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永遠の隣人とわたしと

 

松坂茉留

 

“自分を愛するように、あなたの隣人を愛せよ"

この言葉を見る度、日中関係について考えさせられます。

あなたは中国が好きですか?嫌いですか?後者にお聞きします。中国人にひどいことを言われたり、暴カをふるわれたりしたことはありますか?なぜ日本人に同じことをされても、日本人嫌い!とならないのでしょう?

私が小学校低学年の頃、中国産のウナギが問題になりました。学校で中国産のものはダメだと教わり、中国やChinaという字を避け、次第に偏見を持つようになりました。

高校生になった今、とある女の子の話を聴きました。「中国人」 というだけで差別され、挨拶をしても無視をされ、いつも一人で下を向いて「さよなら」 も言わずに転校したと。それを聴いたとき、どこかで見たことある光景だとぴんときました。あることないこと噂され、挨拶をすると周りの人同士が自で合図し、近くを通ると舌打ちをされている中学生までの私。地面の汚れしか視界に入ってとないとき、本当は、「どうしたの? 」「大丈夫? 」 って話を聴いてほしい。「そんなことするような人じゃない」って言ってほしい。もっとみんなと沢山お喋りしたい-と思っていたこと。しかし、そのSOSは届くことなく卒業を迎えました。きっと気づいていたのに、逆らえば自分もいじめられるとみて見ぬふりをした人もいたでしょう。なんて人間は愚かなのでしょうか。「中国人」というだけで自分と同じ思いをしてほしくない、何か自分にできることはないだろうか。そう考えていたある日、日中友好のヒントを見つけました。

きっかけは中国人のホームステイの受け入れです。発音が魅力的でなんとなく勉強し始めた中国語。それを活かすチャンスがほしいと頼みました。始めは家族全員、「中国人か…」と反対しましたが、必死に頼み、一人の女の子を受け入れました。私以外の家族全員は中国語が全く分からないため、彼女にとって、私は唯一の拠り所でした。いくつか印象に残ったことがあります。私が虫に刺され、「痒い!」と中国語で「やん!」と言ったとき、彼女は驚いたように振り向きました。なぜなら、彼女の苗字は「楊(やん) 」 だったからです。

また、お風呂で「これはお湯だよ。」という意味で「湯」を中国語読みした時です。「湯!? 」と聴きかえされました。理由は中国語で「湯」は「スープ」という意味だったからだそうです。お風呂のお湯は「洗澡水」だよ。言われたときに異文化を感じました。なぜなら、私の中で水は冷たいという概念しかなかったためです。

このように文化の違いや言語の壁はありましたが、言葉が通じた時はとても嬉しくなりました。この嬉しさが日中友好につながるかも!言語が世界を変えるのか!

でも違いました。見送りの時、私の母は泣いていました。ほとんど会話できなかったのになぜ泣いているの?と聞くと、母は言いました。「報道で中国人は図々しいイメージしかなかった。でも、楊渓は奥ゆかしさがある。茉留と並んでいると姉妹に見えてきた。わが娘のようで情が移っちゃった。この娘のおかげで中国に興味が湧いた。」と。

言葉は通じなくても、心で通じる何かがあったのだと思います。帰りの車で私の隣には誰も座ることなく、部屋に戻ると布団が二つあるのにそこにいるのは私一人。心にぽっかり穴が開いたようでした。たった3日間で家族のようになれるのか-たとえ言語や国籍が違っても。でも、母は今でも言います。「あの時ほど中国語を勉強すればと後悔したことはない。もっとコミュニケーションをとりたかった。」と。

今は中国語を勉強していると冷やかされ、「中国は行かない方がいい」と言われますが、自分の経験と共に語学を学ぶ意義を伝えていきたいと思います。

雨に打たれようと土砂降りでずぶぬれになろうと絶対負けない。いつか必ず虹が見える日が来るから。

永遠のお隣さんである中国と日本を結ぶ虹。私はその架け橋になりたいです。

 

人民中国インターネット版 2016 年2月

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