「政府活動報告」中の新語

 

3月5日、李克強国務院総理は国務院を代表して第12期全国人民代表大会第4回会議に向けて「政府活動報告」を行った。この報告の中には新語が少なくなく、これらの新語が代表している政府の措置も、一定の期間中に中国社会の発展に変化と影響を与えるものであり、ここに幾つかを取り上げて皆さんとシェアしたい。

1.新経済

報告原文:(「13・5」の時期に)現在、わが国の発展はまさにこのような肝心な時期にあるため、新原動力を大きく育て上げ、新経済の発展を速めなければならない。新技術、新産業、新業態の急成長を促さなければならない。

解説:グリーンエネルギー、インターネットが新経済の重要な内容

ボアオ・アジアフォーラム2014年度年次総会開幕式で、李克強総理は主旨演説を行った際に「新経済」の主要な内容を紹介した。李総理は、各国はグローバルな新技術革命の大きなトレンドに順応し、相互交流を深めなければならないと述べた。また、互いの経験を参考に、科学技術の進歩と人材育成、とりわけ青年人材の育成を促進し、グリーンエネルギーによる環境保護、インターネットなどを重要な内容とする「新経済」の発展を推進し、将来の発展の攻略ポイントを掌握し、産業と経済の競争力を高めなければならないと指摘した。

政府活動報告起草チームのメンバーによると、新経済は「インターネット+(プラス)」などの新産業、新技術、新業態を代表とし、その成長速度は予想を上回り、良好に雇用を支え、サービス業の加速的発展をサポートしているという。新経済が立ち上がってから、それは伝統的運動エネルギーの改造とレベルアップのために条件を創り出すだろう。

2.シェアリングエコノミー

報告原文:(「13・5」の時期に)体制・仕組みの刷新によってシェアリングエコノミーの発展を促進し、シェアリングの場を構築し、ハイテク産業、現代サービス業などの新興産業クラスターを大きく成長させ、パワフルな新エンジンを作り出す。(2016年は)シェアリングエコノミーの発展を支援し、資源の利用効率を高め、より多くの人々が参加し、豊かになるようにする。

解説:シェアリングエコノミーは社会の連携・協力をより効率的に

外出にはスマホのアプリで車を予約し、使っていない部屋があればネットで短期貸し出しをする……これらはみなシェアリングエコノミーの現実例だ。ある報告によれば、中国でシェアリングエコノミー活動に参加している人の総数は現在すでに5億人を上回っているという。こうした資源のシェアという基礎の上に建設された斬新なモデルは、技術のパワーを生かして資源配置の最適化を実現し、エネルギー消費を削減するもので、多くの分野やニッチ市場に急速に浸透しているところだ。

シェアリングエコノミーは社会資源配置をさらに適正化し、社会の連携・協力がより効率的になり、そこから大衆的起業のハードルが下がり、より多くの人を起業やイノベーション活動に参与させ、大衆による起業とイノベーションに新たな活力を注ぎ込む。

昨年の中央1号文書では初めて「シェアリングエコノミーの発展」という言葉が登場したが、今年の「政府活動報告」の中の「シェアリングエコノミーの発展を推し進める」「シェアリングエコノミーの発展を支援する」という文言は、シェアリングエコノミーに対する中央の重視を反映しているだけでなく、その揺るぎない立場と鮮明な態度を表している。

3、インターネット+行政サービス

報告原文:(2016年は)「インターネット+行政サービス」を大いに押し広め、部門間のデータの共有を実現し、大衆と企業に手間隙いらずのサービスを提供する。「煩苛を簡除し、非法を禁察する(わずらわしい規則・制度を簡素化または撤廃し、人々の生活を乱すような不法行為を禁じる)」ことによって、人民大衆により平等な機会とより広い創造の場をもたらす。

解説:「インターネット+」と政府の連携は、緩和と管理の結合を表す

国家行政学院政策決定諮問部研究院の王小広氏によると、「インターネット+(プラス)」が初めて政府のサービスの上に加えられたのは、わが国の政府の機能がサービス型に転換していることを表している。「インターネット+」と政府の連携は、主に2つの分野に反映される。1つ目は、情報の収集や管理など技術上の革新と創意である。情報がインターネットを通じて収集・送信されることにより、伝達にかかる資金や労働力、時間を大いに抑えることができる。2つ目は、「インターネット+行政サービス」の概念は「行政簡素化と権限委譲」の中の「緩和と管理の結合」を表し、政府のサービス機能をレベルアップさせるということである。

全国政協委員、研祥高科技控股集団董事局主席の陳志列氏は以下のように述べた。現在、政府の部門が多方面にわたって管理するという問題が確かに存在し、時には一つの事柄のために多くの部門を回らなければならない。もしインターネットを通じて、特に政府のビッグデータを通じてお互いにシェアするなら、政府業務のプロセスをはっきりと理解でき、企業のコストを大いに軽減することができる。「インターネット+行政サービス」の普及は企業にとって大きなプラスとなるだろう。

4、「人口・土地・資金」相互連動

報告原文:(2016年は)戸籍制度の改革を深化させ、都市部への転籍条件を緩和し、「人口・土地・資金」相互連動政策を策定して充実させる。新しいタイプの都市化の総合的試行の範囲を拡大する。居住証には大きな権利と利益がついているから、転籍が済んでいない都市部常住人口にそれをいち早く普及させ、彼らが居住地での義務教育・就職・医療などの基本的公共サービスを法律に基づいて享受できるようにする。

解説:「人口・土地・資金」相互連動は、戸籍の都市化の実現を加速させる

国家行政学院経済学部学部長の張占斌氏によると、中央は新しいタイプの都市化の道へ進むことを示し、2020年までに1億人の農民工とその他の常住人口を都市戸籍に転籍することを求めた。「人口・土地・資金」相互連動政策は、新しいタイプの都市化における具体的な政策の表れである。用地指標と財政割り当ての指標、農民工の都市戸籍転籍の成果を相互連動させ、新しい審査の仕組みで「指揮棒」を打ち立て、地方政府が正確に都市化の道へ進めるように励まし導いていく。

この政策は、中央の構築した新しいタイプの都市化の戦略の意図と思想を地方政府がより深く理解できるように導くことに有利である。戸籍の都市化の実現、特に農民工とその他の常住人口が都市に定住するプロセスを加速させ、労働力の供給と市場の需要を拡大し、不動産市場を安定させ、都市のインフラ整備拡大のために先決条件を創り出す。

財政部(日本の財務省に相当)財政科学研究所副所長の白景明氏は、農村人口の都市流入に伴って、都市における外来の人々ともともと都市戸籍を持つ人々が、基本的な公共サービスの面で政策の違いに直面するだろうと指摘する。「人口・土地・資金」相互連動は、各種の権益保障において、同等の待遇を実現する方向に努力することに役立つ。さらには社会主義市場経済の単一市場構築を有効的に促進し、基本的な公共サービスの均等化を通じて、人々の基本的な権利と利益の保障に有益である。

 

 

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