自国の利益のために南中国海に介入する米日は手を引くべき

 

南中国海は古くからわが国の固有領土である。ところが近年、この地域では係争が繰り返されており、特にここ数年間は複雑化の傾向にある。その主な原因の一つとして、米日などの域外国が南中国海の問題にやたらと手出ししていることが上げられる。南中国海係争の当事国でもない米日は、選択的に同地域に介入し、悪役を演じてきた。

戦略面から見ると、両国はよからぬことを企んでいることがわかる。米国の南中国海介入は、決して気まぐれではない。グローバル的には、米国は南中国海を海上覇権維持の一環として見ており、中国の台頭によりこの一環の脆弱化をを懸念している。地域的には、米国は南中国海問題を「アジア太平洋リバランス」戦略の重要な足がかりとし、この問題を騒ぎ立てることで東南アジアにおける存在感をアピールしようとしている。対中関係の面からみれば、この問題を中国けん制の切り札として活用し、中国に対する戦略的な優位性を維持しようとしている。一方の日本は、対中戦略的な駆け引きと戦後体制の束縛からの脱出のため、この問題に便乗し、中国に対する切り札を増やし、地域における影響力の向上を図っている。

法理的に見ると、両国は是非を混同していることがわかる。南中国海に言及する際、米日政府及びメディアはよく「国際法」「規則」「航行自由」「軍事化」などの決まり文句を持ち出し、南中国海の島礁の主権及び海洋権益が中国にあるという法理的な基礎を意図的に無視したり、歪曲したりしている。米国は南中国海の領土主権係争に関して立場を持たないとしながらも、さまざまな形で中国の主権を疑っている。米国は「海洋限界――南中国海における中国の海事主張」という報告書を発表し、現代海洋法を自分の都合の良いように解読し、法理の面から中国の南中国海に対する主権主張の基礎を揺らそうとした。米国がいわゆる「航行自由行動」を実施する最初の目的は、米国の軍事力が他国管轄下の水域への進入を制限する可能性のある現代国際海洋法に挑み、米軍の各大洋に進出する自由と機動性を最大限に確保することだった。現在、米国は「航行の自由」という大義名分をもって中国の南中国海の主権と海洋権益への違法な挑戦を覆い隠し、「国際法に則った航行自由活動」と美化している。南中国海における中国の島礁建設及び合理的で適度な国土防御施設の整備は、米国側に無理やり「軍事化」のレッテルを貼られた。実に、米国が「航行の自由」を掲げて南中国海で武力を誇示し、緊迫ムードを高める行為こそ、真の意味での「軍事化」ではないか。日本に関しては、第二次世界大戦中に占領した中国の南中国海の島礁を、戦後やむなく中国に返還した経緯があるため、南中国海問題の由来を最も詳しく知るはずなのに、自身の戦略的な需要により、米国と連動し、国際正義を置き去りにした。

道義上で米日はダブルスタンダードを採用していることがわかる。米日の政府もマスコミも、モラル的な優位を持つと信じており、中国を「被告」扱いにし、南中国海の情勢の緊迫化の責任を中国に押し付けた。米国はよく同問題をめぐって、一見して公正的で法律を知った上で守るような発言をしたが、実は虚偽的でダブルスタンダードを採用するものばかりだった。たとえば、南中国海島礁建設の件について、中国は主権を主張している諸国の中で最後にこれに踏み切った国であり、しかもこれは地域情勢の変化に対応するためやむを得ず実行したことである。フィリピンなどの関係国は中国よりも早く中国の島礁で建設に着手した。また、「軍事化」に至っては、米国は同地域で軍事演習を大々的に実施するほか、先進的な武器装備を配備し、艦艇・軍機を度々中国の南中国海の島礁に向かわせて「巡航」している。米国は南中国海における軍事力を強化しながらも、中国は「軍事化」していると非難している。これはダブルスタンダードで、盗人が他人を盗人呼ばわりするようなことと同じではないか。そして、「航行の自由」については、米国が商業航行の自由と軍事航行の自由の概念をわざと混同し、毎年数万隻の民間船が南中国海を経由し、航行の自由が非常に重要なものだと吹聴するのは、実は米国の軍艦の「横行の自由」を確保したいのである。米国は、南中国海を経由する民間船は同海域を世界一安全で自由な航路だと認めていることをはっきり知っているのだ。

南中国海の「仲裁」の問題について、米国が法治を尊重し、判決を受け入れるよう中国に度々要求してきたのは、次の重要な事実を避けるためだ。つまり、中国が仲裁を受け入れないのは「国連海洋法条約」が認める正当な権利であり、法律に則ったものだ。米国の大統領から政府関係者までが「大国が小国をいじめる」と中国を責めたてるのも、事実を鑑みず世論を混乱させるための手段だ。米国が基本的な事実をわかっていないのではなく、こうした事実が米国の南中国海介入に不利であるため、ないがしろにしたり、歪曲したりしているだけである。日本は米国という「盟主」に追従し、南中国海で「火事場泥棒」を働いている。

上述のように、米日は自国のために南中国海問題に介入している。これは、南中国海の情勢の発展に複雑な要因を加え、地域の平和と安定を破壊している。フィリピンなどの関係国は米日を後ろ盾にし、中国に絶えず挑発し、地域の多国間協力の雰囲気にもある程度の影響を及ぼしてしまった。

さまざまな口実を作って中国の主権・安全・海洋権益を侵害するいかなる企みも実現できず、同地域の大多数の国が連携して平和・安定・繁栄を求める勢いを妨害することもできないということを、域外の大国ははっきりと認識しなければならない。中国は、南中国海における主権と関連の権利を断固として擁護し、同地域の平和・安定の維持に力を入れ、関係当事国との直接的な交渉により係争を解決する方針を堅持する。そのため、中国は「2本のレール」という方案を提起した。中国の上述の立場と方案は大多数の関係国から認められており、ますます多くの域外国に理解、支持される。中国は、関係当事国と交渉・協商により問題を解決し、ASEAN諸国とともに南中国海地域の平和と安定を維持することに自信を持っており、これを根気よく進めている。米日などの域外国が南中国海に介入するのは、情勢の緩和につながらず、しかも中国との戦略的な相互信頼も損害している。これはアジア太平洋地域の恒久的な平和・安定に資することはなく、利益を上げることも不可能である。

米国を含む域外国は、南中国海問題で建設的な役割を果たし、中国とアセアンの問題解決に向けた努力を尊重し、平和・安定に資することを多く行うよう呼びかけたい。自国の利益のために南中国海地域の平和・安定を犠牲にし、同問題のエスカレートを招くような言動は慎んでほしい。(筆者・賈秀東 中国国際問題研究院客員研究員)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月6日

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850