成都の盛んな企業環境

 

成都は中国西部の主要都市で、パンダのふるさととして、そして辛い四川料理で有名である。現地の人々はいつも元気いっぱいにパーティを開いており、毎日が週末のようだとも聞く。

しかし、安逸なライフスタイルの背後に、この四川省の省都は科学技術の巨頭として立とうとする壮大な志をもっている。成都のハイテク区は1988年に建設され、130平方キロメートルの敷地に、インテルやデル、テキサス・インスツルメンツ、富士康(世界の三分の二のiPadが富士康成都支社で造られている)などの国際知名企業が入居している。ここは今、創業の夢を追い求める世界各地の気力に満ちた若い企業家たちを引き付けている。

歴史上において、成都は新興技術と外来の移民に開放され、包容する都市であり、ウーバーの成都における発展はそのよい例のひとつだろう。

レンタカーサービスを提供するこのサンフランシスコから来た会社は、成都に来てわずか1年で、ニューヨークを打ち破り、ウーバーの1日の走行距離が世界で最高の都市となっている。カーシェア商品である「人民ウーバー+」は、最近100日間で成都においてのべ360万回の取引が行われ、毎日平均3万6000回の取引がある。

「われわれは中国市場向けに新製品を開発し、成都はずっとこうした試みとこれらの新商品発展の最前線におり、また、それらを世界のその他のウーバーを使用する都市に普及させる潜在力があります」と語るウーバーのスピークスマンは、この成績を現地政府が「インターネット+」の国家戦略の指導のもと、従来業界の発展を推進する行為としてイノベーションを支持したことによる功績としており、さらに成都自身もウーバーや滴滴などのタクシー呼び寄せソフト発展の強みをそなえていた。

このスピークスマンがさらに補足して語るには、ウーバーの中国チームは最近四川省政府の「幹部会議」に招かれ、熱い歓迎を受けたそうである。「彼らはウーバーの商品特性と社会的効果・利益について熟知しており、われわれに深い印象を与えました」。

 

Camera360社の本社もまた成都にあり、世界を風靡するこのソフトはすでに2億を超えるユーザーを抱えている。2010年、この会社は2300万元の融資を受け、現在北京と東京に支社を設けており、200名の平均年齢わずか27歳の従業員を抱えている。

Camera360のあるスピークスマンは、「成都の創業競争は日に日に熾烈となっています。現在、多くの若者が自らの興味に基づいて創業を選んでいて、多くの創業企業は成都に置かれ、世界へと歩み続けようとしています」と語る。 実際、Camera360の親会社である品果科技術有限公司は成都のハイテク区天府ソフトパークの企業インキュベーターでスタートを切った。ここには20の有名モバイルインターネット企業が構想から企業化まで、さらに加速成長までを成し遂げており、最終的には市場の創業四部曲に向かう。

企業インキュベーターが提供する便利な条件とは、無料で1年間70平方メートルの事務所を使うことができ、総価格約1億円の初期リスク投資と最終的に天府ソフトパークに入り、産業が寄り集まることによる強みを享受するチャンスを与えられることなどである。2007年以来、企業インキュベーターには700社の企業の入居が許可され、その中で180社以上が現在「孵化」の段階にある。

2014年以来、成都の企業インキュベーターは倍増し、84カ所から200カ所となった。「十分咖啡」は民間の企業インキュベーターで、創業企業にマーケティング代理と5000万元のエンジェルファンドの提供を行っている。

創業市場のバブルがはじける心配はないのかと問われた際に、ある政府政務サービスセンターのスポークスマンは記者に以下のように語った。「創業は市場誘導型の活動であり、成功もあれば失敗もあります。政府の役割は公平で有益な競争環境をつくることにあるのです。このほか、創業が奨励されるまた一つの要因とは、限りある就業ポストが中国の日増しに増える新卒生の需要に追いつかないためであり、2014年には全国で計700万人の新卒生がおり、うち成都が20万人を占めています」。

成都が「メイドイン成都」から「クリエーティブイン成都」へのモデルチェンジ計画をはかるにつれ、政府の創業とイノベーションへのサポートも相互補完の関係となっている。新川イノベーション科学技術パークは双方がこの目標に向け共に努力したひとつの成果である。敷地面積10.34平方キロメートルの新川イノベーション科学技術パークは成都のハイテク区に位置し、2020年に完成する予定で、現在すでに16社の入居が決まっており(そのほとんどがバイオ医学、インタラクティブデジタルメディア関連領域である)、総投資額は190億元を超えている。

 

 

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