「アジアとの和解」という態度が欠ける安倍談話 |
文=陳言 「安倍談話」は、日本の内閣の審議を経て各大臣のサインが押され、国家が正式に発表した、内政および対外政策の方針である。正式には「日本国総理大臣談話」と呼称すべきだろう。総理個人の観点を表すものではなく、国家の行動や態度に法律的しばりを持たせる作用がある。この談話を通じて、日本の将来の方向性がうかがい知れる。 「安倍談話」は安倍氏個人の観点ではない 内閣総理大臣の安倍晋三氏は、多くの場所で様々な話をしている。「侵略の定義は存在しない」、「慰安婦に強制性はない」などだ。バンドンやワシントンなど、安倍氏が国際社会の注目する舞台で演説した際、日本が行った戦争を侵略戦争だと言わず、植民地支配に対する謝罪もしなかった。安倍氏は「反省」という言葉を使ったことがあるが、日本が侵略戦争を起こし、植民地支配を行ったことに「痛切な反省」をしているのではなく、人類社会が戦争一般に対する反省という意味だった。 20年前、村山富市内閣が戦後50年談話に関する議論していた。戦争問題について、国際社会に対する日本の態度を表明しようとしたころ、それに断固反対する右翼政治家がいた。そのひとりが安倍晋三氏である。当選して2、3年の若者だったにもかかわらずだ。談話が可決されると安倍氏は立ち上がり、憤然として会議場を後にした。20年が経ち、安倍氏は何度も村山談話を受け継がない旨の発言を繰り返し、村山談話とは全く異なる新しい首相談話を発表したいと考えていた。 安倍氏が日本国内で行った様々な講演の中で「村山談話の継承」が語られたのはつい最近のことである。しかし安倍氏に追随する日本の右翼メディアは何度も、安倍氏は日本の対外戦争を侵略戦争としないし、戦争や植民地支配に謝罪することはないと何度も言い続けた。70年前の戦争に対するこのような態度こそ、安倍氏の本意なのだろう。 しかし、日本国総理大臣の談話は、首相個人の観点を発表する場ではない。2015年8月14日の安倍談話で安倍氏は、右翼メディアが言っていたような「侵略戦争を語らない、謝罪しない、反省しない」の「三不方針」で臨むことはなかった。「植民地支配からの永遠の決別」、「事変、侵略、戦争。我々は二度といかなる武力と威嚇を使用せず、このような手段で国際紛争を解決することはない」と語られた。 安倍氏は談話の中で、「戦争と全く関係のない新しい世代に、謝罪し続ける宿命を背負わせてはならない」、しかし彼らは「謙虚な心で過去を継承し、未来の責任を受け継がなければならない」と述べた。この談話内容は、政治家、そして日本国総理大臣である安倍氏の真の考えなのかどうか、依然として不明瞭なのである。 日本とアジア諸国の「和解」は、任重くして道遠し 安倍談話の全体的な内容は村山談話や小泉談話と比べてかなり長い。具体的に戦争で死んだ数を挙げ、戦後に中国などの国に残された大量の日本人が故郷に戻れたこと、残留孤児が育てられたことなどが語られている。周辺国家が日本に対し寛容であったこと、日本に「和解」してくれたことに感謝の意を示している。 4千文字に上る安倍談話は、日本が他国を侵略することになった原因を分析しているが、意味がはっきりと掴めない。一方では武力による国際紛争の解決をしないと宣言して日本の平和憲法との内容を一致させながら、一方では「積極的平和主義」を最後に語る。これは日本国内でいま審議されている「集団的自衛権」の問題を想起させる。安倍氏が現在推進している集団的自衛権に関連する方案は、日本の民間では「戦争法」と呼ばれている。反対の声が多い方案なのだ。安倍氏は最近、国会など正式な場で公然と「中国脅威論」を語りだした。南中国海へ行って平和を維持すべきだとすら語っている。安倍氏がアジア諸国と本当に和解する気があるのかどうか、現状では分かりにくい。安倍氏の最近の発言から見て、中国と対立する態度に明確な変化は生じていない。 戦後70年、日本は「不戦」からアジア諸国との「和解」という新しい段階に入る現在、惜しいことに安倍談話では、特に安倍氏の主張する「積極的平和主義」では、日本とアジアとの和解は難しいだろう。中国は9月3日、中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利の70周年活動を行う。安倍氏はこれに参加すべきだ。そして自分の言葉で中国市民に対し、「痛切な反省」と「心からのおわび」をするべきだ。そうでなければ日本がアジア諸国との最終的な和解は、戦後70周年のときに訪れることはないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年8月15日
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