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本音の中にある温かさ

光本 恵理

大学入学前まで、私にとって中国はまさに「近くて遠い存在」であった。地理的には近い存在であるが、日本人と中国人の心の間には遠い距離があると感じていた。しかし、今の私は中国人をかけがえのない大切な隣人だと思っている。第34回日中学生会議への参加が私の考えを大きく変えた。

正直に言うと、私はずっと中国に対して悪いイメージを持っていた。中国人の友達も居らず、中国に一度も訪れたことのない私の中国のイメージは、全て報道など人からの情報によって作られていた。従って、中国と言って真っ先に思い浮かぶのは、偽装、真似、汚染など悪いイメージだけだった。大学に入学し、第2外国語として中国語を学ぶことにした。しかし中国語を選んだ理由は中国に興味があり、中国人と会話出来るようになりたいなどという肯定的なものではなかった。日本は経済的な面、安全保障的な面で中国との関係が将来的にも嫌でも必要なのだから、学ぶなら中国語が良いだろうという否定的な理由だった。つまり、中国人に対してのイメージは良くないまま中国人の先生の授業を受けることになった。一回目の授業の時、中国人の先生はこうおっしゃった。「日本人はきっと中国に対して悪いイメージをもっているでしょう。けれど、中国人は日本人よりも温かくて、優しいと思います。」中国に悪いイメージしか持っていなかった私にとって予想外の言葉だった。そして、この言葉が本当なのかを実際に自分で感じたいと思い、日中学生会議に参加した。

私は京都を観光している時に1人の中国の友達に「お父さんやお母さんは日本に来ることを反対しなかった?日本のことは嫌いじゃないの?」と聞いてみた。そうすると、彼女は「2人とも日本のことが嫌いだから、日本に行くことを反対した。」と言った。この答えを聞いて、こんなにもはっきり答えられたことに驚いた。私だけでなく、多くの日本人はもし中国が嫌いかと尋ねられて、嫌いだとしても、はっきりと中国が嫌いだとは答えないだろう。従って、日本人はこのような解答を聞いたら、相手に対する配慮がないと不快に思うかもしれない。また議論を例にあげても日中間で違いはあった。日本人は議論を行って、相手の意見が自分の意見と違う場合このようにいうことが多い。「あなたの意見は分かりました。確かにそのような意見もあると思います。ただ私の意見は少し違います。」日本では相手の意見を一回肯定して、自分の意見を言うことが評価されやすい。一方で中国人は、自分の意見と違うと即座に「不是」ということが多い印象を受けた。議論、普段の生活を通して、中国人は日本人よりもはっきりと自分の意見を言うと感じた。日本人のように曖昧な言い方をすることはほとんどなかった。

確かに中国人は日本人よりも自分の意見をはっきりと言う。しかし、私は中国人との2週間の生活の中で、中国人は本当にあたたかくて、優しいと感じだ。なぜならば、中国人が自分の意見をはっきりと言うのは、相手を否定するためではなく、相手と真剣に向き合っている証なのだと気がついたからだ。彼らは自分の思っていることを正直に伝え、上辺だけの関係ではなく真の関係を築こうとしていた。相手と意見が食い違い、相手とぶつかっても正直に自分の意見を伝える勇気があった。これが本当の温かさであり、優しさなのだと思う。私は日中学生会議を通してかけがえのない隣人に出会えた。自他と真剣に向き合い、正直な気持ちを伝えることが中国人の温かさ、優しさであり、隣人になる為に不可欠だと教えてくれた中国の友達に感謝したい。

 

人民中国インターネット版 2016年3月

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