ボアオ・アジアフォーラム2016年年次総会がスタートした。今年の総会の注目点は何か。以下、総会のアジェンダ(3月21日現在)に基づいて、7つの注目点を整理する。会場にいるいないに関わらず、これらの注目点は見逃せない。
▽注目点1:李克強総理が基調講演
2016年3月17日午前、外交部(外務省)の陸慷報道官は、「国務院の李克強総理が3月24日、招待に応じて海南省ボアオで開催されるボアオアジアフォーラム2016年年次総会に出席し、開幕式で基調講演を行う」と発表した。
「人民日報」の論説によると、中国はこれまでずっとボアオアジアフォーラムの発展を非常に重視し積極的に支援してきた。李総理は12年、14年に続く3回目の総会出席となる。12年4月2日、当時国務院副総理だった李総理は開幕式に出席し、「共通認識を凝集 アジアの健全で持続可能な発展を促進する」とのテーマで基調講演を行った。14年4月10日には、国務院総理として開幕式に出席し、「アジアの発展の新たな未来をともに切り開く」とのテーマで基調講演を行った。
現在、グローバル経済は復興への力が足りず、アジアや新興国の経済は下ぶれ圧力に直面する。こうした背景の下、中国の一挙手一投足に世界中の視線が集まる。
▽注目点2:供給側改革が複数の討論の場でテーマに
中国に関する議題について話し合う分科会は、歴代の総会の重点だった。今年は経済のホットポイントと合わせて、供給側改革が複数の討論の場で注目点になるとみられる。
16年は中国で第13次五カ年計画がスタートする年だ。中国の発展ペース、発展モデル、改革ルートなどの問題は、中国自身の未来を決定してきただけでなく、世界中の期待に満ちた視線を集めてもいる。
分科会には「ジャンルを越えた対話」という特徴がみられる。政策を制定する者や監督する者と企業家との実務的な対話もあれば、中国と海外の経済専門家の世界最先端の予測もあり、ネット業界のリーダーと投資家が見方を戦わせるものもある。
中国の問題について話し合う分科会では、大勢の参加者が一堂に会し、中国の改革の注目点について、「ブレーンストーミング」を重ねることになる。
▽注目点3:アジア経済の新しい活力をさまざまに討論
15年にはアジアのエコノミーの成長ペースが鈍化し、軒並み経済の下ぶれ圧力にさらされた。大口商品価格の低迷、輸出の急激な落ち込み、各国が直面する資本流出の圧力、人口・産業・債務構造の調整などの問題が、15年のアジア経済の発展につきまとった。
伝統的な経済のパワーが衰退し、新しいパワーはまだそれほどの規模に達していない。16年は最終的により困難な一年になるだろうか、それとも夜明け前の暗闇になるだろうか。
いずれにしても、アジアは引き続き世界で最も活力と展望に満ちた地域だ。国際通貨基金(IMF)の試算によると、アジアは世界経済全体の40%を占め、今後4年でグローバル経済への貢献度は約3分の2に迫るという。
各国にとって、苦境から脱する根本的な方法は構造改革を行うことだ。メディアの予測では、地域経済や貿易協定が大きな進展、インフラ設備の相互接続(コネクティビティ)建設、科学技術能力の革新といった分野で、アジアの新しい活力が生み出され、グローバル経済貿易の局面を大幅に塗り替える可能性が高いという。
今年の総会では、エネルギー、貿易、資本、「一帯一路」(1ベルト、1ロード)、金融資本などのテーマについて、参加者が多様な角度から討論を行う予定だ。
▽注目点4:グローバル経済の急所を直撃
低成長、低インフレ、高失業率、貿易低迷、債務増加、金融市場と大口商品市場の変動……こうした問題はアジア各国にとっての「呪詛」であるだけでなく、グローバル経済の「急所」でもある。
15年のグローバル経済の目立った特徴は経済復興のアンバランスさだ。アジア市場と新興市場の経済は引き続き構造改革が行われ、欧州経済は復興の歩みが遅く、米国経済は数少ない明るい話題だったがグローバル経済の復興を牽引するほどではなかった。
各国政府は経済復興を推進する政策を相次いでうち出してきた。中国の「一帯一路」、欧州の「ユンケル・プラン」、日本の「アベノミクス」、韓国の「経済改革3カ年計画」と「4大改革」などだ。
またグローバル金融市場が変動を続け、各国の中央銀行はこれからも「大変な試験」を受け続けるとみられる。緩和された金融政策、デフレ、通貨切り下げなどについての討論は、世界の投資家の視線と投資の方向性を引っ張っていくことになる。
今年の総会では複数の会議が設定されており、グローバル経済の急所について深く掘り下げ、「対症療法的に薬を処方する」場になる。
▽注目点5:グローバルガバナンスの新たな課題 政策めぐるコミュニケーションを呼びかけ
世界経済の復興の歩みの鈍化、グローバル市場のこれまでにない連動性が、グローバルガバナンスに新たな切迫した要求を突きつけている。政策をめぐるコミュニケーションと協力を強化する必要がある。
そうしたわけで、今年の総会では同一分野の方針決定者が世界中から招かれ、1つのテーブルに着席し、お互いの顔を見ながら交流を行うようになっている。
今年9月4~5日には主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が中国で行われる。ボアオアジアフォーラムの「モデル転換中のG20:世界のビジョン、中国のプラン」分科会には、商務部(商務省)の高虎城部長と外交部(外務省)の王毅部長が出席する予定で、両人の発言から「中国のG20プラン」の重要な情報がうかがえるのではないかということで、世界中のメディアの注目が集まることが予想される。
▽注目点6:ネットの議題が続々 対話に数多くの注目点
今年の総会アジェンダをみると、「インターネット」と「起業・革新」をめぐる議題が総会の注目点であることがわかる。世界のネット産業のリーダーや主役達がボアオに集まることになる。
グローバル経済の復興の過程で、新しい技術が経済成長を推進するブレークスルーポイントになっている。業界関係者は、「世界の新たな科学技術革命において、人類社会の発展に影響を与え、世界の局面を塗り替え、経済の爆発的な成長を推進する新しい技術が生まれる可能性がある」と話す。
今年の総会では、世界のネット産業とベンチャー投資界のリーダーが一堂に会し、ネットや先端科学技術についての議題が続々と提起される見込みだ。
▽注目点7:アジア文化の新しい詩を編む 伝統と未来の交流・融合
伝統を踏まえ、今年の総会には文化や社会の注目するホットポイントに関する分科会が多数設定されており、そこにもさまざまな注目点がある。
23日朝に行われる「多彩な文明とアジアの新しい活力」分科会には、12年にノーベル文学賞を受賞した作家の莫言氏が出席する。25日の「宗教リーダーの対話」分科会には、中国人民政治協商会議(全国政協)の常務委員と中国仏教協会の副会長を務めるパンチェン・ラマ11世が出席する。「スポーツ産業:次なる風穴」分科会には、上海東方大鯊魚バスケットボールクラブの会長で元プロバスケット選手の姚明氏が出席する。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年3月24日
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