中日関係の行方

朱倩穎(北京第二外国語学院)

 

 もし日本語が専攻でなければ、こんな事はきっと考えないだろう。大学の専攻を選んだのは、まるで運命のようだった。日本に関わるものに全く興味のない私が日本語という選択肢を選ぶとは思わなかった。高校生の私は「もし、将来日本語ができれば、字幕なしでも、名探偵コナンを見る事ができる。なんてすばらしい事だろう」。その程度の認識しかなかったのだ。

 確かに、大学に入学前、日本と私をつなげる唯一のものは「名探偵コナン」だけだった。中学生の時、宿題が多く、勉強に集中するため、両親にテレビを見る事を禁止された。しかしどうしても、コナンのアニメが見たかったので、いつも父と母に隠れて、こっそりとドキドキしながら、家の隅でコナンを見ていた。「名探偵コナン」の主人公、江戸川コナンは体が小さいものの、大人の頭脳を持っている。コナンと過ごす日々はおぼろげながら、私に日本というものを理解するチャンスを与えてくれたように思う。

 日本と縁があったようで、私は幸いにも日本語学科の学生になり、大学で新しい生活をスタートさせた。初めて、日本人の先生の授業を受けた時、先生がすらすらと日本語を話していたのを見て、とても憧れた。「これが活きた日本語というものか。アメリカ人やイギリス人が話す英語と違うんだなあ」。私はこの時初めて日本人と接したのだった。私と同じように目が黒く、肌が黄色く、アジア人であると言っても、やはり話す言葉が全然違う事から、違いというものもきっとたくさんあるのだと思った。日本人の先生は優しく、知らないうちに、授業は愉快な雰囲気のもとで終わった。この日本人の先生のおかげで、私の日本への興味が湧いてきたように思う。

 それからは、積極的に私が学ぶ日本語学部で開催される日本人留学生交流会に参加し、日本人の友達もできるようになった。日本人と一緒に勉強していくうちに、日本人の特徴がだんだん分かるようになった。

 日本人は時間の観念がとても強い。彼らは必ず留学生交流会の待ち合わせの時間の五分ほど前に会場に着いている。日本人にとって、時間は大切なものであるようだ。たとえば、日本では列車の運行において、秒単位まで計算された上で行われている。そして、「時間を守る」という規範は日本人の個性のひとつになったと言っても過言ではない。この強い時間観念のおかげで、日本の電気製品は精密に作られている。そして、世界の中でも最高レベルの評価を受けてきた。これは見習うべき習慣だと私は考えている。

 なぜなら、中国では時間を守らない人がどんどん増えてきたように思うからだ。たとえば、一番よく見られる例は、学生たちの遅刻に関する事だ。毎日授業が始まる直前に廊下を走る学生たちの姿を見る事が出来る。これは小さい事のように思えるかもしれないが、先生にとっても、時間通りに教室に着いた学生にとっても、無礼だと思う。それは授業の雰囲気を壊すだけではなく、その学生の今後の人生にとっても、最悪の事態をもたらしかねない。

 日本人のもう一つの特徴は礼儀正しいという点ではないだろうか。日本語を学ぶ時、私は敬語が一番難しい点だと考えている。これは日本人が礼儀を重視しているからこそ複雑化したのではないだろうか。そして、日本人の学生が先生と会う時、挨拶の言葉だけではなく、お辞儀をする事も必要になる。中国もずいぶん昔から礼儀大国と呼ばれている。これは中日両国の共通するところである。このような基礎の部分を同じくするからこそ、私たちの交流は順調に進むのだ。

 だからこそ、中日両国は政治や経済、そして文化などの分野で盛んに交流が行われている。周知のように、中日両国は一衣帯水の関係で、お互いに大同につき小異を求め、ともに発展してこそ、よりよい未来が作り出せるのではないか。 

 現在、日本語を勉強している私たち若者は、中日両国をいっそうよく発展させるのが役目だ。人はみんな生まれつき相手に優しく出来る存在であり、輝いた未来が私たちを待っていると信じている。これまでの歴史の中で、中国と日本が築いてきた関係がどうであれ、希望を持って、前向きに努力すれば、きっと新しい道が見つけられるのではないだろうか。

 
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