相互訪問で知ってほしい相手の良さ

――岡﨑 温 日中友好協会理事長、愛知県日中友好協会副会長に聞く 

――今年は愛知県と江蘇省が友好関係を結んで35周年です。長年の交流はどのような蓄積となっているのでしょう?

以前と比べて、愛知県特に名古屋市で中国語を学ぶ人が大幅に増えています。この数年日中関係の影響を受けて、学校で中国語を学ぶ人は若干減りましたが、社会では市民講座など各種講座があり、中国語ブームが冷めたということはありません。今年は状況が好転しており、中国への留学生も次第に増えています。

現在、名古屋で一大人気イベントになっているのが「名古屋春節祭」で、すでに日本で最大規模の華僑・華人の春節イベントになっています。この祭りがうまくいっているのは、駐名古屋中国総領事館が開設されているからですね。2007年当時の李天然総領事が華僑・華人団体をまとめ、このイベントが始まりました。今年で9回目になりましたが、春節時期の3日間に雪が降っても行われ、10万人が集まりました。人気の理由はなんといってもグルメだと思いますね。本場の中国料理が味わえますから。最近は名古屋で中国人が経営する中華料理店が増えており、それらの店が屋台を出しています。寒い冬の日にラーメンや刀削麺を食べれば、身体も心も暖まります。ほかに、見応えある出し物も準備されます。日中双方の出し物がありますが、最近は中国から来る出し物が増えています。例えば、江蘇省の歌舞団などです。出し物は朝から夜まで途切れることがありません。

――この数年、中日関係は冷え込みましたが、これによって愛知県と江蘇省の民間交流も影響を受けましたか?

いくらか影響はありました。訪中団の参加者を募集するのも以前ほど簡単ではなくなりました。例えば今回の中日協力による南京城壁保存修復事業20周年記念式典の訪中団では、みな南京と聞いただけであまり参加したくないと言うのです。日本のマスコミの南京に関する各種報道、例えば南京大虐殺問題などで、日本人は南京を怖い所だと感じて落ち着けず、そういう所に行くのはなるべく避けようという気持ちになったのです。

今回の100名の大学生代表団募集も簡単ではありませんでした。大学が夏休みの時期でもありませんので、学生は参加するなら授業を休まなければならず、大学も積極的に学生に推薦してくれませんでした。しかし、それにもかかわらず2週間で応募学生数は130人に達したのです。募集枠を上回り、最後は30人を断らなければなりませんでした。ただ、今年の秋にはまた100名を中国訪問に派遣することを計画しており、今回参加できなかった学生は優先的に考えたいと思います。

――中日青少年交流の意義はどこにあるとお考えですか?

中国の学生も日本の学生もお互いをよく理解しておらず、相互訪問によって相手国の状況を理解することは、その後の学習や仕事に役立つでしょう。例えば、今回の日本の学生訪問団が中国に来る前、駐日中国大使館が歓送会を開いてくれました。その時、私は学生とおしゃべりをして彼らが中国にとても興味を持っていることに気づきました。そのうちの半数は中国に行ったことがありました。学生たちは現在の両国関係を心配しており、帰国後は自分の目で見た中国を身の回りの人たちに紹介し、みんなの見方を変えたいと話していました。昨年は100人の学生を中国訪問に派遣しましたが、そのうちの多くが今年中国に留学していきました。

ある高校生は、昨年中国語コンクールで受賞して中国に行き交流することになりました。ところが、先生は空気が悪いなどの理由を挙げてえん曲に反対し、両親やクラスメートも行かないようにと話したそうです。しかし、彼女はこの機会を逃したら次はないと考え、どうあっても行こうと決めました。上海に着いた彼女は、両親や友達の話とは違い、出会った中国人がみな親切だと感じたのです。高校卒業後は中国語を学ぶのはやめようと思っていた彼女は、この訪問の後で引き続き中国語を学ぶことを決めました。日本を訪れた中国の学生にも同じようなことが起きています。若者はより多く自分の目で見、より多く交流すべきで、彼らには話して聞かせても効果はなく、自ら感じてもらうしかありません。どの国でも先進的な面と立ち遅れた面があり、相互訪問して相手のいいところを学び合うべきなのです。

 

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人民中国インターネット版 2015年8月