新境地に立つ中国経済、世界の視点

 

「短期的な数字の変化よりも、中国経済の構造調整に注目している。消費の促進、技術革新の奨励、グリーン産業の推進、発展の地域間格差の是正などにどう取り組むかだ」。アルゼンチンのエコノミストであるグスタボ・ジラード氏は、中国の年に1度の「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)は中国経済の深化を観察する機会だとし、今年は「新常態」での中国経済の改革の行方に注目していると語った。

世界経済は依然として金融危機後の深い調整期にあり、中国経済は成長への原動力の転換と構造調整に向けた要の時期にきている。「両会」期間に中国が発する意気込みで、世界が興奮に包まれている。

米ウォールストリートジャーナルは、構造改革と世界経済の減速を背景に、中国政府が成長目標を引き下げるのは予想通りだと報じた。

英エコノミストは、中国政府が投資の伸びを抑えると同時に財政政策の重点を減税に置くことについて、供給側改革の考え方に沿ったものだとの見方を示した。

安定成長と構造調整、改革促進の三者の間で、如何にして均衡点を探し出すか、中国は1つの答えを出した。経済運営を合理的な区間で維持し、供給側の構造改革に注力。新たな成長エンジンの育成を急ぎ、既存の比較優位性の高度化を目指す方針だ。

中国経済は試練に揉まれながら成長し、成果を上げているのは明白だ。2015年は、サービス業のGDPに占める比率が50.5%に上昇し、初めて50%を越えた。消費の経済成長への寄与率は66.4%に達し、投資と輸出に代わる第1の成長エンジンとなった。ハイテク産業と設備製造業の伸びが一般工業を上回った。

イリノイ工科大学Stuart School of Businessの経済学教授は、サービス業の成長が中国経済の構造変化の「力強い」象徴だと指摘した。

米国財務省の国際事務副部長も、中国の「新経済」の新たな力を認識している。過去3年間、中国のサービス業は工業を上回る成長を維持してきた。投資全体の伸びが鈍化するなか、サービス業と消費関連産業の投資は力強い成長を維持。一般家庭と政府の消費が15年の経済成長への寄与度が約3分の2に達した。小売消費が10%以上の伸びを維持するとともに、中国は世界最大の自動車市場となった。

「向こう1-2年は中国の経済安定、成長刺激の鍵となり、中国には重要なチャンスが到来する見込みだ」。Ernst & Young新興市場・グローバル政府公共部門のロン・マリク氏は期待を示す。

米イェール大学のスティーブン・ローチ研究員は、中国政府が経済のサービス業・内需主導型への転換を全力で進め、改革に注力すれば、中国は向こう5年間の年平均経済成長率6.5%の目標を実現できるとみている。

米Brookings InstitutionのDavid Dollarシニアフェローは、中国は投資主導型の成長モデルから持続可能な成長モデルに転換し、供給側のイノベーションと需要側の消費に注目する必要があるとし、「これらの調整が進行していることは、たいへん望ましい知らせだ」と指摘する。GDP成長率と雇用の伸びの関係はそう簡単なものではない。中国の経済成長が鈍化しても、雇用の伸びは依然として力強い。急成長するサービス業の労働集約度は製造業を上回る。

中国経済はいま、より持続可能で安定した成長路線を歩んでおり、これが世界に恩恵をもたらすことになるだろう。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月11日

 

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