2015年の両会、10の見所に注目 |
2015年の全国両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)を目前にひかえ、社会各界は、党と国家による改革・発展計画への注目を高めている。両会では何に着目すべきか。ここでは、「4つの全面」にかかわる10の見所をピックアップした。 (1)改革の鍵となる年、いかなる措置が取られるのか 2014年が改革の全面的深化の滑り出しの年だったとすれば、今年は、改革の全面的深化の鍵となる年になる。改革は果たしてどこまで進み、順調な滑り出しを見せていると言えるのか。鍵となる年、鍵となる措置をいかにして取るか。どのような改革の詳細が示され、どのような困難が待っているのか。2015年の全国両会では、党の意志が再び国家の意志へと高まり、改革構想の一部が全面的に深められ、さらに具体的な政策に転換されることとなる。 (2)GDP成長率は新常態で引き下がるのか 中国人民銀行(中央銀行)は近日、金融機関の人民元預金準備率を2月5日から0.5ポイント引き下げる措置を取った。3カ月前の昨年11月22日には、金融機関の人民元貸出・預金基準金利の引き下げ措置が取られていた。預金準備率と金利の引き下げは、中国経済の冷静な見直しと熱い議論を社会各界に巻き起こしている。 中国経済に関するコメントでは昨年5月以来、「新常態」(ニューノーマル)が最もよく引用される言葉の一つとなっている。これは経済成長率の調整だけでなく、経済発展の質に対する要求が高まっていることも意味している。「新常態」は2015年、どのような具体的な経済政策として体現されるのか。金利と預金準備率が引き下げられた後、GDPの成長率も引き下がるのか。「両会」での注目点になることは間違いない。 (3)「三農」問題に注目、農村の「眠った資本」は活性化されるか 今年発表された「中央1号文書」は、12年連続で「三農」(農業、農村、農民)問題に注目したものとなり、農村改革に際立った位置が与えられた。同文書では、新型農業経営体系の構築を加速し、土地経営権の規範的で秩序ある流通を指導し、農村の集団財産権制度の改革を推進し、集団資産への株主権を農民に与える改革テスト事業を展開し、農村土地制度の改革テスト事業を着実に推進することが求められた。これらの措置は、市場化された手段を通じて、長期にわたって抑えこまれてきた土地や資金などの生産要素と農村の財産権を活性化し、農村に眠っている資本を活用することをねらいとしている。 文書では同時に、「重大な改革は法の根拠を必要とする」という原則が「三農」にも適用されるとの立場が示された。法治について特別の章が設けられ、農業・農村にかかわる法律体系の整備を加速し、都市・農村の法治建設を同時に推進し、「三農」事業を法治の思考と方法によって進める必要性が指摘された。 一方では改革、もう一方では法治を掲げる、これらの新たな措置と新たな思考は、今年の全国両会での議論の的となるはずだ。 (4)地域の連携ではどのような発展のチャンスが生まれるか 中央経済政策会議が確定した2015年の地域経済発展ロードマップでは、「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)と北京・天津・河北共同発展、長江経済ベルトの建設を重点として推進する方針が示された。各地方の両会もこれら3つのキーワードが中心となった。例えば今年の河北省の政府活動報告では、「北京・天津・河北共同発展の強力な推進」が強調された。「1ベルト、1ロード」の中核地域である新疆では、今年の活動重点の決定で、「シルクロード経済ベルト中核地域の建設推進で重要な一歩を踏み出す」が最優先課題とされた。 「地域の共同発展」はすでに、社会各界の注目の焦点となっている。この方針は、国家と各地にどのような発展のチャンスをもたらすのか。全国両会においては、この問題もホットな話題となること間違いない。 (5)制度による腐敗撲滅、「虎」や「ハエ」の撲滅にどんな動きが? 第18回党大会以来、党と国家は大きな変化を遂げ、党の風紀と社会の風紀は明らかに好転した。これは、習近平を総書記とする党中央の強力な腐敗撲滅措置に関連している。汚職高官に対する取り調べと処置は特に目覚ましく、わずか2年余りで省部級以上の汚職高官80人余りが取り締まられた。これほどの腐敗撲滅の力の入れ具合はこれまでにないもので、人々を震撼させている。 「全面的な厳しい党内統治」の開始はこうして高らかに宣言されたが、党風紀の粛正と腐敗なき政治の建設、反腐敗闘争を今年もいかに深めていくか、これからもどの「大きな虎」が狩り出されるのか、制度による権力の制限をいかに実現し、「汚職しようと思わず、腐敗しようにもできず、汚職をためらう」ような効果的なメカニズムをいかに形成し、風紀粛正の事業をいかに常態的で長期的なものとしていくか。