全国両会（全国人民代表大会、全国政治協商会議）は、私たちの生活および仕事の各方面と密接に関連している。異なる業界の代表者が年に1度の会議に出席し、各自の分野で注目されている問題に関する提案を行う。科学技術界も、当然ながら例外ではない。以下に挙げるいくつかの点は、2015年全国両会の提案の重点になる可能性がある。

1.大気汚染の改善加速

2012年以来、全国各地が煙霧に覆われている。中国中央テレビ（CCTV）元記者の柴静氏が自費で撮影した、煙霧に関するドキュメンタリー「穹頂之下」は、2月末に動画サイトで公開されると大きな話題を呼び、煙霧の危険性に関する認識の向上に役立った。科学技術を通じた大気汚染の効果的な改善は、一刻の猶予もならない状態となっている。2015年の全国両会でも、大気汚染改善が重点的な提案になるはずだ。

2.情報安全と国産化が再び提案か

2014年に情報安全と国産化が議事日程にあげられて以来、政策も企業も情報安全および国産化に対する重視を強めてきた。現在も依然として安全・防御の初歩的な段階であるが、2015年の全国両会で、情報安全と国産化が再び取り上げられる見通しだ。これは情報安全の建設をさらに強化しなければ、効果的なリスク管理が実現できないからだ。

3.ブロードバンド建設の加速

中国経済の発展は「新常態」に入り、経済成長率の変化、構造の改善、原動力の切り替えといった現象が顕著になっている。ブロードバンドの発展は情報消費の促進、経済成長および構造調整の支援に対して、重要な意義を持つ。クラウドコンピューティング、モノのインターネット、ビッグデータ産業の普及と発展のさまざまな要素は、往々にして基礎的なブロードバンドの制約を受けている。中国工業・情報化部（省）の苗圩部長は、「ブロードバンド中国」2015年特別行動計画のテレビ会議の中で、「工業化・情報化の深い融合を推進する重要な基礎である、ブロードバンドネットワークの発展には、困難かつ複雑な課題が存在する」と述べた。2015年の両会で、ブロードバンドの建設が再び取り上げられ、次の力強い発展の重点になる可能性がある。

4.インダストリー4.0、国家戦略に格上げ

全国人民代表大会代表の周洪宇氏は2015年の両会で、「インダストリー4.0の高速列車に乗り、製造強国の夢を実現する」という提案を行う。インダストリー4.0は近年、米国、ドイツ、英国などの先進国が巻き起こした、製造業再興を軸とする「再工業化」の流れだ。これは情報技術、デジタル化製造技術を中心とし、製造業と深く融合する。ドイツはこの変革を、機械化・電気化・情報技術に続く工業化の第4段階としており、「インダストリー4.0」と命名した。発展の流れを見ると、インダストリー4.0は2015年の両会の重点になるはずだ。インダストリー4.0は、中国の製造業のモデルチェンジ・アップグレードの、次の発展方向でもある。（編集YF）

「人民網日本語版」2015年3月3日