新たな架け橋

  

 

本当に多くの人に出会い、暖かな思い出がたくさん詰まった旅となった。初日に訪問した人民大学では、今度に日本に留学するという学生に出会った。二人で盧溝橋を渡り、日本で再会する約束をした。また、家庭訪問先の人民中国の社員の方のお宅では、手料理をごちそうになったりした。書斎でふとその方が「日中交流は私のライフワーク」とおっしゃったことがとても印象的だった。

今回の訪中で、日本に関わる戦後から今日までの多くの中国人の思いに触れたこと、また中国と関わる日本人の仲間に出会えたことで、日中間の未来に対して「今は様々な問題があるとしても、互いを理解し関係を深めて行く道が必ずある」ということを実感することができた。

また、整備された北京の街や高速鉄道といった、中国の新しい一面を見て驚いた一方、山東省の面影が残る街で、深淵な孔子の思想の一端に触れることができた。講義してくださった先生の言葉は少し重く、美しく教室に響いていた。中国のことはよく知っているつもりだったのに、「こんなにも多面的で、複雑で、面白い国だったんだ」と改めて気づかされた。言語にしろ、文化にしろ、中国には何か形容しがたい豊かさがあるように思う。日本の若い世代だけでなく多くの人から中国に対する関心が薄れていくのは、勿体ないことなのではないだろうか。

一言に中国と日本の交流と言っても、一人一人の多様な交流で成り立っている。私もこれから、仕事の上だけでなく、生涯中国の人たちと心の交流を続けていきたいと思う。また、日本人と中国を繋ぐことも考えていこうと思う。

日本と中国の歴史にも向き合いながら、国境も民族も超える『新しい橋』を架けていきたい。それが愚かな戦争の歴史を繰り返さないためにも必要なことだと感じている。


人民中国インターネット版

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