人々の期待は高い。 (6)司法の公正問題、冤罪事件は撲滅されたか 巡回法庭の設立、法執行の審査・評価指標の整備、司法公開の推進など、法治にかかわるニュースが最近、次々と新聞紙面をにぎわせている。「法治」は近年、社会各界が好んで議論する頻出ワードとなっている。 中国共産党第18期中央委員会は、第3回全体会議(2013年)の活動報告で特別の章を設けて「法治中国の建設」を打ち出した。第4回全体会議(2014年)では「法による国家統治の全面的推進」を特別の検討テーマとし、科学的な立法や厳格な法執行、公正な司法、全国民による法順守などに対して、全面的・系統的・科学的な措置が取られた。根底から言えば、これらの措置はいずれも、国民・大衆の合法的な権益を適切に保護し、国民・大衆がすべての案件において公平や正義を感じられるようにし、呼格吉勒図や于英生などの冤罪事件が二度と発生しないようにするためのものである。法による国家統治の全面的な推進に今後、どのような新たな措置や新たな見所があるのか。最高人民法院と最高人民検察院の両会における報告は必読の文書となるだろう。 (7)立法法の修正、党・政府機関の正式文書の抑制 立法法は、立法体制にかかわり、立法活動を規範化する基本法である。日程によると、第12期全国人民代表大会第3回会議においては、立法法修正案草案の聴取と審議が行われることになっている。同草案はすでに常務委員会などで2回にわたる審議が行われており、修正個所なども見所となる。 地方立法権は拡大されるのか。草案には、区の設けられた市に地方立法権を与えることが盛り込まれている。比較的大きな市(区を設けた市など)の地方法規制定権限が、「都市建設や都市管理、環境保護などにかかわる事項に対しては、地方法規を制定できる」と修正されている。 また党・政府機関の正式文書の発行をいかに抑制できるかも焦点となる。草案の規定によると、法律や法規の根拠がある場合を除いて、地方政府の規約に、国民や法人、その他の組織の権利を損なったり義務を増やしたりする規範を設定することはできない。 (8)戸籍改革、民生福祉に新たな期待とは? 国家発展改革委員会など11部門は最近、北京通州など62都市(鎮)を国家新型都市化総合テスト事業地区と指定し、これらの地区でポイント制による戸籍取得制度を推進することを発表した。戸籍制度改革は非常に手強い問題とされ、とりわけ大都市にとっては非常に難しい課題となっている。ポイント制による戸籍取得制度は、ほかの地から移り住んだ常住者が北京などの地に入るチャンスを与えるもので、彼らの生活に新たな希望をもたらす措置となる。 国民生活の福祉はもちろん紙上の戸籍にとどまるものではない。教育や医療、不動産購入など、人々の生活にかかわる問題は毎年話題を集めており、政府がさらなる力を発揮することへの期待を示してもいる。多くのネット利用者が呼びかけるように、全国両会ではさらに多くの中国各地の声が取り上げられ、社会の資源分配がさらに公平となり、国民の生活がさらに幸せなものとなるようにしなければならない。 (9)思想文化の陣地を固め、「精神の煙霧」をいかに追い払うか 人々には十分な物質や食糧が必要なだけでなく、豊富な精神的な糧も必要である。人々の思想については、進んだ思想には介入してはならないが、腐敗した思想はこれに介入する必要がある。とりわけインターネットが急速に発展し、恐ろしいネット上の暴力や、有害なネット上の噂、低俗なネット上のポルノ、その他さまざまのネット上の醜悪なコンテンツは、人々に影響を与え、思想を汚している。 良好な社会的環境は、個人の成長や家庭生活、国家の安全にとって大きな重要性を持つ。「真・善・美」をいかに発揚し、「偽・醜・悪」をいかに回避し、各種の精神的な煙霧を追い払い、社会主義の核心的価値観を育成・発揚するかは、それぞれの人々がともに考えていかなければならない問題である。 (10)生態環境の保護、各地の煙霧問題解決 生態環境の保護は、現在の行動によって未来の長期的な利益をもたらす偉大な事業であり、全民族的、全社会的な共同事業である。全国両会においても毎年、生態保護や「美しい中国」、煙霧対策が最も注目を集める話題の一つとなる。人々は今年も首を長くして問題の答えを待ち望んでいる。経済発展の方式の転換をいかに進め、生態環境保護の各主体の責任をいかに現実化し、各地で起こる深刻な煙霧など一連の問題をいかに解決するかが焦点となる。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年2月26日
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