「国宴」酒―APECを盛り上げた長城ワイン

 

懐来県内のワイン用ブドウの作付面積は27万ムーに上り、作付品種は150以上となっている (写真・劉玉興) 

 

2014年11月10日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の晩餐会が北京の国家水泳センター、ウォーターキューブで行われた。21の参加国・地域の指導者や代表が参加しての晩餐会開催後、「4菜1湯」(料理4皿とスープの意味)のメニューがネットで明らかになると話題を呼んだが、そのメニューの最後には「長城ドライ・赤ワイン2006」「同白ワイン2011」の名があった。産地はどちらも河北省だ。  

張家口市懐来県は北緯40度のブドウ栽培の黄金エリアにあり、1000年を上回るブドウ栽培の歴史を持つ。県の年間平均気温は摂氏8.9度、年間降水量は400ミリで、四季がはっきりしており、日照時間は長く、夏は暑いが雨も多く、昼夜の寒暖差が大きいという気候的特徴を持つ。こうしたことから、この地は中国でも最も優れた食用ブドウおよび醸造用ブドウ栽培地域となっており、2001年には中国特産推薦委員会から「中国ワインの郷」と命名された。APECの歓迎晩餐会で使われたワインは、まさにこの地の中国長城葡萄酒有限公司長城桑干ワイナリーで産したものだった。

 

長城桑干ワイナリーの貯蔵庫 

 

40年余り前、「国宴」つまり、政府が国賓を招待して行う宴会のメニューに国産ワインの名はなかった。ニクソン米大統領が訪中した際、「中国は素晴らしいが、ファッショナブルな女性とワインが足りない」とジョークを言い、周恩来総理に中国自らのワインづくりを決意させた。そして長城桑干ワイナリーがこの使命を負って1979年に誕生したのだった。その年、同社は中国で初めて国際基準の技術で白ワインを生産し中国におけるワイナリーの歴史を開いた。  

 2008年、長城葡萄酒有限公司は北京オリンピックの単独サプライヤーとなり、「超越2008」と名付けられた限定収蔵版ワインはスイス・ローザンヌ博物館に永久収蔵された。2010年には上海万博唯一の公認ワインとなり、また広州アジア大会の「国宴」で来客をもてなす酒となった。長城ワインは、こうして中国発展の歴史を見届けながら、中国の実力をワイングラスの中に投影し続けている。(文=李明慧)