張家口市、無形文化遺産継承者が描いた切り紙作品 ―北京冬季オリンピックを応援に

 

周広さんが前国際オリンピック委員会ジャック・ロゲ会長の肖像を描いた切り紙作品。切り紙を30枚にも重ねて表現されておりまるで写真のようだ 

張家口市蔚県南張荘村には古くからの習俗が残されている。毎年の春節の時期や婚礼の際に、彼らは窓に多彩な図案の紙を貼るのだ。花や鳥、魚や動物、農村の生活の場面を描いた紙は「貼窓花」(貼る窓飾り)と呼ばれている。描かれる図案は生き生きとしてきめ細かく素朴で、これを窓の紙の上に貼ると、戸外からの光を通して、さらに輪郭がはっきりとし、さまざまな色が交錯して美しい。

2009年、蔚県の切り紙はユネスコの世界無形文化遺産リストに登録された。現在、同県の切り紙の発祥地である南張荘村はすでに全国最大の切り紙専門の村ならびに加工基地となっている。全村に切り紙工房が8カ所あり、切り紙産業に携わる農家は全戸の6割を占めている。

無形文化遺産継承者の周広さん(62)は9歳で父親の周永明さんから彫刻刀の使い方の手ほどきを受け、母親に染色を学び、15歳の時には図案づくりを始めた。1995年にユネスコから「中国民間工芸美術家」の称号を受けた周さんは、子どもの頃に見た村の切り紙の様子を、「春節にはどの村でも芝居の一座を招いたものです。村人は昼は芝居見物をし、夜家に帰ると芝居に登場した人物や情景を描き、それに基づいて図案の型をつくり、切り紙を切ったのです。私たち蔚県には『オンドルに座って芝居を見る』という古い言葉があります。これはオンドルの上に座り切り紙になった芝居の内容を見るということです。その頃の切り紙の内容はほとんど喜劇を主にしていました。喜劇はみんな大好きですからね」と回顧する。  

北京─張家口が2022年冬季オリンピックに正式立候補して以来、蔚県南張荘村にも五輪の風が吹き始めた。周さんや村のほかの切り紙工芸家たちは、冬季オリンピックをテーマにした数多くの作品を発表した。その内容は冬季オリンピックの種目、オリンピック関連の人物、張家口の人々が冬季オリンピックを歓迎する様子などを描いたものだ。  

周さんは1カ月以上の時間を費やし、切り紙でジャック・ロゲ前IOC会長の肖像画を作り上げた。彼はまずネットでロゲ前会長の写真を探し出し、それをもとに彫刻刀を使って切り紙にしていった。それは、全部で30枚以上になるもので、一枚一枚重ねて、最後に手作業で染めて仕上げている。周さんによれば、切り紙は重ねる枚数が多いほど、真に迫り、本物そっくりになるのだという。「機会があれば、これをミスター・ロゲにプレゼントし、北京─張家口共同申請を応援したいものです」。(劉世昭=写真 李明慧=文)