孫暁梅代表:女性を重視してこそ出産意欲も高まる |
王朝陽=文 2016年1月1日から、中国では1組の夫婦が2人の子どもを出産・生育できる政策が全面的に実施された。これ以前に、夫婦のいずれかが一人っ子の場合に第2子を持つことを認める政策が実施されており、これはすでに1年近くが経過したが、効果は顕著なものではなく、第2子出産申請者数は公式予想を大きく下回っている。それでは、この二人っ子政策の効果に影響している要素は何か、また二人っ子政策の全面的実施は女性にどのような変化をもたらすのか? これについて『人民中国』記者は、第12期全国人民代表大会(全人代)代表で、中華女子学院女性学部教授の孫暁梅女史に話を聞いた。 ――二人っ子政策の全面的実施後、2人目を産むかどうかは多くの家庭にとって非常に悩ましい選択になっています。どのような客観的要因が出産意思に影響を与えているのでしょうか? 孫暁梅(以下、孫) 二人っ子政策の実施は比較的急で、国は基本的に対応準備が何もできませんでした。昨年1年われわれは母子保健の現状について調査・研究を行い、助産師、小児科医師、小児病室、産婦人科病室が不足していることを発見しましたが、状況は憂慮すべきものです。 このほか育児問題もあります。保育所、幼稚園が少なく、0~3歳児の育児・託児難が存在します。こうした状況下で、多くの女性は子どもを産みかねています。政府は低年齢児の育児施設の整備が必要で、そうでなければ、みな第2子出産にそれほど積極的にはなりません。 私は、日本で調査研究した時に、日本政府はこの面でわれわれよりよくやっていることに気が付きました。育児についていうと、仕事を持つ女性と専業主婦には、育児施設に対するニーズが異なります。保育園は朝7時から夜7時まで子どもを預かってくれ、仕事を持つ女性は労働証明があればすぐに子どもを保育園に入れることができます。幼稚園は朝9時から午後3時までで、専業主婦のニーズを満たしています。 ――こうした母子保健リソースが不足し、関連施設増が待たれる状況下で、全人代はどのような活動を行っているのですか? 孫 われわれは次に政府にさらなる福祉補助措置を速やかに打ち出すよう提案します。 実は現在、もう一つ問題があります。女性の2度の出産によって仕事に中断をきたすとして、多くの場所で女性の雇用を渋るということが起こっています。このため、女性は第2子を出産すると、多くの状況下で雇用の圧力と家庭に戻る準備に直面します。このため、今年われわれは女性の権益保護にさらに力を入れるため、引き続き「反雇用差別法」の整備と厳密化を推し進めています。職場が、出産・育児を理由に女性を雇用しないことが発生しないよう確実に保障するのです。 全人代は一貫して女性・児童の問題を重視しています。1990年代という早い段階から小児科医師が少ないことについて提案を行ってきましたが、残念ながら関係部門から重視されることがありませんでした。 ――では、二人っ子政策の全面的実施は、政府が関連の法律、施設を整備し、いっそうよく女性の権益を保護していく契機となるでしょうか? 孫 それはすでに始まっています。今年の両会で多くの二人っ子政策に関する議案・提議が出されました。いずれも女性の権益を保護するもので、女性が第2子を出産できる条件を確保し、また仕事も影響を受けないことを確保するものです。 法律面では、二人っ子政策の全面的実施は関連の法律整備、制定の契機となっています。例えば、先ほど話した「反雇用差別法」です。また第2子出産の自由化後、中年夫婦が第2子出産を望んだ場合、身体的理由から、生殖補助医療が必要となる可能性が大きくなります。われわれは精子、卵子の提供、代理出産などについての規定の適切な調整を行うこと、関連の法律を打ち出すことも必要です。施設面では、先ほど申し上げた幼稚園、病院などのハード面での建設が、いずれも強く望まれます。 要するに、国は女性を重視することが必要で、そうしてこそ女性の出産・生育意欲を高めることができるのです。
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