洛陽のボタン

 

日本のサクラのように、中国の人々に一番に愛されている花はボタンだ。そんなボタンの文化が色濃い河南省の洛陽市を訪れた。国賓級の人々にプレゼントとしてよく贈られる牡丹磁も洛陽の産地だ。季節は間にあわなかったけれど、何万もの花をつけるボタン公園も有名だ。

なぜ、中国の人々がボタンを愛でるのか、この地でボタンを研究する専門家にうかがった。ボタンは大きくて鮮やかな、おおらかな花をつける。その大胆さが魅力で、以前は、七夕などに恋人に贈られた花だったそうだ。また、周りの植物を排斥することなく、葉や茎が枯れてでも花を付け種を残し、焼かれても、根さえあれば翌年再生する強さが魅力だと言う。

ボタンの歴史は古い。隋の時代に栽培されていた記録があり、唐の時代には貴族の中で好まれていたそうだ。宋の時代には一般の人々にも広がり、現在に至るまで、ずっと愛され続けている。

日本には遣唐使で伝わったそうだが、着物や、花札や、牡丹餅といった、日本の伝統的な文化にも浸透していて、実は私は、ボタンは日本発祥の花かと思っていたほどだ。

中国を旅して、これまで身近に触れてきた文化のルーツに出合えることがよくあるが、ここ洛陽でも、改めて、日中の文化の深いつながりをしみじみに思った。

中国在住フォトグラファー 佐渡多真子

1995~97年、北京大学留学。99年より北京在住。人民中国、朝日新聞、AP通信、NHK中国語会話テキストなど内外のメディアで中国に関わる写真とエッセイを中心に活躍。著書に『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)など多数。北京中芸影像学校顧問。

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人民中国インターネット版 2014年11月

 

 

 

 
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