イノベーション力を守るための法律を整備

 

宮崎卓 国際協力機構(JICA)中国事務所副所長

われわれは中国の「第13次5カ年計画」を非常に重視しており、将来の発展の勢いに注目している。私が中国に来てすでに6年になる。社会の雰囲気からいうと、中国はとてもゆったりとしたイノベーション環境を持っていると思う。それに比べて、日本の社会には保守的な面があって、新しい試みに対して人々はある程度の抵抗感を持っている。しかし中国では、自ら進んで考えて新しいものを生み出そうと努力すれば、たくさんの良い考えが生まれ、しかもものすごい勢いで発展していくのは、本当に驚異的だ。起業や新機軸に対する社会全体の受け入れ度合いが高いため、中国社会のイノベーション潜在力はとても大きいと思う。

しかし、中国の人々がイノベーションを行おうとする時に、注意したほうが良いことがある。例えば、関連する法律や制度の整備などだ。仮にある人がすばらしいアイデアを持って起業したが、後から多くの人々がまねをした場合、それによって、知恵をしぼって考えたアイデアがすぐに他人に模倣され取って代わられることになる。こうなると、もともとアイデアを持っていた人が得るはずだったお金が、他人の収入になってしまう。そうすると、起業する人々には「努力して新しいものを創るなんて意味がない。どうせすぐに他人にまねされて取って代わられるのだから、努力しないほうがいい」という考えが生まれるかもしれない。

したがって、このような状況の発生を防ぐために、知的財産権を含む科学技術イノベーションに関わる人の利益を保護する制度と法律を強化するべきだと考える。イノベーション人材には安心して研究・開発に取り組んでもらい、イノベーションの将来性に気づいた人には研究・開発やイノベーションに喜んで資金を投入してもらい、彼らのイノベーション力を十分に発揮する。今後、中国経済のモデルチェンジに伴って、社会はますますイノベーションを重視していくだろう。したがって、もし関連する制度や法律がさらに整備されれば、中国の人々のイノベーション力はより発揮されることになるだろうと考える。

 

人民中国インターネット版

 

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