安倍夫妻が『朱鷺』を鑑賞

 

10月7日夜、李小林・中国人民対外友好協会会長が率いる上海歌舞団が東京で舞踊劇『朱鷺』の初公演を行った。安倍首相夫妻が会場を訪れて同劇を観賞し、また短時間だが李小林会長と言葉を交わした。日本メディアはこのエピソードを大きく取り上げ、中日関係の好転を示す兆候だと歓迎した。なぜこの普通の舞踊劇がこれほどまでに注目を集めたのか?

トキは中日両国民が好む「吉祥の鳥」だ。両国は1985年からトキの保護に関する協力体制を構築し、『中日共同トキ保護計画』に調印した。トキをめぐって繰り広げられた中日両国による一連の協力は、両国の民間友好の促進に大きな役割を果たした。舞踊劇『朱鷺』は、中国人民対外友好協会と日本民主音楽協会(民音)の共催であり、「民をもって官を促す」という特色が顕著に表れていたため、安倍首相夫妻の観劇は11月の首脳会談の実現に向けた環境整備を意識したものだったと見られる。

中日関係を改善するには、両国の指導者が互いに誠意を示し合うべきだが、首脳会談だけで関係回復を図ることは期待できない。むしろ両国において社会の相互理解を促進すべきだ。中国は日本との半官半民および民間による交流は例外を除いて継続してきた。6月初旬に唐家璇・中日友好協会会長が率いる中日友好21世紀委員会が長崎市を訪れて意見交換会を開いた。また日本国家観光局(JNTO)の統計によると、今年7月の訪日外国人数全体で最多を占めたのは中国大陸からの訪日客で、前年同期比2倍の28万1000人に達した。また、毎日2万人ほどの人々が中日間を行き来し、さらに日本には70万人ほどの華僑が暮らしている。同時に10万人以上の日本人が長期にわたり中国で仕事をし、生活している。彼らの多くはすでに相手国の社会になじんでおり、往来しながら互いに理解を深めている。

観光以外にも環境保護や循環経済、医療、青少年交流など、両国にはさらに多くの分野で、互いに協力し合える大きな余地があり、幅広い共通利益を受けることができる。従って、政府間の交流が不調な場合は、政府以外のルートを通じて互いに信頼を深め合い、利益の絆を強めることができるだろう。

中国日報社(『チャイナ・デイリー』社)と日本の「言論NPO」が共催した東京―北京フォーラムは、大きな影響力を誇る中日民間交流のプラットホームだ。今年までに、同フォーラムはすでに10回も開催された。この10年間、両国の有識者は政治や経済、安全保障、メディアなどの問題をめぐり、率直で深い交流を図ることによって関係改善のコンセンサスを形成している。主催者側が毎年行っている両国民を対象にした世論調査では、中日関係の重要性に対する民衆の認知度、相手国に対する印象そして現在の中日関係と今後の中日関係に対する見通しに注目しており、民意を反映させると同時に理解を推進させる重要なルートの一つとなっている。

 

 

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