権力の行使を根本から規制

 

「法による国家統治」をテーマとした4中全会は、10月20~23日に北京で開かれた。会議後に発表されたコミュニケの多くの内容は、腐敗の撲滅・処罰と密接に関わっている。法の制定、執行、適用、順守などの領域から権力を制約し、権力行使の制度・規則体系を構築する内容だ。

まず法の制定について、コミュニケは科学的な立法の実現を掲げた。今後、全国人民代表大会(全人代)や全人代常務委員会の立法機能を強化し、立法機関と立法担当者の専門性を高める。また「各部署が立法を主導する」という異常な現状を改善し、民衆が参与する度合いを高める。中立的なプラットホームで利害関係者に意見交換してもらい、各界のニーズを最大限満足させる。権力の行使を根本から規制し、乱用を防ぐのが狙いだ。

法の執行については、公民と最も関わりが多いのは行政権力であるため、政府権力の法治化が極めて重要だ。コミュニケは、政府が法に基づいて全面的に役割を果たし、機構や機能、権限、プロセス、責任の法定化を推進し、政府権力のリストアップを進めるよう明確に求めた。この一連の措置を通じ、権力を法治の軌道に乗せれば、自然に腐敗防止の効果が表れると期待されている。

これについて、劉小妹・中国社会科学院国際法研究所副研究員は「反腐敗基本法の制定を推進し、反腐敗業務の組織、原則、職権、事案処理のプロセス、法的責任などを明確にしなければならない。同時に、反腐敗の法体系を整え、幹部の選抜任用や人事評価などの具体的な制度を定めるべきだ。腐敗撲滅を完全に法治の軌道に乗せ、法治による腐敗撲滅能力を高める必要がある」と指摘する。

司法をめぐっては、三つの改革が注目されている。一つ目は、省を越えて案件を扱う人民法院(裁判所)と最高人民法院の巡回法廷開設を通じ、各地の裁判所が地元有力者の干渉を受けないようにする改革だ。二つ目は、司法の独立性を守るため、指導者・幹部による干渉や具体的な事件処理への介入を記録、通報し、責任を追及する制度を設計することだ。三つ目は、条件に合致する弁護士や法律の専門家を立法担当者・裁判官・検察官に登用し、司法分野の専門化を図る改革だ。これらの措置により、中国の司法体系の独立性と専門性を一層高め、指導者・幹部の司法への介入を抑止し、公平と正義を守り抜く。

法の順守については、法を守るのは光栄であり、法に背くのは恥だとする社会的なムードを醸成するよう4中全会は提唱した。劉副研究員は、「幹部の選抜任用制度と科学的な人事評価制度の改善を通じ、上司に従う公務員の働き方と考え方を是正し、自分の職務に責任を持つ価値観を育ててもらう。とりわけ、上司の指示・要求が自分の持ち場の法的な要求とぶつかった場合、公務員は法治意識と順法精神を持たなければならない。これは腐敗撲滅の鍵だ」と指摘し、特に公務員システムにおいて法治と順法の理念を養い、打ち立てることを強調した。

内容の充実したコミュニケは、法による国家統治の青写真を全面的に描いた。しかし、まだ細分化し、適切に執行できる制度に転換し、「権力を制度のオリに閉じ込め、あらゆる場所を法治の光で照らす」という目標を実現する必要がある。

さらに、11月7、8日に北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議で「北京反腐敗宣言」を採択した。「APEC汚職防止当局・法執行機関ネットワーク」を構築し、アジア太平洋地域の汚職の容疑者や不正資金の追跡などで協力し、国境を越えて腐敗を取り締まる構えだ。

アジア太平洋地域全体の反腐敗協力によって、国外に逃亡して追及を逃れようという腐敗官僚のたくらみは水泡に帰し、海外という「反腐敗の盲点」にも光が当たるようになった。

 

 

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