発生源から根治を目指す 粗放型生産・生活方式へ宣戦 |
社会・経済の急速な発展と工業化、都市化の加速に伴い、中国のスモッグ問題は日ましに深刻化し、ますます社会から幅広く注目されるようになっている。ところで、スモッグの発生源は何なのか? われわれはどのように対応すべきなのか? スモッグの発生源に諸説 スモッグの発生源は多様であり、この十数年、学者たちは大都市におけるPM2・5の発生源について大量の研究活動を行ってきた。現在一般的に認められている説では、工業による汚染、石炭燃焼の排気、自動車排ガス、路上の砂ぼこり、調理時に発生する油煙、露天での炙り焼き調理による煙などすべてがPM2・5濃度の上昇、スモッグの頻発をもたらす「元凶」とされている。専門家は、工業排出以外に、都市の無秩序な発展も大気汚染を拡大する要素だと考えている。 北京を例にとると、自動車の影響がますます目立ってきている。北京市環境監視・測定センターのデータによると、自動車排気ガスによるPM2・5は排出総量の約22・2%を占めるという。しかし、中国科学院大気物理研究所の研究員である張仁建氏は昨年12月に、自動車排気による汚染は4%以下だが、あまり耳になじみのない「二次無機煙霧質」による汚染が26%に達するという全く違う結論を打ち出した。 これに対し、環境保護部監視・測定局の朱建平副局長は、サンプリングする範囲の広さ、研究期間の長さによって分析結果が異なるのだろうと語った。 粗放型生産・生活方式へ宣戦 大気汚染は先進国において100~200年にわたる工業化の過程で段階的に現れ、次第に解決されていった環境問題だったが、中国においては急成長を遂げたここ30数年に集中的に出現したものである。発生源が複雑なため、PM2・5の防止はかつてないほど手を焼く課題になっている。 「大気汚染は環境問題であり、発展の問題でもあります」と国家発展・改革委員会資源節約・環境保護局の馮良副局長は指摘する。全体からすると、粗放型成長パターン、非合理的な産業構造とエネルギー構造が原因となるだけでなく、監視・管理の不足、違法汚染物排出行為などもスモッグの発生につながる要素で、長期的に見れば、粗放型成長パターンの転換を図り、経済、産業、エネルギー構造を調整し、エコでローカーボンな循環型成長を実現し、資源・環境のボトルネックを乗り越え、エコ文明建設を加速し、持続可能な発展を実現することが根本的な措置だと馮副局長は考える。中国科学院の秦大河院士は、「大気汚染を防止・制御するには、汚染を引き起こす企業を閉鎖する一方、製品の技術と科学性を向上させるべきです」と語る。 李克強総理は今年の「両会」の記者会見で、次のように語った。現在、中国は161都市でPM2・5数値を測定しているが、この都市数は発展途上国の中では最多である。今年の単位GDP当たりのエネルギー消費量を3・9%以上削減し、二酸化硫黄と化学的酸素要求量の排出量をそれぞれ2%削減する。これは石炭使用量を2200万㌧削減することを意味する。 また、PM2・5への宣戦は大自然への宣戦ではなく、粗放な生産・生活方式への宣戦であると語った。「違法に排出し、自然と人間を傷つける行為に対し、政府は決して手を緩めず、徹底的に処罰する。見て見ぬふりをしたり、監視・管理が十分でない管理者に対し、厳しく責任を追及する」。さらに、スモッグ解消には、手をこまねいて風や雨を待つだけではなく、積極的に立ち向かう必要があり、政府、企業、全社会のメンバーが協力し、長期的にたゆまぬ努力を続け、この難関を乗り越えてゆくべきであることを強調した。 協力強化による大気汚染防止 2013年12月13~15日、東アジア大気汚染対策・環境産業国際協力サミットが河北省で開催された。テーマフォーラムにおいて、ある専門家は、大気汚染の防止・制御協力では中国、日本、韓国は共通した地域性と責任があり、また、環境保護産業、グリーン経済の発展協力において、三国は大きな資源的優位性、ビジネスチャンス、成長の潜在力があり、東アジアの持続可能な発展を推進する上で共同の利益があることを指摘した。 「大気汚染、水質汚染防止・制御の分野では、中日韓三国は共同の利益と共同の任務があります。日本と韓国の経済は中国より進んでおり、両国が歩んできた道はわれわれが汚染を防止・制御する上で良い経験・手本であり、両国の先進技術は学ぶ価値があります」と、中国国際経済交流センターの鄭新立常務副理事長は語った。 日本の環境省中央環境審議会大気・騒音振動部会の坂本和彦会長は、「アジア地域の国境を越えた大気汚染問題は1国のみで解決できるものではなく、地域協力または相互支援によって防止・制御体制を構築して解決すべきです。汚染物を排出する国にとっても、その影響を受ける他の国にとっても、相互協力による大気汚染防止・制御は非常に大きな意義があります」と、発言の中で指摘した。
人民中国インターネット版 2014年9月23日
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