中米両軍関係は南中国海という関門を乗り越えなければならない

 

最近、南中国海問題が中米関係、特に両軍関係の発展における重大な障害となっている。中国海軍はすでに今年6月に米ハワイで実施される合同軍事演習「リムパック2016」への参加の招待を受けている。だが米国内では中国側の参加への反対の声が絶えず、米国防総省に招待の撤回を求める声すらある。反対者は機密情報の保護を理由とするほか、中国の参加を拒否することを南中国海における中国の行動に対処する手段としている。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

それだけではない。米国防総省は先日発表した中国の軍事・安全保障動向に関する年次報告書で、中国の軍事力向上への注視を表明するとともに、海洋における中国の領有権主張が地域情勢の緊張を激化しているとして、南中国海問題を再び大げさに宣伝した。

様々な現象は、米国内の一部が南中国海問題において過ちを押し通して非を悟らないことを示している。彼らは南中国海において中国の展開する合理的で合法的な行動を米国の利益に対する挑戦と言い立て続け、対中強硬姿勢の煽動に力を尽くしている。こうした論調の刺激の下、米軍側はいわゆる「航行の自由」を旗印に、中国の島・礁近くに繰り返し艦艇や航空機を派遣して武力を誇示している。米国内にはもっと危険な論調もあり、南中国海での同盟国と中国との角逐を支援するために軍事力を用いるよう政府に求めている。

米軍の政策と行動はすでに悪影響を生じている。第1に、米軍は「横行の自由」に固執し、武力を盲信することで、南中国海の不安定性を激化させた。第2に、米国は南中国海問題で一方の肩を持ち、特定の国に米国が自らの行動の後始末をつけると誤った判断をさせ、中国の譲れぬ一線への挑戦を激化させた。第3に、中米両軍の敵対感情を煽動し、中米の衝突と対立のリスクを高めた

中米関係は現代世界で最も重要な大国関係の1つであり、地域と世界の平和的発展に重大な影響を与える。中国の軍事・安全保障動向に関する報告書は「中国の脅威」を誇張し続けているが、米国の目標が安定した多様なアジア太平洋の安全保障秩序の確保であることを明確に打ち出している。米国防総省は中国との持続的で実質的な軍事関係の構築を図っているとしている。米側は引き続き危険の制御措置の強化に尽力し、不測の事態の発生や誤った判断を防止するとしている。米軍は、双方の利益が融合する分野で実務協力を深化し、溝を建設的に管理・コントロールすることも提唱している。

米側の動向に対して、中国は明確なメッセージを発した。

第1に、中国は相互尊重の原則を強調する。中国の国防整備に対して米側が勝手な論評をすることに中国は一貫して反対している。領土主権と安全保障上の利益に関わる南中国海問題において、中国は米国に公正な立場の堅持と中国の正当な権利の尊重を要求している。相互尊重は中米の新型の大国関係において不可欠だ。

第2に、中国は米側に善意を示すとともに、米側も善意で報いることを期待している。中国は米側の懸念を理解し、平和的発展の道を堅持し、アジア太平洋で米側と調和のとれた共存を実現することを望んでいる。中国は米側が南中国海および周辺地域で軍事化の企てを放棄し、武力の誇示を止めることを望んでもいる。

第3に、中国側は両軍関係の積極的な発展を支持している。中国は両国の軍事関係を維持する米側の立場に留意し、これを評価している。だが中国は、米側が「ゼロサム」思考を固守し、あくまで中国を仮想敵とするのなら、両国の軍事関係の安定的発展は困難だと明確に指摘している。南中国海問題という関門を共に越えることは、中米の軍事関係および両国関係の大局にとって重要な意義を持つ。これについて米側はよく考え、慎重であらねばならない。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年5月18日

 

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