福岡 杏菜
ふと、目の前にあるものを手に取ってみるとそこにはMADE IN CHINAの文字。家から一歩外に出ると中国語で書かれた表札がある。
わたしたちは日々、中国と密接にかかわりながら生活しています。しかし、日本と中国の間にある政治的な問題に目を向けると眉をひそめる人も少なくはないはずです。
また、そんな状況を助長させるかのようにテレビでは、日本と中国間の溝を深めるような報道ばかり。「~~島は中国の領土だ!」「日本人は嫌いだ。」そんな言葉を聞いてわたしたち日本人は果たして、中国に好意を持ち関係を改善したいと思うでしょうか。わたしは、このような報道を見ているうちに、「日に日に悪化していく両国の関係を改善したい。」という気持ちと同時に「日本人が中国に好意いだくきっかけづくりをしたい。」という思いが芽生えていきました。
そんなある日、世界史の授業で興味深い話を耳にしました。「中国は日本に漢字を伝えただけでなく、日本から輸入もしていた。」というものです。日清(1894年甲午)戦争が終わって間もないころ、日本語に翻訳された洋書を読むため当時の中国は日本に大量の留学生を派遣し、日本独自の漢字、和製漢語を習得したそうです。
わたしの頭の中にある知識では中国から漢字が伝えられた。で完結していました。そのため、とても衝撃を受けたことを覚えています。このことに加えて、和製漢語と呼ばれるそれらの漢字は現在中国では欠かせない文字だということに驚きました。これで、日本と中国が切っても切り離せない関係だと立証された。そう思うと、とても嬉しくなりました。
わたしたちは、過去の出来事に目を瞑りがちです。しかし、異文化の中には同文化があるのと同じように過去と向き合うことで、目を向けなければ決して知ることのできないつながりを見つける第一歩となります。
そして、そのような事例は漢字に限らずあらゆる面で日本文化の中に中国文化が浸透しているということを示唆しているのだと思います。そう考えると長い歴史の中で中国が日本に与えてくれた恩恵ははかりしれません。逆に日本が影響を与え、現在も中国の中に根付いているものもたくさんあると思います。
数年前から、日本に訪れる中国人観光者数が大幅に増加しています。そして、中国のこうした状況をみて、日本でも中国語を勉強し始めたり中国人観光客を受け入れようとする動きが盛んになっているそうです。
中国というだけで過剰に反応し、批判的な目でとらえていませんか?自分の胸に問いかけてみてください。
一方的な考えが独り歩きしている世の中はあってはいけないと思います。今までの中国に対するイメージを改め、クリアな頭で柔軟に対処していく。こうした一人一人の中国を理解し、尊重しようとする気持ちの積み重ねが日本と中国をつなぐ原動力になればいいと思います。そして同じアジアの国として、ともに歩んできた隣人として両国が強い絆で結ばれることを切に祈っています。
人民中国インターネット版 2016年3月 |