世界で唯一の千戸ミャオ寨(村)、西江は、雷山県の東北部に位置し、現在1250戸、5600人が暮し、“ミャオ族の本拠地”といわれている。
吊脚木楼と呼ばれるトン族の独特の建築のなかでは、青年男女の歌声の悠々とした曲調がいつも聞こえ、白水河が静かに流れ、古びた風雨橋(トン族の部落の入り口に建てられる屋根つきの橋)があり、橋の上で誓われた言葉や故事を秘めている。
細い雨のなか、石畳の小道は濡れて光り、道沿いには、ミャオ族の銀の飾り、楽器、刺繍の布製の小物入れ、若い男女をかたどった工芸品が売られている。また道端では、ミャオ族のモチ米のお菓子が売られ、お客たちは自分たちで作り方を試したのち、味わうこともできる。
露天の舞台では、昔のままの歌舞が演じられ、高い声の歌のなかにミャオ族のもてなしが感じられる。ミャオ族の古歌は人々の心を打ち、葦の笛を使った踊りは、人々をその輪に誘う。夜になると、静かなミャオ族の家々には明かりがともり、人々の心を温かく照らす。(文・写真=孫立成)
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