G20杭州サミットのテーマ「4つのI」には各々深い意味 |
中国の習近平国家主席は2015年11月16日、次回G20サミットを杭州で開くこと、サミットのテーマを「革新的で、活力ある、連動した、包摂的な世界経済の構築」に定めたと発表した。英語ではそれぞれ「革新的」(Innovative)、「活力ある」(Invigorated)、「連動した」(Interconnected)、「包摂的」(Inclusive)で、「4つのI」からなる。では、この「4つのI」にはどのような意味があるのだろうか。 ■「革新的」は起業、科学技術革新、革新的経済、革新システムを指す。 習主席はG20サミットの発言で、現在の世界経済低迷の「根源」として「前回の科学技術・産業革命の運動エネルギーが尽きかけている。したがって、危機から完全に脱するには『革新』に十分に取り組まなければならない」と指摘した。 現在、新たな科学技術革命と産業変革が世界規模で生じつつある。この潜在的成長力を解き放つには、生産要素と資源を世界的範囲でより効果的、迅速かつ円滑に移動させる必要がある。 このために、「世界革新システム」を構築して、主体、インフラ、資源、環境などの革新が世界的範囲で支え合い、共に発展を促進するようにするとともに、一国の標準を国際市場に広めるのではなく、グローバルな観点から新たな革新的標準を定めるようにしなければならない。 杭州は中国の革新都市だ。今回のサミットの開催地に杭州が選ばれた理由の1つが、「革新」というテーマを際立たせるためだ。 ■「活力ある」は世界経済ガバナンスを整え、合理的でない部分を改革し、世界経済の危機対処力を高め、経済成長の潜在力を解き放つことを指す。 人が活力あるためには、良好な神経系統が不可欠だ。同様の理由で、世界経済が活力あるためには、良好で合理的な「神経系統」――つまり整った公正な世界経済ガバナンス体制が不可欠だ。世界経済ガバナンス体制を整えるために、まず解決する必要があるのが国際通貨基金(IMF)のクオータ改革であり、既定の改革計画を実行するとともに、特別引出権(SDR)通貨バスケットが世界経済・金融運行の現実を反映するようにし、人民元をSDR構成通貨とすることだ。IMFの改革計画は5年前にすでに合意されたが、米国は実行を拒み続けている。どうするか。これは中国の主催するG20で避けて通れない問題だ。グローバル・ガバナンス体制において、中国はすでに全ての主要な国際組織に加盟しており、国際秩序の主要な関与者だ。BRICS、アジアインフラ投資銀行(AIIB)など新興の国際制度を通じて、中国はグローバル・ガバナンス体制の改革推進者の1つとなった。そして2016年のG20によって、中国はグローバル・ガバナンスプロセスの主要な調整者となる。 ■「連動した」は連動式発展を指し、貿易と投資の促進、インフラのコネクティビティ強化、世界経済の共同発展の推進を含む。 グローバル・バリューチェーンの時代にあって、どの国も単独では発展を実現できず、どの地域貿易小集団の効果も長続きはしない。中国の提唱する「連動式発展」の概念は、垣根を取り払い、資源が移動し、共に話し合い、共に構築し、共有する発展の実現だ。 習主席はG20サミット発言で、貿易と投資を世界経済の「血液の流れ」にたとえた。血液が通じれば体は健やかになる。したがって、中国の主催するG20は、貿易と投資をさらに後押しし、WTO多角的貿易交渉の前向きな発展を促す。 連動式発展の前提は相互包含的な開放型世界経済の構築だ。中国はすでに「開放型経済新体制の構築」を基本国策としている。G20政府間協力を通じて、中国は世界の自由貿易を後押しする 連動式発展は、インフラのコネクティビティ、道路、電力、ネットワークが通じるようにすることも意味する。これは中国自身の発展経験だ。現在、中国はこの経験を世界に捧げ、G20の世界経済の長期的効果あるガバナンスのテーマとした。 中国の打ち出した「一帯一路」(the belt and road)構想はまさにこうした目標に寄与するものだ。施設が互いに通じ、貿易が滞りなく通じ、資金が流通する。「通」の一字が、連動式発展のテーマをはっきりと示している。 ■「包摂的」は包摂的な成長を指し、発展の成果が世界中に及ぶようにし、公平・公正を促進し、世界経済の持続可能な発展を実現する。 習主席は発言で「危機の深いレベルの原因は発展の不均衡の問題だ」と指摘した。世界にはまだグローバルな発展の列車に取り残されている場所があるということだ。発展の不均衡の問題を解決するには、包摂的な成長を推進し、成長の成果が世界の隅々にまで行き渡るようにする必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年8月12日
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