身近にある6湖8湿地 | ||||
火ともし頃の成都は格別に美しく、剣南大道そばの郊外環状線高速道路には車の流れが途切れずに一本また一本と光の軌跡を描き、テンポの速い都市のリズムを表している。ところがその高速道路のすぐ下、緑地に囲まれた錦城湖の湖水はとりわけ静かで、そよ風がかすめるように吹き過ぎる時にさざ波を立てるだけだ。岸辺の平らな小道には、都市の騒がしさはまったくなく、ひとしきり鳥の鳴き声が聞こえ、ジョギングをする人の足音が時折耳に入るだけだ。 「錦城湖の近くに住んでいるので、毎晩ここに来て走っていますが、家の近くにこんなに良い運動環境があるのは得難いことです」と話すランニングウエア姿の韓さん(25)は、ここではベテランの夜間ランナーだ。「以前別の都市に住んでいた時にも夜に走っていました。しかし、道路は騒がし過ぎて、仕方なくイヤホンをして走っていました。現在、錦城湖ではその必要はなく、走っている時には樹上の鳥の鳴き声も聞こえます」。彼女は道路脇のイチョウの木を指さしてそう話した。面積約160ヘクタールの錦城湖湿地は、水系面積が約半分を占め、クリアウオーター・エコシステムが湖内水系を清浄にし、周囲の多品種の樹木や草花と相まってこの世の桃源郷のような生態環境を作り出している。
同じく夕方に、陳さん(62)は孫を連れて錦江大道のそばにある白鷺湾湿地公園をのんびりと散歩していた。「7時を過ぎると、ここにはシラサギが帰ってきます。子どもは動物が好きで、いつも私についてここに鳥を見に来るのが大好きです」。家から近いため、陳さんは毎日夕食を食べた後で公園に散歩に来ており、ついでに孫と一緒に鳥たちが帰ってくる美しい景色を楽しんでいる。近郊にあるため、白鷺湾湿地の面積は錦城湖より大きく、自転車で一周すると少なくとも一、二時間はかかる。毎週末になるとここの人気はさらに高く、手をつないで散歩するカップルや自転車で郊外レジャーを楽しむ親子連れ、カメラを据えて白鷺が帰巣する様子を撮影しようとするアマチュア・カメラマンが至る所で見られる。 錦城湖や白鷺湾を含め、成都市中心市街地の周辺には六つの湖と8カ所の湿地がある。8カ所の湿地の水源は主に雨水や汚水処理場からの処理水で、不足した場合のみ隣接する川から取水している。川と湖が相連なるリング状の構造は、水資源の流失がないばかりか、貯水と水の補給に役立ち、成都の中心市街地を囲む形状のグリーンなエコバリアーとなっている。 古くから治水に優れた成都は、経済が飛躍的に発展する今日であっても、水が一つの都市にとって重要なことをよく理解しており、優れた生態を建設して、成都に都市の持続的可能な発展をもたらしている。
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