未来にもっと目を向ける契機となった

 

 

中国の旅は、私に多くのことを教えてくれた。今回の旅で知ったことは大きく二つある。 

ひとつは、もちろん中国のことだ。私は今まで中国を訪れたことはなく、中国人と交流したこともほぼなく、ましてや中国語を勉強したことも一切なかった。そのような意味で、今回の研修旅行参加者では珍しかったかもしれない。中国に関して無知に等しい私にとって、中国のイメージはメディアによるものがほとんどを占めていた。空気がとても汚い国、領土問題で日本と揉めている国、日本のことが嫌いな国、といったネガティブなイメージを抱いていた。しかし、今回の研修旅行でそのイメージは大きく変えられた。中国は必ずしも反日的ではなく、親日的な人も多くいる。十三億人もいる中国には様々な考えの人がいて、反日的な人もいれば親日的な人がいるというのは、当たり前のことだが、そのことを実感として得られるまで気づかなかった。中でも、日本の文化が中国でとても親しまれていることに驚いた。現在放送されているドラマがとても流行しているらしく、観ている人が多くいた。また、仲良くなった人の中には、漫画やアニメに関してとても詳しく、私が全く知らないような内容を、深く幅広く知っている人もいた。 

政治的には中国は日本と衝突しているが、文化的に見れば中国は日本に親しみがある。ソフトパワーという言葉があるが、政治でなく文化の面から、日中関係を改善していくことはできるのではないか、と強く感じた。 

「服を買いに行く服がない」と言う言葉があるが、今に私はまさにその状態で「中国についてよく知るための中国の基本知識を知らない」状態である。研修旅行を通じて、中国を肌で感じることができ、中国についてもっと知り、交流し、日中関係をよくするために何らかの形で貢献したいと思った。そのためにも、中国について勉強し、また中国を訪れたいと思う。そのような想いから、帰国後、中国語の勉強を始めた。まずは日常会話ができるように、できることから頑張りたい。 

もうひとつは、自分の小ささだ。研修旅行を通じ、中国人はもちろん日本人含め、多くの人と交流することができた。大学では体育会に所属し、日々部活ばかり没頭している私にとって、様々なバックグラウンドを持った人との交流は、とても新鮮で、自分が無知で、いかに狭い世界•価値観の中で生きてきたかを知る機会となった。 

中国で交流した大学生は、将来、自分に教育の機会を与えてくれた中国に恩返しできるように働きたいと言っていた。個人単位でしか将来を考えたことがない私は衝撃を受けた。 

共に旅した日本人の仲間には、中国に留学し、中国語も堪能で、日中関係について真剣に考えている人、中国で書道を追究していた人、記者になる人、農業や狩猟をしている人、大学院で研究をしている人など、他にも挙げたらきりがないほど、多様な立場の志が高い人々がいた。 

今部活をひたすら頑張っているだけの私にとって、そのような仲間との交流は刺激的だった。将来私は何をしたいのか。この交流は、現在ばかりに目を向けていた私に、未来にもっと目を向ける契機を与えてくれた。そして、部活だけをして満足していた私に、もっといろいろな世界を知りたいと思わせてくれた。 

「井の中の蛙、大海を知らず」中国に行く前の私の姿そのものを表す言葉だ。中国に関して何も知らなかった。縛られた価値観、固定概念の中で生きていた。中国での研修旅行は、ちっぽけな私の姿を、私に気づかせてくれた。これからは、この研修旅行を通して知ったこと、感じたことを忘れずに、胸に抱き、行動に移していく番だ。 

今回、中国研修旅行に参加する機会を与えてくださったpanda杯関係者、研修旅行で知り合った中国や日本の仲間たちに、心から感謝しています。ありがとうございました。


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