賀強委員:異なる国のGDP数値の差異を誇張すべきではない

王焱=文・写真

3月9日午前、中国人民政治協商会議(全国政協)の教育界のグループ会議で、全国政協委員、中央財経大学金融学院教授の賀強氏は「財政赤字」「クラウドファンディング」「GDP(国内総生産)成長率」など現在注目を集めている経済の話題について自分の考えを語った。

2016年、中国の財政赤字の規模が昨年より増加している状況について、賀委員は以下のように述べた。「赤字というのはつまり支出が収入を上回っていることだが、妥当な規模の赤字は、経済発展にとって良い部分もある。政府活動報告では、今年、中国は企業の税負担を減らすと同時に政府の支出を増やすとしているため、経済発展の原動力を呼び起こすことができるだろう」

 最近話題になっているクラウドファンディングについて、賀委員は「昨年、私は微信(中国版LINE)のモーメンツで小さな実験をした。ヒツジを飼育するために資金を募りたいという情報を流したのだ。郊外の山間部にヒツジを放牧できる数百ムー(中国の地積単位、1ムー=約667平方メートル)の土地があり、人工飼料を使わずに育てるため、一般の羊肉よりおいしくできる。参加を希望する友人たちから1人1万元ずつ募ったら、意外にもすぐに集まった。昨年は70頭を飼育し、40数頭を処分した。今もまだ70頭以上いるが、どんどん増えている」と自らの経験を語った。

この経験を通じて賀委員は、クラウドファンディングをうまくやれば確かに商機があると考えた。例えば、今回のヒツジの飼育なら、放牧する人を雇うコストが高くても、ルートをきちんと整えればお金を稼ぐことができる。大学生が起業する方法としても利用可能だ。

しかし、賀委員はインターネット金融に存在するリスクについて、「今年起こる金融詐欺事件は、クラウドファンディングの分野まで及ぶ可能性がある」と指摘した。彼は「インターネット金融の健全な発展を促進するため、まず管理システムを整備し、この種の業務を展開するには、一定の資格、技術のハードルを課す必要がある。さらに、インターネット金融の分野における法律や規則の違反を断固として取り締まり、信用に関するシステムの構築を強化しなければならない」と提案した。

中国のGDP成長率がこのところ低下し、世界ランキングでインドのほうが高い順位を占めたという話題になった時、賀委員は、単純にGDPの数値だけで異なる国の経済状況を比べるべきではないという考えを述べた。「2011年の年末に、メディアは中国のGDP総量が日本を超えたと報道した。世界で2番目になったとわれわれは非常に喜んだ。一部の海外メディアも機に乗じて、数年したら米国を超えるなどともてはやした。しかし私は、実際のところ、異なる国のGDP数値を比べるだけで経済状況の良し悪しを断言するのは科学的ではないと考えている」

賀委員によると、GDPの統計方法は国によって異なるという。例えば、中国では主に産出法を用いて統計をとり、その他の統計方法も参考にしている。一方、米国や日本では主に支出法を用いて統計をとっている。インドは今年になって統計方法を変更した。

賀委員はさらに以下のように述べた。「株をする人は皆、2つの株式市場の株価指数は直接比べられないと知っている。なぜなら、統計方法や算出方法が異なるからだ。例えば、香港ハンセン株価指数は最高2万8000ポイント余りで、上海総合指数は現在2800ポイント余りしかない。まさか香港の株式市場の価値が、上海の10倍もあるとはいえないだろう。GDPも同じことだ。もし統計方法が異なるなら、動向を比較し、自分と自分、現在と過去を比べるしかない」

 

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