西側世論は南中国海問題の本質を変えられない

 

中国と二国間または多国間外交活動を行う中で、当事国による交渉や協議によって南中国海をめぐる争いを解決するとの中国の主張を10数カ国が支持している。ラオス、カンボジア、ブルネイ、ミャンマーなどのASEAN諸国、およびロシア、インド、パキスタン、バングラデシュ、キルギスなどの周辺国、さらに欧州のポーランド、ベラルーシやアフリカのガンビアなどだ。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

ハーグ国際仲裁裁判所が近くいわゆる「南中国海仲裁案」の仲裁結果を下すにあたり、こうした国々の姿勢表明は明らかに的確性を備える。フィリピンは中国側の反対を顧みず、「南中国海仲裁案」を一方的に提起した。米国、日本など西側諸国はこれに付和した。特に米国は政府からメディアまで「南中国海仲裁案」を絶えず騒ぎ立て、仲裁結果を尊重するよう中国に求めた。米政府側は、仲裁結果は中国に対して拘束力を持つとまで言った。

フィリピンは中国側の反対を顧みず、国連海洋法条約の強制紛争解決手続きを乱用し、仲裁を一方的に提起して強行的に推進した。その意図は明白だ。自国が中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島の島や礁を不法に侵略・占領した事実を覆い隠し、合法化し、南中国海における中国の主権と海洋権益を剥奪することだ。この過程において、フィリピンは自らについて強者に虐げられている弱者の印象をつくり、国際世論の同情をだまし取った。米日はフィリピンの提起した仲裁を支持し、騒ぎ立てて、南中国海問題を利用して地域に介入し、中国のイメージを損ない、中国と域内諸国との関係に水を差し、中国の影響力を抑えつけ、各々の戦略的利益に資するようにしようとしている。

米日政府の南中国海に関する発言を見ると、いくつかのキーワードが繰り返し見られる。「航行の自由」「軍事化」「情勢の緊張」「国際法」「規則」「仲裁」「拡張」「強勢」等々だ。中国を被告席に座らせ、南中国海情勢の緊張を誇張し、その罪を中国に押しつけ、自らを公正と正義の化身とするものだ。米国は南中国海問題を足がかりに、地域の問題に介入し、これを撹乱し、「アジア太平洋リバランス」戦略に寄与するようにしようとしている。南中国海問題を大げさに宣伝し、利用すると同時に、米日はフィリピンなどを前面に押し出すだけでなく、自らが動いている。いわゆる南中国海仲裁案でフィリピンの肩を持った後、こうした国々が新たな宣伝を行い、新たな手口を弄するのは想像に難くない。

米日のこうした行動は、南中国海の平和と安定に無益であり、摩擦を激化させ、地域統合など重大な議題における協力の雰囲気を損なう。地域の国々はこれに警戒している。国際仲裁裁判所の手を借りて南中国海における中国の主権と海洋権益を奪い取ろうとするフィリピンの愚かなもくろみは、全くの白日夢だ。事実も証明するように、中国がいわゆる仲裁案を受け入れず、これに参加しないのには、法理上の根拠があり、同仲裁案の結果が中国の主権を揺るがすことはできない。南中国海問題において、フィリピンは大きな回り道をした後、最終的には対話と交渉による問題解決の道に戻らざるを得ない。

米国は南中国海問題で中国を孤立させることを強く望んでいるが、状況が米国の計算通りに進むことはない。中国は南中国海問題で孤立していない。大多数のASEAN諸国は中国側の立場に賛同している。つまり、南沙諸島の一部島・礁に存在する争いは中国・ASEAN間の問題ではなく、中国・ASEAN関係に影響を与えるべきではない。直接の当事国による対話と協議を通じて領土・海洋権益をめぐる争いを解決するべきであり、中国とASEAN諸国は協力して南中国海の平和・安定を維持する能力があり、域外国は建設的役割を発揮すべきだというものだ。中国とASEAN諸国のこうした共通認識を支持する域外国は増えるものと信じている。米国主導の西側世論がいかに騒ぎ立てても、南中国海問題の本質を変えることはできず、中国とASEANの協力という主流を変えることはできず、南中国海の主権・平和・安定を維持する中国の決意を揺るがすことはできない。

「徳は孤ならず、必ず隣あり」。真相は真相だ。中国の立場と主張は必ずより多くの前向きな反応を得る。南中国海問題においてもそうだし、他の多くの国際問題においてもそうだ。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年5月6日

 

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