日本には南中国海仲裁問題でとやかく言う権利はない

 

7月12日、いわゆる「南中国海問題仲裁裁定」が示された当日、日本の岸田文雄外相は仲裁裁判所の示した最終裁定について「国連海洋法条約の規定に基づき、裁定は最終的結果であり、当事国に対して法的拘束力を持つ。当事国は裁定を受け入れる必要がある。当事国が裁定を受け入れることを強く期待する」と述べた。日本の安倍晋三首相はモンゴルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で南中国海問題に言及し、いわゆる「法の支配」の海洋問題における重要性をアジア・欧州各国首脳と確認する考えだ。安倍首相は10日夜のラジオ番組で「国際社会と協力してフィリピンを支持することが重要だ。日本もG7議長国として責任を尽くす」と公言した。中国外交部(外務省)報道官は「日本側は南中国海問題を焚き付けるやり方を再考し、南中国海問題に介入し、意図的に誇張するのを止めるべきであり、誤った道を突き進んではならない」として、日本外相の見解を批判した。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)

7月12日のいわゆる「仲裁裁定」に対して、中国はすでに厳正な声明を発表した。「仲裁裁判所はフィリピンの申し立てた仲裁事項の本質が領有権と海洋境界画定の問題であることを無視し、紛争解決方式についての中比共同の選択を誤って解釈し、南中国海における関係国の行動宣言における約束の法的効力を誤って解釈し、国連海洋法条約第298条に基づく中国の除外宣言を悪意をもって回避し、関係島・礁を南中国海諸島の巨視的地理背景から選択的に切り離したうえ、国連海洋法条約を主観想像的に解釈、適用しており、事実認定と法律の適用において明らかな誤りがある。仲裁裁判所の行為及びその裁定は国際仲裁の通常の実践に深刻に背離し、紛争の平和的解決の促進という国連海洋法条約の目的と趣旨に完全に背離し、国連海洋法条約の完全性と権威を深刻に損ない、主権国及び国連海洋法条約締約国としての中国の合法的権利を深刻に侵害するものであり、公正でも合法でもない」。

本来「この上なく荒唐無稽」な嘘を、なぜ日本側は知恵の限りを尽くして支持するのか?

第1に、これは元々日本が背後で害をなしたものだ。これについて、中国外交部(外務省)報道官はすでに公かつ明確に指摘した。「仲裁裁判所は国際海洋法裁判所の前裁判長で日本国籍の柳井俊二氏が一手に取り仕切って構成された。柳井氏は同時に安倍晋三安保法制懇談会の会長を務めており、安倍氏による集団的自衛権の行使容認、第2次大戦後の国際秩序の束縛への挑戦に助力した。この事から仲裁裁判所は設置当初からすでに政治化されていたことが見てとれる。この仲裁裁判所の設置は合法性を備えず、その越権審理及びいわゆる裁定は不法で無効だ」。柳井氏は2011~14年に国際海洋法裁判所の裁判長を務めた。5人の仲裁人中、ウルフルム氏(ドイツ国籍)をフィリピン側が選んだ以外、他の4人はいずれも柳井氏が代わりに選んだ。トマス・メンザ氏(英国とガーナの二重国籍)ジャン・ピエール・コット氏(フランス国籍)、アルフレッド・スーンズ氏(オランダ国籍)、スタニスラブ・パブラク氏(ポーランド国籍)だ。柳井氏の政治的立場は右翼であり、中国に偏見を抱いている。このような日本国籍の人員が国際海洋法裁判所の裁判長を務めたことから、その公正性は推して知るべしだ。

第2に、これは日本の「私心」と「私利」が災いしたものだ。日本は本来南中国海問題の当事国ではなく、無関係な域外国に過ぎない。だが日本自身の「利益」のため、あらゆる手を尽くして南中国海に足を突っ込もうとしている。なぜなら日本としては南中国海は日本のいわゆる「海上の航行の自由」に関係し、中国が自らの合法的権益を維持するために南中国海で展開するいかなる正当な行動も目にしたくないからだ。実際のところ、これは米国と同様の理不尽な覇権行為であり、本来問題はない南中国海に自らもめ事を起こしているのだ。いわゆる「南中国海の航行の自由」が問題になったことはこれまでなく、中国側は一貫して南中国海の平和と安定の維持を堅持し、南中国海の航行と上空飛行の自由を堅持してきた。各国の共同努力の下、南中国海は平和と安定を長期間維持し、繁栄と発展の道を歩み、航行と上空飛行の自由も十分に保障されてきた。

第3に、これは日本の「答えにくい問いを避けるため、別の物事に話題をそらす」手口だ。実際のところ、日本は裁定が示される前からすでに、南中国海周辺海域でしきりに動いていた。自衛隊艦艇は視察訪問や合同演習の名目で、南中国海周辺を「巡邏」していた。南中国海仲裁裁判の裁定を支持する日本の姿勢表明は、南中国海における影響力を機に乗じて拡大できるよう、すでに発効した日本の安保法を実行する場を探し求め、また集団的自衛権を順調に行使できるよう表面上は立派な「口実」を探し求めるために他ならない。

第4に、これは日本が米国に歩調を合わせて演じる「二人羽織」だ。近年、日本は米国の「アジア太平洋リバランス戦略」で「急先鋒」の役割を演じている。そうすることで日米同盟の強化を推し進められるし、より重要なこととして日本の政治・軍事戦略実現の地ならしができる。米国の「アジア太平洋リバランス戦略」の主要な矛先の1つは中国の南中国海に向けられている。米国の真の目的は引き続き南中国海で絶対的な影響力を占めることであり、日本も自ずとそれを言わずとも理解している。そして南中国海問題において、日本は米国以外の域外国では最も声高な国であり、米国と見事な「二人羽織」を演じている。一方が計略を考え、もう一方が使い走りをする。一方が舞台上で声を上げ、もう一方が舞台の下で喝采を送る。一方が表舞台でパフォーマンスをし、もう一方が舞台裏で指揮をする。

最後に、いわゆる「南中国海仲裁裁判の裁定」は無効かつ不法であり、いかなる拘束力もなく、いかなる合理性、合法性、公正性もない。日本が南中国海仲裁問題で私心を露呈し、本来あるべきでない「荒唐無稽な裁定」の受け入れを当事国に求めることは、日本が「私心」から国際機関を私的に利用していることを示すのみだ。南中国海問題において、正しい道理と正義はなお存在するのであり、日本にはとやかく言う権利はない。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年7月14日

 

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