張春侠=文
滑らかなコンクリートの道、整った公共付属施設、数階建ての住宅などが、「別荘地」に入り込んでしまったかのような錯覚を与える。しかしここは別荘地などではなく、成都市温江区万春鎮の「幸福田園」コミュニティーで、幸福村の236戸の村民の家である。
「幸福田園」プロジェクトは、村民が自ら希望して参加申請したもので、自発的に土地などの生産手段を株式として、村全体で株式経済協力組合を設立し、民主的な選挙によってプロジェクト議事会、監事会などを組織し、これらの組織が全面的に、全過程のプロジェクトの実施業務を行う。株式となった土地は、農民の集中居住区の建設以外は農村レジャー観光施設として使用され、余った土地はさらに1ムー当たり35万元の価格で貸し出され、万春鎮の都市計画区として使用される。
2012年末、幸福村の村民は今までの生活に決別し、正式に各種の付属施設が整った「幸福田園」コミュニティーに入居した。従来の都市化に比べると、村民たちは自分のもともと持っていた土地を失うことなく、以前の花卉・樹木栽培業にも従事することができる。村民の張躍雲さんの新しい家から彼の畑まで歩いて5分もかからず、さらに村の病院やスーパーマーケットにより近くなった。
温江は中国西部の花木の主要な生産地で、生産・販売量は成都市場の半分を占めている。この産業をさらに発展させるために、村民たちは自発的に株式経済協力組合を組織し、ここに駐在する企業と協力し、社会資本を誘致してプロジェクト地区の建設用地開発に参与し、観光農業やレジャー産業を行う。村民は自分の土地を耕作すると同時に、そこにある企業に勤めることもできる。このようにすれば、給料のほか、村民自身の土地から土地賃貸料、家屋賃貸料などの収益を得ることができ、1人当たり1万6000元ほどの年収となる。村民たちは、「現地の企業に勤め、居住はコミュニティーで、生活は景観区で、収入保障あり」という十分豊かな新生活を始めることができる。
「幸福田園」コミュニティーを歩いていると、庭園の中を散策しているような気がする。このプロジェクトは集団所有地の財産権という性質を保留しているが、農民が従事している職業は以前の単純な農業労働から、農業技術労働あるいは第三次産業になっている。彼らの享受するインフラ施設、公共サービス、商業サービスなどの生活条件はすでに都市のレベルに達しているか、それに近づいている。プロジェクト地区の農民と都市居住民との違いは基本的になく、収入や居住環境などの面では、普通の都市民のレベルを超えることすらある。
「幸福田園」は今までの都市化モデルによって顕在化した土地徴収問題を根本から解決し、農民の手に土地などの財産権を握らせ、生産・生活方式の転換を成し遂げ、静かに農民から都市民への橋渡しを行った。土地を離れず、故郷を離れない「農村の都市化」である「幸福田園」は、新型都市化の一つの成功モデルを提供することになったのである。
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成都市に中国最初の農村財産権取引所が開設された |
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