「過剰生産能力の解消」が経済成長安定化と改善への最重要課題

 

2015年の中央経済活動会議では、供給側の構造改革推進をめぐり、過剰生産能力の解消、在庫解消、デレバレッジ、コスト削減 、脆弱分野の補強という5つの重点課題が示された。1978年に改革開放政策が始まって以来、「過剰生産能力の解消」が初めて中国の年間経済活動の最重要課題に据えられたことで、その必要性と緊迫感、問題の複雑さが明らかになった。

一部の産業での深刻な生産能力過剰は、中国経済の質と効率の向上、安定化・改善への大きな障害となっている。

中国経済は「成長モデルの転換期、構造調整の陣痛期、景気刺激策による矛盾の解消期」の3つの時期が重なっているうえ、「新常態」の段階に入っており、経済成長をめぐる大きな矛盾と問題が残されている。経済成長の下押し圧力が強まるなか、この段階で「過剰生産能力の解消」が強調される理由を3つ挙げてみよう。

【1】一部の産業の市場需要がピークを迎えつつあり、産業の発展に向け生産能力削減が必要。

経済成長が新たな段階に入り、重化学工業製品の需要がピークを迎えつつある。生産能力過剰はすでに景気変動による問題ではなく、絶対的な過剰が深刻になっている。需要拡大に依存したり、次の景気回復期での自然解消を待ったりすることは不可能な状態だ。

【2】生産能力過剰は「四降一昇」など中国経済の矛盾と問題の主因。

2012年から中国経済の矛盾と問題の重要な原因は「四降一昇」とされてきた。すなわち、◇経済成長率の低下、◇工業品価格の下落、◇実体企業の収益低下、◇財政収入の伸び鈍化、◇経済リスクの発生可能性の上昇、――だが、生産能力過剰がこれらを引き起こす大きな要因となっている。

【3】過剰生産能力を解消しない限り、中国経済のモデル転換と高度化、安定化と改善の早期実現は望めない。

深刻な生産能力過剰は企業の不正競争や経営悪化、破綻を招き、モデル転換と高度化や創新発展などを論じるにも及ばない。また、その影響は一部の産業にとどまらず、川上・川下産業にも及び、商業信用や金融システムなどを通じて経済組織全体に広がる。このため「過剰生産能力の解消」が進展しなければ、マクロ経済全体で、デフレや経済効果の低下、経済成長鈍化の状態が続くことになる。産業の正常な収益回復と成長、潜在的な金融リスクの解消、経済全体の安定化と回復を促すには、「過剰生産能力の解消」を着実に進めるしかない。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月2日

 

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