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程永華大使:歴史を鑑とし、未来の道を切り開く ――第11回北京-東京フォーラムの開幕に際して |
文=中華人民共和国駐日本国特命全権大使 程永華氏 第11回北京―東京フォーラムが実りの秋の北京で開かれることに、心からの祝賀の意を表する。私と北京―東京フォーラムの間には、切っても切れない縁がある。私は2005年に中国駐日本国大使館の公使に就任した際に、幸運にも北京―東京フォーラムの創設と準備作業に関わることができた。光陰矢のごとしで、両国・各界の関係者の熱心な支持と幅広い参与により、フォーラムは発展と拡大を続け、中日間の最も代表的な公共交流の場の一つになった。フォーラムが次の10年を迎える中、中国外文局は中国日報社に代わり、日本の言論NPOと共催することになった。中国日報社の10年にわたる骨身を惜しまぬ努力は敬服に値する。中国外文局がこれまでの基礎を踏まえた上で、中日間のこの交流の場をより良く運営することを信じている。間もなく開催される第11回フォーラムは、「長期的かつ健全な中日関係の発展のために克服すべき問題と講じるべき措置」をテーマとし、両国・各界の識者を集める。過去を振り返り未来を見据え、中日関係の発展について共に議論することは、現在の情勢下で重要な現実的意義を持つ。 北京―東京フォーラムの創設から10年間にわたる中日関係の歩みを振り返り、私は「波瀾万丈」という言葉によって形容したい。フォーラム創設当初、中日関係は困難な時期を迎えていた。2006年の第2回フォーラムが閉幕して間もなく、両国関係は好転を実現し、新たな発展を手にした。両国首脳は中日の戦略的互恵関係の構築で重要な共通認識を達成し、中日の4つ目の政治文書に調印し、21世紀の両国関係の発展の道筋を指し示し、両国関係の未来の発展に新たな位置付けを与えた。2010年の第6回フォーラムの開催以来、釣魚島や歴史などの重大かつ敏感な問題が相次いで生じ、中日関係が深手を負い、国交正常化以来で最も厳しい局面に陥った。昨年11月、双方は困難な協議を経て4つの原則的な共通認識を達成し、中日関係を改善に向け再出発させた。過去10年間を振り返ると、次のいくつかの経験と教訓には、双方が真剣に思考し汲み取る価値がある。 (一)中日は「和しては共に利し、争えば共に損失を被る」。平和・友好・協力は双方の唯一の正確な選択肢だ。中日関係は双方にとって最も重要な二国間関係の一つだ。両国は近い隣国であり、両国関係の良し悪しは両国民の根本的な利益に直接関係する。これと同時に、中日両国は世界の主要経済国、重要な影響力を持つ国だ。良好な二国間関係の維持は、地域および世界の平和・安定・発展に資する。 (二)4つの政治文書と共通認識は、中日関係の健全かつ安定的な発展の礎だ。中日間では近年、領土や歴史などの問題が頻発している。実際には、双方はこれまでも似たような障害を迎えていた。両国の先代の政治家は卓越した政治的知恵により、4つの政治文書と一連の重要な共通認識を達成し、関連する問題を適切に処理するため明確な規定を作った。双方が大局を重視し承諾を順守すれば、両国関係は順調に発展する。これができなければ、両国関係に必ず問題が生じる。 (三)中日友好の基礎は民間にある。「民より官を促す」は、中日関係が戦後再構築された重要な経験だ。戦後の中日は隔絶・対立という困難な情勢にあった。両国・各界の識者が「民間先行」のたゆまぬ努力によって、中日関係の再構築の呼び声を阻むことのできない時代の流れとし、中日の国交正常化の実現を促した。その後40数年間に渡り、中日関係が困難を迎えるたびに、両国の民間友好団体と識者がいつも身を挺し、両国関係の安定を保つ重要な力になった。 10年間は、中日両国の2000年に渡る悠久な交流の歴史において、一瞬の事にすぎない。これまでの経緯を踏まえた上で未来を切り開く重要な年に当たり、我々は中日関係を見る際に、過去から現在を見るほか、高所から遠くを見渡さなければならない。今年は中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年だ。歴史は我々に、歴史を鑑とし未来を切り開くという最大の啓発をもたらした。中日両国は平和共存、世々代々友好、互恵・協力、共同発展の道を歩まなければならない。未来の10年間、さらにはより長期的な中日関係の発展を着眼点とし、双方が次の点で共に努力することが最も重要だ。 (一)歴史の教訓を着実に汲み取り、平和的発展の道を共に歩む。習近平国家主席は、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典の談話で、「歴史の啓発と教訓は人類共通の精神の富だ。歴史の痛ましい記憶に基づき、中国人は終始変わらず平和的発展の道を歩み続け、互恵・ウィンウィンの開放戦略を貫き、平和共存五原則を踏まえすべての国との友好・協力を発展させ、世界の平和を揺るぎなく維持する。各国がより良く歴史から知恵と力を汲み取り、平和的発展を貫き、共に世界平和と希望あふれる未来を切り開くことを願う」と強調した。この発言は深い意義を持ち、中国が平和的発展の道を歩むという決意と信念について説明したほか、日本を含む70年前の戦争の当事国にとっても重要な啓発となった。 (二)相互の認識と位置付けを整理し、互恵関係のパートナーとなる。政治の相互信頼は中日関係の新たな課題ではなく、近年たびたび問題視されていたが、適切に処理されなかった。これは世界・地域情勢に深い変化が生じており、両国の国情にも変化が生じているためだ。いかに相手を客観的かつ冷静に認識し、位置付けを見つけるかが非常に重要だ。中国の高度発展は必然的に周辺および世界に新たな影響をもたらす。それを受け入れるか否かに関わらず、中国はそこにいる。喜ぶと喜ばざるとに関わらず、中国は発展しなければならない。中国の発展は事実上、世界に重大な利益をもたらした。理性的に思考し、友好的に向き合うことが、共同繁栄を実現する正しい選択肢だ。中日両国の前途・運命が緊密に結びついていることを認識し、「互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない」、「相手国の平和的発展を支持する」という重要な共通認識の実践を続け、時代の流れに合った交流の道を模索しなければならない。 (三)危機管理を強化し、両国関係の大局を維持する。中日間の歴史のもつれと現実的な利益の食い違いが重なり、多くの問題が高度に複雑化・敏感化している。腹黒い意図を持つ人が悪意を持ち利用し、さらには民意を支配し両国の国民感情の対立を引き起こし、両国関係に痛手をもたらすことを防ぐ必要がある。近年の中日関係の発展の歩みを振り返ると、この点についてはため息がもれるような多くの教訓が存在する。どれほど複雑な問題を迎えても、両国関係の大局を守ることを立脚点とし、中日の4つの政治文書と4つの原則的な共通認識の精神に則り、対話と協議による危機管理の強化を貫くべきだ。これは問題そのものの適切な処理のほか、双方の共同の利益の維持にも資する。 (四)民間交流を広く展開し、世々代々の友好の理念を伝承する。中日関係は近年、紆余曲折を経ているが、双方の人員の行き来は毎年延べ500万人前後という高い水準を維持している。両国関係の安定と改善に伴い、両国民の往来が今年になり大幅に増加している。両国民の交流分野が幅広くなり、形式が多様化し、中身が豊かになっている。これは両国の民間交流のより高い水準への発展に向け、有利な条件を創造している。双方が民間交流の良好な流れを維持し、両国関係の健全な発展に向け民意の基礎を固め、中日両国民の世々代々の友好のため積極的な力を絶えず蓄積することを願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月15日
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