境を著しく改善し、空気の質も着実に好転させ、飲用水の安全にも保障を与えることを要求している。自然景観と文化的特色を効果的に保護し、都市の個性化、都市管理のヒューマナイズ化、インテリジェント化を目指す。
五、都市化システム・メカニズムの整備
「計画」では、今後は戸籍管理、土地管理、社会保障、財政・税制・金融、行政管理、生態環境などの制度改革において大きな進展を得なければならず、都市化の健全な発展を妨げるシステムやメカニズムを基本的に排除することを明確に要求している。
新型都市化は長期的な歴史の歩みであり、一挙に成るものではない。このため、「計画」ではさらに、①農業移転人口の市民化を秩序だって行い、②都市化の構造と形態を最適化し、③都市の持続可能な発展能力を高め、④都市・農村の一体化発展を推進するという四大戦略任務をしっかり実施しなければならないとしている。これに導かれ、中国は農業移転人口の市民化を秩序だって推し進め、自らの意思により自ら選び、その土地の状況に応じて段階的に、既存人口を優先して、次第にその数を増やしてゆくという原則により、農業移転人口を重点として、同時に大学や職業専門学校の卒業生、他地域から都市部での就職者や都市・郊外地域の農業人口も対象として、統一的に戸籍制度改革と基本公共サービスの均等化を進めてゆく。
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