賈康委員が中国経済の諸問題に回答 |
文・『今日中国』記者 陳君 現在、中国は複雑、峻厳な国際環境と下方圧力が増大している国内経済に直面している。こうした背景下で、現在の中国経済のホットポイントをどう見るべきか?『今日中国』記者が全国政協委員で、著名なエコノミスト、元財政部(財務省)財政科学研究所所長、華夏新供給経済学研究院院長の賈康氏に専門家としての見解をお聞きした。 中国のサプライサイド改革をどう見るか? 賈氏は次のように見ている。中国のサプライサイド 改革はデマンドサイドの否定ではなく、また、米国のサプライサイド学派の減税を主体とする考え方の単純な移し替えでもなく、内外のあらゆるサプライ管理の有益な経験を参考に、また、サプライシステム構築の系統的、長期的なプロジェクトを重視している。 賈氏は記者に「減税に依拠するだけであらゆる問題が解決できるという期待値は極めて高い。これで税収万能の誤った認識に陥っていくかもしれない。税収は多くの選択し得る手段の一つに過ぎず、積極的な役割を果たすに違いないが、単純に減税にだけ頼っていては、全局的な問題解決は不可能であり、他の手段と組み合せなければならない」と語った。 また次のような認識を示した。中国のサプライサイド改革はいわゆる新計画経済ではなく、市場が資源配置において総体的に決定的な役割を果たすことを堅持するという前提で、有効な市場と有為有限の政府の役割を結合し、サプライサイド改革を通じて、中国経済発展の質と効率を高めることだ。サプライサイド改革の任務は非常に困難だが、他に選択肢はない。 過剰生産能力の解消は今年の重大任務だが、どのように実現? 賈氏の認識は以下の通りだ。「過剰生産能力の解消は主に市場に依拠する。政府は公平に競争する市場環境を擁護し、市場の作用による優勝劣敗を実現し、いわゆる『旧式生産能力』を締め出す。これまでこれほど多くの『ゾンビ企業』があったのはまさに市場が十分に機能していなかったからだ。市場が十分に役割を果たすことができれば、政府が『えこひいき』救済をしなければ、一両年で情勢は大きく変わっていくと思う」 また政府の行為を規範すべきだとして特に次のように強調した。「政府はすべきことをすべきだ。市場競争を擁護し、自己の職能と行為を調整し、総合的な改革を実行し、既得権益と衝突し、断固として難関を突破しなければならない。過剰生産能力の解消だけではなく、サプライサイド改革全体の最大の難関は固有利益の障壁を突破することであり、これは政府が一大決心をして取り組まなければならない。 サプライサイド改革の過程における失業・転業者対策は? 過剰生産能力の解消問題は今年のサプライサイドの構造改革における主要任務であり、その過程で、従業員の適正配置が鍵を握る。賈氏は次のように指摘した。「中国政府は旧式生産能力を廃棄する際に、まず企業の統合・再編成を奨励、指導し、破産清算はしない。これは可能な限り失業、転業する人数を減らすためだ」。また「統合、再編成の奨励、推進は単純な配置転換になるのを避けるためだ」と強調した。 さらに次のような認識を示した。「サプライサイド改革は陣痛に耐えなければならない。過剰生産能力解消の過程で、最もショックが大きいのは淘汰される企業の従業員の配置転換問題だ」。これについて賈氏は次のように述べた。「中国政府はすでに社会保障システムを構築し、しかも次第に完全なものにしている。この面での向上に努めようとしている。次には破産清算せざるを得ない企業に対して、政府は予備的な案を準備しており、失業、転職する人員に対するタイムリーな職業訓練を行う。また政府はガバナビリティー、協商の方法によって、矛盾、問題点を衝突に発展する前に解決するために、さらに経験を総括し、要点をつかんでおかなければならない」 「13・5」期間中はなぜ成長率6.5%以上? 中国は「第13次5カ年計画(13・5)」期間中の年間成長率を6.5%以上にするとしている。なぜ6.5%なのか?賈氏は次のように解説する。「6.5%は「13・5」期間中、維持しなければならない最低ラインだ。「13・5」は全面的な小康社会を実現する決勝戦段階であり、逆算すると、6.52%以上の経済成長の上にが総合的な社会政策を付加しなければ、2020年の全面的な小康社会達成の目標は実現できない」 現下の経済情勢について、賈氏は次のように認識している。「経済の下向継続を容認できる余地は非常に狭くなっており、昨年の経済成長率は7%以下になり、さらに今年の第1四半期がさらに同じように低下すれば、さらに6.5%に近づく。こうした状況下で、中国経済が安定的に成長するためには、この間、経済成長を6.5~7%の範囲内に維持し、さらに精力的に経済構造の最適化を図り、成長の質を向上させなければならない。構造調整は単純な生産拡張ではなく、一部の分野の過剰生産能力の解消がさらに経済成長に影響を与える。 ムーディーズの中国格下げをどう見るか? 国際格付け機関のムーディーズは3月2日、中国に対する信用評価を「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。これについて、賈氏は次のように注意を喚起している。ムーディーズが中国の主権に対する信用評価を下げたのは、中国経済の困難性に過度な懸念を持っていからで、冷静に判断し、非理性的な悲観論は避けるべきだ。 賈氏は次のように指摘した。「主要な格付け機関が中国の信用評価を引き下げることは何度も起きており、西側では中国経済衰微論、中国経済崩壊論がしばしば報じられている。こうした状況下で、ム―ディーズの格付けが中国経済の問題と矛盾に対する関心に符合しているが、これによって『中国崩壊論』という極端な判断を導き出すことはできない」。さらに賈氏はムーディーズの対中評価を警鐘と受け止めたいとして次のように語った。「現在、中国経済は困難山積みの時期に置かれ、現段階の安定成長政策は現段階の問題に焦点を合わせなければならず、圧力を原動力に変え、矛盾を解き、問題を解決しなければならない。中国の構造調整の積極的な成果はメリットを生みだし始めている。例えば雇用面だ」 国際格付け機関の評価に対して、賈氏は「もっと重要なことがある」として次のように強調した。「先ず、自身のことを優先すべきであり、披露すべき情報に関してはタイムリーに、広範に各方面の建設的な意見を収集し、中国がさらに広範な国際競争に立ち向かう助けとし、大国としての責任を体現しなければならない」 不動産市場の「氷火両極端」問題をどう解決するか? 中国の不動産市場の「氷火両極端」問題について、賈氏は次のように分析している。この問題を解決するためには両端で同時に力を出し、別々に対処しなければならない。「火」の側では1線都市で供給を増やし、制度設計を急ぐ。例えば、不動産税を1線都市で実験的に先行実施すべきかどうか、などだ。また「氷」の側になった場合は、3、4線都市の過剰在庫の消化で、単純に農民工(出稼ぎ労働者)の住宅購入に頼ってはならず、農民工が購入できるように導く社会政策が必要だ。また、現行の過剰在庫消化の手段を中低所得者向け賃貸住宅、住宅分割所有権付き住宅、さらに中低所得者向け適正価格の建売住宅に変更できるか否か、などだ。
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