徹底した腐敗撲滅行動

 

2012年11月の中国共産党第18回全国代表大会(18大、党大会)以降、党中央の断固とした反腐敗行動で、700人近い局長級以上の官僚が「落馬」(失脚)した。このうち、部長(日本の大臣に相当)級以上の高官は55人いる。今年の反腐敗行動を振り返ると、「大トラ」(汚職高官)、「中央紀律検査委員会(中紀委)が自分に剣をちらつかせる」(汚職を取り締まる側にいる腐敗分子を排除する)、「下山したトラ」(定年退職した汚職官僚)という幾つかのキーワードが目を引く。

新華社通信は7月29日、周永康(前中央政治局常務委員)に重大な規律違反の疑いがあるとして、『中国共産党規約』『中国共産党紀律検査機関案件検査工作条例』の関連規定に基づき、中紀委が取り調べを始めたと報じた。

国内外の世論は周永康という大物の「落馬」に注目し、腐敗撲滅に「特区」も上限も設けない中国政府の確固たる姿勢を高く評価した。

5月9日、中紀委は公式ウェブサイトで、魏健(前中紀委第4紀律検査監察室主任)が重大な規律・法律違反の疑いで組織的な調査を受けていると発表した。魏は18大以降で初めて「落馬」した第一線の調査官となった。

中紀委は腐敗撲滅に当たり、まず容赦ない姿勢で組織内部の汚職にもメスを入れた。死角をつくらないやり方は、腐敗撲滅への取り組みの強さを感じさせる。

3月28日、定年退職から2年たった馮立梅(元広東省茂名市政治協商会議主席)が重大な規律違反の疑いで取り調べを受けた。8月25日、全国政治協商会議第12期全国委員会常務委員会第7回会議で、王岐山・政治局常務委員、中紀委書記は18大以前の汚職行為を追及するかと問われ、「全て一律に扱う。汚職は汚職だ。必ず徹底して調査すべきだ」ときっぱり答えた。

これは、定年退職イコール逃げ切りという非現実的な望みを抱いていた腐敗官僚に警鐘を鳴らした。在職中か定年退職後か、あるいは職場で第一線から退いた後かを問わず、腐敗に手を染めていれば、一様に法の裁きから逃れられない。「下山したトラ」を1匹も見逃さない中紀委の姿勢からは、腐敗取り締まりの範囲の広さがはっきり伝わってくる。

厳格で徹底した反腐敗行動は民衆の支持を得た。「権力の大きさや職位の高さに関わらず、党の規律と国家の法律に触れたら、容赦なく厳しく処罰すべきだ。決して見逃すな、手加減するな」「新しい指導グループが腐敗にメスを入れる力と決意の程がうかがえる。司法の公平と正義、社会の調和と安定、国民経済の安定した発展、国の繁栄と人民の幸せを皆が期待している」。中国のインターネット上では、党中央による強力な腐敗撲滅行動を支持するコメントが毎日次々と投稿されている。

復旦大学伝播・国家統治研究センターがネット上で実施したアンケート調査によると、回答した1800人のネットユーザーのうち、61・6%は中国の腐敗撲滅の見通しを楽観視している。

中国の腐敗撲滅行動は世界からも注目されている。米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)のシニアアドバイザーで、中国問題を担当するクリストファー・ジョンソン氏によると、とどまることを知らない中国の反腐敗行動は、中国共産党が「骨を削って毒を取り除く」決意で腐敗を処理し、最終的に国家の長期的な安定と国民の信頼を勝ち取ろうとしていることを国内外に向けて表明しているという。

 

 

 

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