国務院新聞弁公室 「中国は南中国海における中国とフィリピンの紛争の話し合いによる解決を堅持する」という白書を発表

 

(三)国際海洋法の制度の発展が中比の海洋境界画定紛争を招いた

69.『条約』の制定と発効に伴い、中国とフィリピン間の南中国海をめぐる紛争が逐次激化してきた。

70.中国人民と中国政府の長きにわたる歴史的実践とこれまでの中国政府の一貫した立場、1958年の『領海に関する中華人民共和国政府声明』、1992年の『中華人民共和国領海及び接続水域法』、1996年の『中華人民共和国全国人民代表大会常務委員会の「国連海洋法条約」の批准に関する決定』、1998年の『中華人民共和国排他的経済水域及び大陸棚法』、1982年の『海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)』などを含む国内法と国際法に基づき、中国の南中国海諸島は内水、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚を有する。この他に、中国は南中国海において歴史的な権利を有している。

71.フィリピンの1949年の共和国法第387号、1961年の共和国法第3046号、1968年の共和国法第5446号、1968年の大統領布告370号、1978年の大統領令1599号、2009年の共和国法第9522号などの法律に基づき、フィリピンは内水、群島水域、領海、排他的経済水域、大陸棚を公表した。

72.南中国海では、中国の陸地領土の海岸とフィリピンの陸地領土の海岸は向かい合っていて、その距離は400カイリに満たない。両国が主張する海洋の権益区域が重なり合っている故に、海洋境界画定の紛争が発生している。

三、中比は南中国海をめぐる紛争の解決について既に共通認識に達している

   73.中国は断固として南中国海諸島の主権を守り、フィリピンが中国の島嶼・礁を不法に侵略・占領することに断固として反対し、フィリピンが一方的な主張により中国の管轄海域で権利を侵害する行動をとることに断固反対する。同時に、南中国海の平和・安定を擁護するという大局から出発し、中国は高度な自制を保ち、中比の南中国海をめぐる紛争を平和的に解決することを堅持し、そのために、たゆまぬ努力を払っている。中国は海上における見解の相違を管理制御すること、実務的な協力を推進することなどについて、フィリピンと何度も協議を行い、双方は話し合いを通じて南中国海をめぐる紛争を解決し、見解の相違を適切に管理制御することで重要な共通認識に達した。 (一)話し合いにより南中国海をめぐる紛争を解決することは中比の共通認識であり約束である

74.中国は一貫して主権および領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互の内政不干渉、平等互恵、平和共存の五原則に基づき、各国との友好関係を発展させることに努める。

75.1975年6月、中比の関係が正常化し、両国は関係コミュニケで、両国政府が武力に訴えず、互いに武力よる威嚇を行わないことに同意し、あらゆる紛争を平和的に解決することを明確に指摘した。

76.実際のところ、中国の南中国海問題の解決における「紛争棚上げ、共同開発」という提議は、まずフィリピンに対して提起したものであった。1986年6月、中国の指導者の鄧小平がフィリピンのサルバドル・ラウレル副大統領と会見した際、南沙諸島は中国に属していると指摘し、同時に関係の紛争に対しては「この問題をまず棚上げし、しばらく放置する。数年たってから、われわれは席について、気持ちを落ち着けて冷静に各方面が受け入れることのできる方法について協議しよう。われわれはこの問題でフィリピンやその他の国との友好関係を妨げるようなことはしない」と表明した。1988年4月、鄧小平はフィリピンのコラソン・アキノ大統領と会見した際、「南沙諸島問題に対しては、中国は最も発言権を持っている。南沙は歴史的に中国の領土で、長い間、国際的に異議がなかった」、「両国の友好関係から出発し、この問題はまず棚上げし、共同開発の方法を採用しよう」と重ねて表明した。その後、中国は南中国海をめぐる紛争の処理および南中国海の周辺諸国との二国間関係を発展させる問題において、鄧小平の「主権は中国に属し、紛争を棚上げし、共同開発をする」という思想をずっと貫いている。

77.1980年代以来、中国は話し合いによって中比の南中国海をめぐる紛争を管理制御・解決することについて一連の主張と提案を打ち出し、南沙諸島に対する主権、南中国海をめぐる紛争を平和的に解決する立場と、「紛争棚上げ、共同開発」の提案を何度も重ねて表明し、外部勢力の介入に明確に反対し、南中国海問題の国際化に反対し、紛争で両国関係の発展に影響をもたらすべきではないことを強調した。

78.1992年7月、マニラで開催された第25回ASEAN外相会議で、『南中国海問題に関するASEAN宣言』が発表された。中国はこの宣言で述べられている関係の原則に賛成の意を表した。中国は話し合いによって、南沙諸島の一部島嶼・礁に関する領土問題を平和的に解決することを一貫して主張していて、武力に訴えることに反対し、条件が整えば、関係国と「紛争棚上げ、共同開発」について話し合いたいと考える。

79.1995年8月、中比は共同発表した『中華人民共和国及びフィリピン共和国の南中国海問題とその他の分野の協力に関する協議の共同声明』で、「紛争は直接関係する国によって解決されるべきである」、「双方は順を追って協力を推進していき、最終的に話し合いによって双方の紛争を解決することを約束する」旨を示した。その後、中国とフィリピンは一連の二国間文書を通じて、二国間の話し合いにより南中国海問題を協議・解決するという共通認識を確認した。例えば1999年3月の『中国とフィリピン信頼醸成のワーキングチーム会議共同コミュニケ』、2000年5月の『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の21世紀の二国間協力枠組みに関する共同声明』などがそれである。

80.2002年11月、中国はASEAN10カ国と『南中国海各方面行為宣言(DOC)』(以下、『宣言』と略す)に共同で署名した。各国は『宣言』で、「1982年の『海洋法に関する国際連合条約』を含む公認の国際法原則にのっとり、直接的関係を有する主権国家が友好的な協議と話し合いにより、それらの領土と管轄権紛争を平和的に解決し、武力行使あるいは互いの武力による威嚇には訴えない」と厳かに誓約した。

81.その後、中比は一連の二国間文書を通じて、各自が『宣言』で行った厳かな誓約を確認した。2004年9月の『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の共同プレスコミュニケ』、2011年9月『中華人民共和国政府とフィリピン共和国政府の共同声明』などがそれである。

82.上述の中比両国の一連の二国間文書および『宣言』の関係規定は中比が南中国海をめぐる紛争の解決について達成した以下の共通認識と誓約を体現している。第一、関連の紛争は直接的関係を有する主権国家の間で解決するべきである。第二、関連の紛争は平等と相互尊重に基づき、話し合いによって平和的に解決する。第三、直接的関係を有する主権国家は、1982年の『海洋法に関する国際連合条約』などの公認の国際法の原則に基づき、「最終的に話し合いによって双方の紛争を解決する」。

83.中比双方は話し合いによる紛争解決を何度も重ねて表明し、関連の話し合いは直接的な関係を有する主権国家が行うべきであると何度も強調していて、上述の規定は明らかにいかなる第三者による紛争解決方式も排除する効果が生まれている。とりわけ、1995年の共同声明では、「最終的に話し合いによって双方の紛争を解決する」ことが定められていて、この「最終的」という言葉は明らかに「話し合い」が双方が選んだ唯一の紛争解決の方法であり、第三者による紛争解決手順を含む他のあらゆる方法が排除されていることを強調するためのものである。上述の共通認識と誓約は両国間において、第三者による紛争解決の方法で中比の南中国海をめぐる紛争を解決することを排除する合意を構成している。この合意は必ず順守されなけばならない。

 

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