利益大きいが難問も山積

 

互恵とウインウインへ

「政策面の意思疎通、道路網の整備、貿易の円滑化、通貨の流通、民心交流」――習主席が「シルクロード経済ベルト」共同建設という構想を提起した際、実現するための措置も打ち出した。これらの措置は「海上シルクロード」にも適用される。経済発展に取り組むだけでなく、政治関係の安定も重要視する。平等・協力、互恵・ウインウインに基づいて打ち出した「1帯1路」は、第18回中国共産党全国代表大会(党大会)以来、中国が発展の過程において、周辺国にさらなる実益を与える外交政策と理念を体現するだけでなく、中国の協力によって地域の安定、発展、繁栄を実現する願望も反映した。

「この1年近くにわたり中国の指導者による数回の態度表明から、中国は、『1帯1路』を建設する過程で、勢力拡大を図らず、排他的な協力をせず、自己利益の最大化を追求せず、中国主導を強調しないことは明らかだ」と、北京大学国際関係学院の楊保筠教授が分析している。

2014年5月、中東、中央アジア、東南アジア、アフリカ各国の代表が青海省西寧を訪れ、西部地区省・自治区の責任者と「1帯1路」の協力プロジェクトに調印した

外交部欧州・中央アジア局の張漢暉局長はさらに、「1帯1路」が中国と「シルクロード」沿線各国との悠久の歴史的なつながりに根を下ろし、各国が発展を共同で追求する現実的な需要にも順応した。「1帯1路」の実施によって、沿線各国の利益がつながり、中国をより良く、より速く世界に溶け込ませ、関連する国家・地域も中国の発展がもたらす成果とチャンスを分かち合い、優位性の相互補完と共同発展を実現する、と解説する。

「1帯1路」は歴史に対する伝承であり、時代に対する発展でもあると言える。6月22日、第38回国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、中国とカザフスタン、キルギスの3カ国が共同申請していたシルクロード項目の世界文化遺産登録を決めた。この多国共同申請の項目が成功を収めた重要な要因の一つは、多国が建設した古代シルクロードは人類の歴史において偉大な役割を果たしたからだ。今日の「1帯1路」は、古代シルクロードの平和、包容の伝統を継承している。それと同時に、多国間関係の発展を提唱する目下の時代の流れにおいて提起した互恵・ウインウインの理念は、今後、各国・地域間がいかに付き合い、いかに協力を展開するため、新たな道を探り出した。

決して平らな道ではない

「1帯1路構想」の目標は素晴らしいが、古代シルクロードを歩んだ先人たちが、「砂嵐」に遭遇し「暗礁」に乗り上げたように、その実現には難関が待ち受けている。

「シルクロード経済ベルト」の構築について、中央アジアの国々の取り組み度合いは各国の異なる実情に影響されている。キルギスが中国―キルギス―ウズベキスタン国際鉄道の建設から離脱したことは難関の始まりである。キルギスは「経済ベルト」の構築に前向きに当たっていくと発表したが、昨年12月に中国―キルギス―ウズベキスタン国際鉄道の建設から離脱したと公表した。一方、ウズベキスタン側はこの国際鉄道の着工に期待を寄せている。異なった姿勢から、沿線各国の取り組み度合いを決めるのに、「経済ベルト」は自らの利益をどの程度満たせるかによるものだとわかる。

さらに、中央アジア各国の間に、国境問題や水資源の分配などの争いが存在している。これによって、「経済ベルト」の共同建設において、中国と各国との政策調整が一層難航しそうだ。

このほかにも、中国の経済優位性に対して、一部の中央アジアの国で、双方の経済協力から中央アジアの国ではなく、中国が相対的に大きな利益を得る、との認識が広がっている。中国系移民と安価な商品が大量に流れ込むとともに、現地住民の雇用が減少することにつながるという声もある。「経済ベルト」の共同建設を疑問視する意見があるため、中国は説明と意思疎通に工夫するのみならず、実際の取り組みにおいて、より多くの誠意を示すべきで、ひいては一部自らの利益を犠牲にすることも必要とされる。

最後に、沿線地区の一大国として、ロシアの姿勢も「経済ベルト」の建設にかなりの影響を及ぼすと見られ、参加国間の政治的相互信頼の構築が不可欠だ。

また、「海上シルクロード」は「経済ベルト」よりもさらに難しい、複雑な試練に直面している。沿線各国のうち、政局が不安定で、インフラ整備が立ち遅れ、経済・貿易の法律が整っていない国もあれば、中国との間に係争またはこれまで解決されなかった歴史問題を抱えている国もある。これらすべてが「海上シルクロード」にかなりの障害となっている。

楊保筠教授は「さまざまな試練に直面しても、互恵・ウインウインに立脚する『1帯1路』の構築を通じて、沿線各国の交流・協力を推進することは今後の流れだ。中国と参加国が戦略協力の趣旨をしっかり把握すれば、『1帯1路』は必ず素晴らしい未来を迎え、幸福が必ず実現する」と自信たっぷりに語った。

 

人民中国インターネット版

 

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