初の女性報道官・傅瑩氏の魅力

 

今日3月4日、人民大会堂で行われた第12期全人代第3回会議の記者会見に向かう途中、偶然ラジオで傅瑩氏の経歴について語っているのが耳に入った。彼女こそ今日の記者会見の報道官だ。

放送によれば、ミルクティーが好きなこの蒙古族の女性外交官は、かつて鄧小平の通訳を担当し、カンボジアの国連平和維持活動に参加し、中国の駐フィリピン、駐オーストラリア、駐英国の各大使を歴任し、この日全人代初の女性報道官に就任したという経緯を持つという。その中で、傅氏が女性特有の辛抱強さ、きめ細かさ、豊かな感性を生かし、各種外交問題を解決したエピソードが語られ、彼女が国際社会から高く評価されていることが紹介された。それを聞いて、私は早く彼女に会いたいという気持ちを強くした。

私が人民大会堂に到着した時、記者会見ホールはすでに中国内外の記者で隅々まで埋め尽くされていた。しかし会見が始まると、傅氏の落ち着いていてはっきりとした話し声と記者たちのシャッター音だけが響き、ほかの雑音はほとんど聞こえなかった。皆が傅氏の発言に期待を込めながら耳を傾けている。演壇の中央に立ち、顔に温かい微笑みを浮かべている白髪の傅氏は、記者の一つひとつの質問にいずれも真面目に答えていた。中身のない形式的な言辞もないし、言を左右してお茶を濁すこともなく、難解な専門用語も使わない。彼女は正確なデータ、巧みな対比、政策に対する分かりやすい説明、そして記者たちの共感を呼ぶ自らの感じ方を語り、現場の誰もが彼女の話に集中していた。

中国がいかにスモッグなど環境汚染問題対策に取り組んでいくかという質問に対し、傅氏は次のように話し始めた。「今朝カーテンを開けたら、青い空と白い雲が目に入りました。それを見て私の心は感動でいっぱいでした。若い頃は、毎日青い空と白い雲を見ていましたが、まったく気にしませんでした。毎日気になっていたのは食の問題だったのです。今では生活は改善されました。わが国は超高速で工業化を進めてきましたが、同時に超高速で環境に対する『借り越し』が生じました。現在、環境問題はすでに社会が最も注目する問題となっています」。彼女は短いこの前置きを通じて、中国の建設・発展と環境汚染との関係を自身の体験を関連付けて語り、人々に中国人の生存問題の解決から生活問題の改善までの過程を理解しやすく説明したのだ。

1時間の記者会見は、傅氏の生き生きとした発言の中で、あっという間に過ぎてしまった。会場を出る時、周りの記者たちは傅氏の回答のハイライトについて繰り返し議論し、彼女の優雅な素質を賞賛していた。そして私の頭に浮かんだのは、前述のラジオで聞いた一言だった。「英国のブレア元首相は傅瑩氏を『最も中国の声をはっきりと伝えられるメッセンジャーの一人』だと評価した」。確かにその通りだ。

(文=沈暁寧)

 

人民中国インターネット版 2015年3月5日

 

 

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