G20サミット グローバル経済新秩序の転換点か

 

1年前、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は各国の政策決定者に対し、あらゆる手段を取り、「新たな凡庸」が「新たな現実」になることを回避するよう呼びかけた。そして1年後、いまだに多くの問題が落ち着かない状況にある世界経済は「新たな流れ」を作れずにいる。新華社が伝えた。

9月初めには、主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が浙江省杭州で始まり、「杭州スケジュール」が動き出し、世界中の目が中国に注がれることになる。中国は今年、議長国として、「革新、活力、連動、包容のグローバル経済の構築」をテーマとし、グローバル経済が直面する最も差し迫った問題をしっかりととらえ、グローバル経済の発展と協力に向けて新たな提案を模索する。

▽貿易と投資 成長源の模索

G”0はグローバル経済のガバナンスの重要なプラットフォームであり、危機対応と成長促進が重要な議題だ。現在、グローバル経済は低迷して振るわず、貿易投資の伸びが低下し、保護貿易主義が台頭し、深層レベルの矛盾や不確定性が積み上がっている。

こうした状況の中、中国は「革新による成長方式」、「より高効率のグローバル経済金融ガバナンス」、「力強い国際貿易・投資」、「包容と連動式の発展」といった今回のサミットの重点議題をめぐり、グローバル経済の難点と痛みのポイントに着実に切り込んでいく。

米国のシンクタンク外交問題評議会のシニア研究員ロバート・カーン氏は、「中国が杭州サミットでリーダーの役割を発揮してグローバル経済の成長を推進し、保護貿易主義に反対し、世界の信頼感を高めてくれることを願う」と話す。

カーン氏によれば、「過去数年間、グローバル経済の成長ペースは非常にゆっくりで、英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定したことがグローバル経済に新たな不確定性を与えた。各国の政策決定者はグローバル経済の成長を促進する効果的な方法を早急に見つけなければならなくなった」という。

またカーン氏は、中国がG20貿易投資作業チームを発足させてグローバル貿易の成長を促進し、グローバル投資の政策調整を強化したやり方を賞賛し、「現在、グローバル貿易は非常に大事な時を迎えている。保護貿易主義の大きな圧力に直面し、とりわけ中国が指導的役割を果たして保護貿易主義を抑制し、より実務的かつ理性的なやり方で貿易問題に対処することが必要になる」との見方を示した。

欧州国際政治経済研究センターのフレデリック・エリクソン代表は、「当面の世界の成長、貿易、投資はいずれも低下局面という大きな流れの中にあり、G20が経済の持続的成長、グローバル化の再振興などで成果を上げることを期待する」という。

シンガポール国立大学東アジア研究所の鄭永年所長は、「中国は世界の既存の自由貿易システムを維持する者であり、改善する者だ」とした上で、「今回のサミットが世界の自由貿易促進とグローバル化推進で共通認識に到達することができれば、中国と世界にとって極めて大きなプラスになり、このサミットが一里塚の意味をもったサミットになり、さらには中国が発展中の大国として世界の共同発展・繁栄プロセスの促進で果たした役割を世界に証明することになる」と述べた。

G20メンバーは経済規模で世界全体の85%を占め、世界経済の中長期的な成長の潜在力を発掘するという重大な責任を負っている。グローバル経済の目下の苦境に直面して、中国は「革新」を突出した位置に置いた。これは中国自身の発展理念と通じるだけでなく、グローバル経済が新たな局面を切り開くよう後押しすることにもつながる。

トルコのシンクタンク国際戦略研究機関のセルチュク・チョラコフ副総裁は、「中国は構造改革がG20メンバーの共通認識の達成を推進し、これがグローバル経済のより有力でバランスの取れた復興を促進することになると強調している」と指摘する。

▽メカニズムと枠組 ガバナンスの道を模索

中国の努力により、杭州サミットでは発展の問題が初めてグローバルマクロ政策の枠組における突出した位置に置かれ、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施をめぐり初めて系統的な行動計画が制定される見込みだ。これはG20サミットの危機対応メカニズムから長期的ガバナンスメカニズムへの転換に対する国際社会の期待に呼応したものだ。

専門家は、「中国は発展途上国が関心を寄せる発展に関連した議題を直接提起し、幅広い世界的な対話をスタートさせた。2016年に中国でG20サミットが開催される間に、G20は発展途上国とますます密接な関係をもつようになり、世界の成長もこれにより新たな意味を付与される」という。

またインドネシアASEAN南洋基金会のバンバン・スルヨノ会長は、「グローバル経済は大きな変革を迎えており、グローバル金融秩序も重大な調整を迫られている。中国を代表とする新興市場国の勃興が、世界の金融秩序に影響を与え、変化をもたらしている。人民元がIMFの特別引出権(SDR)構成通貨に入ったことや中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を呼びかけたことは、いずれも中国が国際経済・金融の秩序再編に積極的に関与していることの現れだ。G20杭州サミットは、中国が新興市場国の利益と要求を反映した多元的な国際経済の新秩序の建設推進で重ねてきた努力を明らかにする場でもある。杭州サミットは未来のグローバル経済新秩序への転換点になることが期待される」と述べた。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2016年8月25日

 

 

 
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