米国は南海問題で譲れぬ一線に衝突すべきではない

 

中国と米国のシンクタンクによる南中国海問題対話が5日、ワシントンで行なわれた。米国やフィリピンで一部政治勢力が南中国海仲裁裁判を利用して南中国海情勢を極力撹乱しようとする中、このような対話はタイムリーであり、米国の戦略界の人々が自らの正当な権益を守る中国の意志と能力をより明確に認識し、南中国海問題において米国の演じるべき役割をより理性的に考えるうえで、客観的な助けとなる。(人民日報「鐘声」国際論評)

南中国海問題は中国と米国との問題ではないが、過去数年間の事実は、域外国である米国が南中国海問題を自らの戦略目標推進の現実的足がかりとしたことで、南中国海情勢が緊張し続けたことをはっきりと示している。

2009年夏、当時の米国務長官は東南アジアで「米国は帰ってきた」と仰々しく宣言した。その後、米高官は様々な場で南中国海問題を誇張し、中国の合理的な主張に対してとやかく言い、フィリピンなど地域の国々が中国に問題をもたらすことを極力後押ししてきた。南中国海の航行の自由には全く問題がない。だが米国は問題の存在を必要とし、そもそも存在しない問題を誇張した。米国防総省にいたっては空母、戦略爆撃機、イージス艦などを派遣した。米国の言動によって、南中国海地域の平和と安定の現実的リスクは大幅に高まった。だが、自らの利益を守る中国の決意と能力はこれによってさらに強化されるだけであることを、もめ事を引き起こした者は明確に認識すべきだ。

今回の対話では、南中国海問題が中米関係を定義づけないようにし、これ以上負の波及効果をもたらさないようにすることが議題の1つとなった。南中国海問題が現段階まで進行したことから、米国は特に中米関係発展の大局に立って、自らの南中国海政策を見直すべきだ。リスクの管理・コントロールを速やかに強化し、事態の一層の悪化を防ぐのか、それとも「瀬戸際政策」を継続し、圧力によって中国を抑え込もうとするのか。中国は米国が理性的な選択をすることを望むが、米国が取り得る勝手な行動に対する十分な備えもある。

南中国海問題において建設的役割を発揮することが、米国の選択であるべきだ。中国は長期的、戦略的視点で中米関係を把握し、推進し続け、両国間の溝を建設的方法で管理・コントロールすることを主張してきた。中米両国の利益が「間近に接触する」アジア太平洋地域でも、中国は米国と共通かつ非排他的な「コミュニティ」を構築し、共に地域の繁栄・安定の建設者、守護者となることを望んできた。

だが、もし米国が代償を度外視して他国に圧力を加えて脅す「瀬戸際政策」を選択するのなら、結果は1つしかない。すなわち、南中国海情勢に生じうるさらなる緊張の全ての責任を米国が負うことだ。南中国海問題において、国の主権と領土の一体性を守る中国の意志は盤石だ。中国のものでなければ少しもいらないし、中国のものであるはずなら、寸土でも必ず守る。これについて、誰も幸運を当てにしたり幻想を抱くべきではない。

今回の対話に参加したカーネギー国際平和財団の史文シニア・フェローは以前、南中国海問題で頻発する紛争は中米関係を永久的に損ない、アジア地域情勢の動揺を招きかねないと文章で指摘した。地域の構造に対する両国の影響力を考えると、このような警告は大げさなものではないだろう。南中国海問題における米国の勝手な行動は一時的なセンセーションを巻き起こす効果があるかも知れないが、いかなる物事にも譲れぬ一線があるのであり、ひとたび度が過ぎれば代償を支払わなければならない。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年7月6日

 

 

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