昨年から中国人民銀行(中央銀行)、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)、中国証券監督管理委員会(証監会)、中国保険業監督管理委員会(保監会)の「1行3会」の合併をめぐる議論が盛んに行われている。今年のボアオ・アジアフォーラムでは、多くの専門家が合併に否定的な意見を表明した。人民銀でかつて副総裁を務めた全国人民代表大会(全人代)財政経済委員会の呉暁霊副委員長は合併に反対で、「3会を一つにしても金融商品市場の監督管理の問題は引き続き解決できない」と述べた。中央匯金投資有限責任公司の李剣閣副会長(清華大学国家金融研究院連席院長)はフォーラムでメディアの取材に答える中で、合併のうわさを否定した。「北京商報」が伝えた。
李副会長は、「政府の政策決定者が金融監督管理体制の改革プランを検討中だ。自分もプランの検討に参加しているが、プランはまだ確定しておらず、合併が話題になったことはなく、改革が必要であるということしか話題になっていない」と述べ、具体的な改革の内容については明らかにしなかった。国家金融発展実験室の李揚理事長(中国社会科学院元副院長)は、「改革プランは数カ月以内に答が出るはず。現在は複数のプランが出ており、幅広く意見を聴取して比較検討を進めているところだ」と述べた。
中国金融産業は業務の混合経営(多角化経営)の流れが強まっており、業務を分けて監督管理を行えば効率が下がるだけでなく、インターネット金融のような一連の金融の革新に対する監督管理の問題に対処する際に、十分に対処することができなくなる。李理事長は、「昨年の株式市場にみられたリスクは、特に混合金融商品のリスクは、監督管理の枠組とある程度不合理な関連性をもっている。業務を分けての監督管理モデルと混合経営の流れとの間の矛盾が日に日に大きくなり、金融産業の監督管理の改革を求める声が次第に高まっている」と述べた。
人民銀金融研究所の卜永祥副所長は論説の中で、「『1行3会』の合併はこうした問題を解決するルートの一つかもしれない。早くも2008年に、『1行3会』を合併して『大金融』を成立させるといった部門改革を採用してはどうかという意見が出されていた。終わったばかりの両会(全国人民代表大会<全人代>と中国人民政治協商会議<全国政協>)では、『1行3会』の監督管理システムの改革が熱く議論された」と述べた。また国家外貨管理局の潘功勝局長は、「外部で熱く議論されている『1行3会』を合併して生まれる『スーパー金融監督管理機関』は多くの討論の場面で出てきたプランの一つに過ぎないが、関連当局が急ピッチで検討作業を進めている」と述べた。
「1行3会」の合併ではさまざまな問題を考えなければならない。中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇センター長は、「混合監督管理が時代の流れだが、産業間には大きな相違がある。そこで、『1行3会』の合併というやり方をすれば、それぞれの産業のリスクの特徴、組織スタイル、モデルの違いを無視することになる」と注意を促した。人民銀の易綱副総裁も、「新しい監督管理体制では、銀行、証券、保険、信託のさらなる融合にどのように対処し、中国の経済・金融の競争力をどのように引き上げ、リスクをどのように防ぐかといったことを考えなければならない」と指摘した。
呉副委員長からみると、「『1行3会』の合併というやりかたは不可能であり、現実の問題を解決することはできない」ものであり、「現在、銀監会と保監会と証監会が(業務を)分割して監督管理を行っており、これらを一つに合併して情報の共有・交換を強化しようとしてもうまくいかず、これまでと同じように争いが起こるだけだ。資産配分市場における各種の資金がどこから来るかを考えると、本質的にいえば、他人の金を集めて投資基金にしているのであり、証監会の統一的な監督管理が必要だ。資産運用商品の分割監督管理は金融リスクとレバレッジを覆い隠し、市場のリスクを見えなくし、ふさわしい受け入れ能力を確立することは難しい」という。
呉副委員長は、「業界のすべての銀行が銀行の資産運用商品が一種の基金であることを認めようとしない。銀行は資産運用商品の販売を非常にスムースに行うことができ、登録さえすれば可能だからだ。資産運用商品は設計も非常にやりやすい。監督管理の権限が証監会の手の中にあれば、証監会の審査規定を踏まえ、1年間は複数の基金をうち出すことができなくなる。そこで監督管理が煩瑣であることや監督管理の権限の争奪戦により問題はいまだに解決できないでいる。そこで銀行が資産運用商品を一種の投資基金であることを認める必要があると考えるが、投資基金の種類や設計、発行や管理の規定は改善する必要がある」と説明した。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年3月25日
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